小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第1237回

今度は“手回し発電ワンセグTV”、ドウシシャ「レスQ TV」
2026年10月7日 08:00
防災用品再び
前々回お伝えしたRHYTHM「CRANKSPEAKER」は、手回し発電ラジオという方法が逆に新しく見えたのか、多くのかたの興味・関心を引いたようだ。10月に入ってもまだ台風接近といったニュースが聞かれる中、おそらく皆さんも防災用品の見直しを検討されていることだろう。
今回は同じく手回し発電できるメディア製品として、ドウシシャの「レスQ TV」をご紹介したい。ドウシシャはニッチ市場をターゲットとしたオリジナル生活関連商品を数多く展開している企業だ。近頃話題になったのは、ふくらはぎケア製品「ゴリラのひとつかみ」だろうか。そのほか「ゴリラのひとつき」、「ゴリラのふたつかみ」、「ゴリラの握手」といった製品をラインナップするが、ゴリラ専門メーカーではない。
AV関連製品として防犯・防災用品も展開しており、「レスQ TV」は停電・ネットダウンの際に情報が得られるメディア機器として、今年8月27日に発売された新製品である。基本的にはワンセグテレビだが、FM・AMラジオも聴けるほか、LEDライト、サイレン、スマホ充電もできるというマルチ防災用品だ。公式ECサイトでの価格は、16,980円。
昨今ワンセグテレビはなかなか単体で販売されているものが少なくなっているところだが、やはり災害情報はビジュアルで見たいところである。実際のところ手回しでいけるのか、早速試してみよう。
ボディは大きいが画面も大きい
まず外寸だが、175×45×95mm(幅×奥行き×高さ)と、まずまず存在感のあるサイズである。あんまり小さいと防災バッグの中でどこにいったかわからなくなったりするが、このサイズならなくすことはないだろう。
テレビ画面は4.3型、解像度480×272ドットのTFT液晶。重量は約368gで、IPX5の防水性能を備える。電源は手回し充電、単三電池3本、USB-C端子の3Way給電に対応し、蓄電部はスーパーキャパシタだ。背面に手回しハンドルがあり、これを回して内蔵キャパシタに充電するか、USB-A端子から出力するかの切り替えができる。
蓄電池に一般的なリチウムイオンではなくスーパーキャパシタを採用したのは、長期保管で空になっても過放電による劣化が起きにくいからだ。また充放電サイクルも数十万回以上とされ、リチウムイオン電池よりもはるかに長寿命だ。一方で蓄電容量はそれほど多くなく、2.7V/60Fが2つとされている。
上部にはかなりがっしりしたスイッチが付けられており、すべて日本語で表記されている。前面にはチャンネルや周波数、バッテリー残量などを示すサブディスプレイと、操作用ボタンがある。
ワンセグTVの受信範囲としては、UHF13-62chに対応する。FMの受信範囲は76.0-108MHzなので、ワイドFMも受信できる。AMは522-1710kHzなので、日本での周波数割当よりも上下に少し広い。
操作としては、モード切替ボタンで、TV・FM・AMを切り替える。左の選局ボタンでチャンネルのアップダウン、右の上下でボリュームのアップダウンができる。
スピーカーは背面にあり、1Wのフルレンジモノラルスピーカーだ。イヤフォン端子はステレオミニジャックだが、出力自体はモノラルだ。
実際に受信してみる
まず最初に乾電池を入れて、各メディアの受信状況を確認していく。
まずワンセグだが、ロッドアンテナは全長40cmで、これを伸ばせば受信感度は悪くない。窓際でなく部屋の中央あたりでも、ちゃんと受信できた。オートスキャン機能を備えており、決定ボタンを長押しすると、受信できるチャンネルをプリセットできる。筆者の住むさいたま市でオートスキャンしたところ、受信可能な放送局が地デジのチャンネル番号と同じ数字にアサインされた。
チャンネル切り替えは、アップダウンで選択すると、1チャンネル切り替えごとに時間がかかる。「決定」ボタンを長押しするとチャンネル一覧が出てくるので、見たいチャンネルが離れている場合にはこちらを利用するといいだろう。
機能としては、字幕や主音声・副音声の切り替えなどが使える。番組表を表示する機能もあるが、試してみたところ番組表を選択すると本体が再起動してしまって、表示が確認できなかった。「設定」ボタンを長押しすると、画面が消えて音声だけになる。電力を節約したい場合に使用するわけだ。
続いてFMラジオを受信してみる。こちらも「決定」ボタンを長押しすると、オートスキャンが走る。スキャン後は選局ボタンで受信可能なチャンネルに切り替えていくという使い方はワンセグと同じだ。こちらはチャンネル切り替えに時間はかからない。ワイドFMも問題なく受信できた。
AMラジオも、操作方法は同じだ。「決定」ボタン長押しでオートスキャン、あとは選局ボタンでチャンネルを切り替えていく。AMラジオはロッドアンテナとは関係なく、ボディ内蔵のフェライトバーアンテナで受信するので、受信感度は本体の角度で調整することになる。
AMのオートスキャンは、放送波以外の周波数も大量に引っかかってくるが、不要な周波数はそのチャンネルの受信中に「設定」ボタンを長押しすると、チャンネルが削除できる。ただし長押しすぎるとオートスキャンが走ってしまうので、長押しして離すタイミングがよくわからない。
