薄型テレビ/レコーダに単価下げ止まりの傾向。BCN分析

-台数/金額は大幅減。デジカメはフルHD対応が増加


BCNの道越一郎アナリスト

 BCNは13日、薄型テレビやBlu-rayレコーダ、デジタルカメラなどの市場分析と今後の予測を発表した。

 BCNの市場分析は、家電量販店など全国23社、2,369店舗(2012年5月現在)のPOSデータを集計したBCNのデータをもとに行なっている。Amazonなどを中心としたネット店舗のデータも加味した形で前年同月比を算出。メーカー直販店の売上は含まれない。発表データ内の金額は全て税抜きとなる。

 BCNの道越一郎アナリストは直近の薄型テレビ販売動向について、台数/金額は大きく前年割れを続けているものの、単価下落が止まり、画面サイズの構成にも変化が表れていることを指摘。また、同様に前年割れを続けるBlu-rayレコーダについても、単価にわずかな上昇がみられたという。



■ テレビとレコーダは大幅な前年割れ続く。単価下落には歯止め

薄型テレビの販売台数/金額前年同月比

 薄型テレビの5月の販売台数は前年同月比31.8%、金額は28.8%と大幅な減少を続けている。一方で、平均単価については、過去3年間の動きとは異なり、4~5月にかけて上昇傾向を示している。

 特に50型以上は、他のサイズが軒並み大幅に減少するなか、台数122.6%と前年同月を上回っており、金額でも93.8%とわずかな減少に留まっている。単価を見ると、売れ筋である30型台が上昇傾向にある一方で、単価が下がった50型台は、5月の台数比率が6.1%まで高めている。

 メーカー別でみると、これまで30%以上を維持してきたシャープが5月に28.2%まで落ち、パナソニック(20.5%)、東芝(20.0%)などが上昇している。メーカー別の画面サイズ構成比を台数ベースでみると、シャープは50型以上を15%台まで高めており、他メーカーとは大きく異なっている。


画面サイズ別の前年同月比メーカー別台数シェア/平均消費電力録画機能搭載モデルの台数比率

 録画機能を備えたテレビ(HDD/BD内蔵、外付けUSB HDDなど含む)の台数比率は引き続き上昇しており、5月には81.1%と8割を超えた。3D対応も18.7%と2割に近づきつつあり、方式別では偏光方式の割合も10%まで高まっている。レンチキュラー方式の裸眼3Dについては対応製品が増えていない現状から、道越氏は「(臨場感という観点から)高精細な4Kテレビに収斂されていく可能性もある」と述べた。

 インターネット対応テレビ(ネット上のコンテンツやサービスなどが利用できるテレビ)の5月の台数構成比は52.8%で、4月からは下落したものの、2012年に入ってから上昇傾向にある。また、倍速駆動対応も増えて、120Hzが23.9%、240Hzが5.6%となっている。こうした機能強化が進んでいることから、道越氏は「安売り合戦が終わり、本来のテレビの高機能が重要視されるようになったのでは」とした。

 一方で、「テレビの差別化の要素が少ないという状況は続いている。家庭用のなかのメインディスプレイとして“スマートテレビ”が現実として出てこない。ワクワク感をテレビでいかに演出するかが重要になってくるのでは? 」との考えを示した。

3D対応モデルの構成比と、3D方式別の割合倍速対応やインターネット対応の割合シリーズ別の売上台数構成比上位20機種


レコーダの販売台数/金額指数と平均単価

 Blu-rayレコーダも、5月の台数が前年同月比38.3%、金額は同32.7%と、テレビと同様に下落が続いている。平均単価は、'09年に比べるとほぼ半分の水準だが、2011年からの下落傾向に一定の歯止めが見られる。

 HDD容量は1TB以上が3割まで拡大。無線LAN対応(内蔵と別売アダプタ利用含む)の比率は、全体で50.1%まで上昇しており、メーカー別ではパナソニックが95.1%と最も高い。また、レコーダ販売台数シェアは、パナソニックが28.7%でトップを維持している。


HDDは1TB以上が3割にメーカー別販売台数シェア機種別のランキング


■ デジカメはフルHD動画対応が進む。スマホは新機種なくても好調

 デジタルカメラは、5月の台数/金額はわずかに前年割れながら、同じく単価上昇の傾向がみられ、1万7,000円台に回復した。

 機能面では、フルHD動画対応モデルがレンズ交換型(一眼レフ/ミラーレス/レンジファインダー含む)とレンズ一体型(コンパクト)の両方で増加傾向を続けており、5月はレンズ交換型が90.9%、レンズ一体型が57.7%となっている。また、レンズ一体型のうち、ズーム倍率10倍以上が4割、1,600万画素以上が6割と、高機能化が進行。3D静止画撮影対応(スイング式撮影を含む)も、5月に34.5%と3割を突破した。

デジタルカメラの販売台数/金額前年同月比フルHD動画対応モデルの割合ズーム倍率/画素数別の台数構成比

 スマートフォンは、4~5月にかけて新製品がほとんど出なかったにも関わらず、好調な販売台数を維持。各キャリアが推進するXiやWiMAX、ULTRA SPEEDといった高速データ通信の対応モデルについては、夏モデルから本格化が進むと見ている。

 タブレットの販売台数は前年同月比173.0%で、拡大傾向を続けている。メーカー別ではアップルが66.4%、ソニーが5.7%、富士通が4.2%、日本エイサーが4.0%、レノボ・ジャパンが3.7%。OS別ではiOSが67.3%、Androidが30.8%、Windows 7が1.8%。

スマートフォンなどについて説明した森英二アナリストスマートフォンの販売台数前年同月比と指数タブレットの販売台数構成比と指数


(2012年 6月 13日)

[AV Watch編集部 中林暁]