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スマホにTVやラジオの字幕表示、ヤマハと16の放送局が「SoundUD」活用の新事業
2018年7月24日 11:57
ヤマハは、全国16のテレビ・ラジオ放送局や国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と連携し、スマートフォンをセカンドスクリーンとして、テレビやラジオ番組の字幕を表示する支援事業に着手。ヤマハが交通や防災などの分野で活用を進めてきたシステム「SoundUDクラウド」を活用する。
連携する放送局は、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京、中京テレビ、福島中央テレビ、テレビ埼玉、テレビ神奈川、群馬テレビ、千葉テレビ、とちぎテレビ、サンテレビ、京都放送、エフエム東京、J-WAVE、エフエムナックファイブ、放送大学。
「すべての視聴者がテレビやラジオの放送内容を理解できる平等な情報アクセスの機会を確保できる事」を目的とした事業で、視聴覚障がい者や高齢者などに向けた字幕放送を充実させる。
しかし、字幕によって画面が見づらくなったり、視聴者に専用機器の導入負担が発生する場合がある、放送局側の字幕放送対応への負担増といった課題もある。
そこで、視聴者が持っているスマートフォンをセカンドスクリーンとして利用。テレビやラジオの音声の字幕情報を視聴者のスマホに届ける手段として、ヤマハの「SoundUDクラウド」の中核技術である「SoundUD音声トリガー」を使う。
この「音声トリガー」は、 テレビのスピーカーから音声として送出でき、対応アプリで受信すると、トリガーの種類に応じた情報を表示できる。トリガーの音声は、通常の放送音声などとミックスして流しても聴覚上の変化を与えることなく放送できるという特徴もある。
総務省の2018年度「視聴覚障害者等のための放送視聴支援事業」として採択されたもので、2018年度中にシステムを構築、実放送で試験を行なう。そこでは、音声トリガーと番組音声とを一緒に放送し、SoundUDに対応したスマホアプリ(例:おもてなしガイド)で受信すると、特別な操作や設定をせずに、テレビのチャンネルを変えるだけで必要な字幕テキストがアプリ内に表示される。
字幕テキストは、スマホに標準搭載されている音声読み上げ機能にも対応しており、視覚障がい者が放送内容を音声で確認できるようにもなっている。
この事業では、NICTが開発した音声自動認識技術を使い、ニュースや報道番組などでアナウンサーが発話した内容を音声認識し、文字情報を提供する「音声認識型」と、 インターネットがなくても定型文の文字情報を提供できる「定型文型」の2種類のシステムを利用。
「音声認識型」では、音声自動認識技術を活用することで放送局の字幕付与にかかる負荷を低減し、字幕提供の機会の増加につなげることを狙いとしている。「定形文型」は、緊急情報などを誤りなく伝えるため、予め登録した字幕情報をタイムリーに提供することを狙いとしたシステム。
実放送での試験を、視聴覚障がい者や高齢者の協力のもとで評価。その結果をシステムに反映させ、2019度以降に継続して事業を行なえるよう推進していく予定。放送内容の字幕化以外の様々な事業に繋げていくことも合わせて検討していく。