AMの受信感度は、それほど良くないと感じた。避難場所の都合でFMが受信できない場合に使うと考えておくべきだろう。
側面にLEDライトも備えているが、それほど明るいわけではない。一般的なLED懐中電灯の半分ぐらいの明るさである。サイレンも備わっているが、これは小学生が持っている防犯ベルのような電子音が出る。音量はあれほど大きくなく、やはりこれも半分ぐらいの音量だと思っていただければ間違いないと思う。
手回し充電でどれぐらいいけるか
本機は手回し充電、乾電池、USB-Cの3Way電源に対応する。USB-Cはモバイルバッテリーなどを繋いで駆動するので、駆動時間はバッテリーの容量次第だ。よって内蔵キャパシタと乾電池の駆動時間を掲載しておく。
【再生可能時間 (最大音量1/3のとき)】
| モード | ワンセグ | ワンセグ音声のみ | AMラジオ | FMラジオ |
| 乾電池 | 約12時間 | 約14時間 | 約46時間 | 約48時間 |
| キャパシタ | 約6分 | 約10分 | 約19分 | 約20分 |
比較してわかるのは、乾電池が意外にいけるということだ。ワンセグで画面付きでも12時間いけるのは強い。モバイルバッテリーが放電してしまっていた時のために、乾電池の予備も用意しておきたい。音声だけにしても2時間ぐらいしか差がないので、意外に節約効果は小さいようだ。
いっぽうでキャパシタの電力では、ワンセグで6分、最長のFMラジオでも20分なので、これは本当に緊急時で何も手段がないときのため、と考えておくべきだろう。メリットは手回しで充電できることである。
2.7V/60Fのキャパシタが2個あるが、並列なら2.7V/120Fで約90mAh、直列なら5.4V/30Fで約45mAhになる。説明書にはUSB-A出力(携帯充電)は内部キャパシタからはできないとあるものの、これは出力経路の話で、内部が並列か直列かまでは分からない。
さてその手回し充電だが、電源を切った状態で上部のスイッチを「本体充電」に切り替えてハンドルを回すと、キャパシタに充電される。1秒間に2回転のペースで7分回し続けると、満充電となる。7分ぐらいならなんとか回せそうだ。
「本体充電」に切り替えてハンドルを回した場合、ちょっとトルクを感じる。「携帯充電」の方はトルクが軽いので、本気で回す前に切り替えてトルクを確認するべきだ。携帯充電の状態でいくら回しても本体のキャパシタには充電されず、無駄にハンドルを回しただけになる。
手回し充電中は電源がONにできないので、その間はラジオなどは聴けないことになる。7分回してFMを20分聞く、というのもしんどいところだ。乾電池の偉大さを思い知ることになるだろう。
キャパシタはUSB-C端子からも充電できるが、充電に1時間かかる。自己放電が大きいので、保管中に電荷を保っておく用途には向かない。災害時にUSB-Cからキャパシタを充電するぐらいなら、その電力でワンセグやラジオを使った方がマシである。
「携帯充電」にセットすると、USB-A端子から電力が取り出せる。ただし内蔵キャパシタからは電力が取り出せないので、乾電池から出力するか、手回し発電で出力ということになる。
ハンドルを回してのUSB-A出力は、おそらく内部キャパシタを経由せず直接出力されているものと思われる。このままでは回転数によって電圧がふらつくので、5V定電圧出力を行なうためのレギュレータが入っているはずだ。
iPhone 16eを繋いで、手回し充電できるかテストしてみた。確かに回している途中は充電マークがつくが、10分間回しても1%にも届かなかったので、断念した。手回しでスマホ充電は、現実的ではない。逆にもっと高トルクでいいから発電量の大きい手回し発電機があったら、今はそれなりに需要があるかもしれない。
総論
普段の生活はなんでもスマホで完結できているが、緊急時の情報収集手段として、ネットワーク網を使わない放送電波を捕まえるという方法は、何かしらあった方がいい。また情報のリアルタイム性や、嘘・フェイクの可能性が低いという点でも、放送には一定の強みがある。
ワンセグを受信する「レスQ TV」は、マルチ電源で、しかも低消費電力でテレビとラジオが視聴できる、優れた機材だと言える。以前ご紹介した「CRANKSPEAKER」が日常生活の中で活用することで緊急時に忘れないという製品だったのに対し、レスQ TVは長期保管に耐えるという方向性である。乾電池ボックスは液漏れを防ぐために空にして、電池は別途準備しておくというのがよさそうだ。キャパシタの電荷は自己放電で抜けていくので、使うときに手回しで充電する前提になる。
手回し発電にも対応するが、それに期待するのは現実的ではない。7分回してテレビを6分視聴するのでは、割に合わないだろう。それなら非常用発電機として、折りたたみ式でUSB出力が出せるソーラーパネルを準備しておく方がいい。最近は小さく折りたためて100Wぐらい出せるものが登場している。それとそこそこの容量のモバイルバッテリーがあれば、昼間に発電した電力で夜の照明やテレビ視聴が賄える。
以前は避難用持ち出し袋などの準備がメインとされていたが、自宅が安全なら在宅で過ごすよう呼びかける自治体が増えている。「持ち出し」が前提ではない備えも、合わせて見直しておきたい。














