小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第1235回

発電できる防災ラジオ、スマホ充電にも対応するRHYTHM「CRANKSPEAKER」
2026年9月16日 08:00
防災意識が高まる中で
9月1日は「防災の日」である。大正12年9月1日に発生した関東大震災、昭和34年9月に襲来した伊勢湾台風などをきっかけとして、昭和35年に制定された。また8月30日から9月5日までは、防災週間となっている。夏休み明け早々に学校で避難訓練などに参加した記憶がある人も多いかもしれないが、あれはそういうわけなのである。
ここのところ、日本で起こる自然災害は、質が変わってきている。昔は台風被害が最も懸念されたものだが、台風は接近するまで時間があるので、準備ができる。一方地震や線状降水帯による豪雨などは、急に来て大きな被害が発生するため、日頃からの備えが重要になってくる。
緊急持ち出し袋やモバイルバッテリーなどを備えておく人は多いと思うが、今回はマルチに使える避難グッズ、RHYTHM「CRANKSPEAKER」をご紹介したい。楽天市場のメーカー公式通販サイト価格は14,800円。色はブラックとライトグレーがある。今回はブラックをお借りしている。
防災と日常使いを両立したイマドキの手回しラジオとは、どういうものだろうか。
意外になくなってきた、手回しラジオ
いわゆる手回し発電によるラジオは、自身が子供の頃に小学校の工作で作った、あるいは子供が作ってきたという家庭もあることだろう。
だが昨今はこうした手回しラジオ工作は減少傾向にある。手回し発電という工作はあるものの、学習目的がエネルギーの仕組みを学ぶという目的に変わってきたことから、ラジオじゃなくても良くなったという事情があるようだ。また鉄筋の校舎では、せっかく作ってもラジオがうまく受信できないなどの問題もあり、学校で敬遠されるようになっていった。
うちは子供が作ったものがあるからいいや、というご家庭もあるかと思うが、組み立てが簡単ということは、壊れるのも簡単である。今でもちゃんと動作するか、確認しておくといいだろう。
防災用品としては、割とガチな手回しラジオは未だ販売が続いているが、デザイン的に日常使いしづらいものが多い。そんな中RHYTHMの「CRANKSPEAKER」は、日常使いを視野に入れたデザインとなっている。
サイズは細身の円筒形で、見た目はBluetoothスピーカーに近い。実際Bluetoothスピーカーとしても使えるので、この形は部屋に馴染みやすい。防塵防水性能はIP44相当。
天面にディスプレイがあり、時計・ラジオ周波数の確認ができる。またLEDライトもあり、懐中電灯としても使用できる。
天面のロッドアンテナは、伸ばすと約17.5cm。ラジオとしてはFMのみだが、ワイドFMに対応しているので、AM局が実施しているワイドFMも受信できる。
スピーカーは45mm径のフルレンジ×1で、同径のパッシブラジエーターがある。低音は出るが、モノラルというわけだ。イヤフォン端子もあり、こちらはステレオ出力となる。
底部のスタンドのように見える部分が、手回しによる発電機構になっている。折りたたまれているハンドルを伸ばして、本体を掴んで底部を回転させることで、発電できる。また底部にはソフトライトがあり、ムードライト的な使い方もできる。
内部に4,000mAhのバッテリーを搭載している。一般的なスマートフォンのバッテリー容量が3,500〜5,000mAh前後であることを考えると、概ねスマホが約1回充電できると思っておけばいいだろう。
背面ボタンは、一番大きいのが電源ボタン、その下がBluetooth接続時の再生・停止ボタンだ。十字キーは上下が音量、左右がラジオチューニングとなっている。電球マークは2種類のライト点灯・消灯、MボタンはFMとBluetoothのモード切り替えだ。
充電はUSB-C端子から行なうが、ここから電力は取り出せない。出力は蓋を開けて、USB-Aポートから取り出すことになる。
実際にラジオを受信してみる
ではラジオ受信から試してみよう。ロッドアンテナを伸ばし、FM受信モードにして右ボタンを長押しすると、自動で周波数を上げながら受信可能な周波数をスキャンする。周波数プリセット機能はないので、放送局を変えたければ都度チューニングが必要だ。なお最後に受信した周波数は記憶しており、電源を切っても維持される。
ラジオの周波数を暗記している人は少ないと思うが、お住まいの地域のNHKの周波数ぐらいは暗記しておいてもいいだろう。以下に首都圏のNHK-FMの周波数を掲載しておく。
- 82.5MHz NHK-FM 東京
- 85.1MHz NHK-FM さいたま
- 80.7MHz NHK-FM 千葉
- 81.9MHz NHK-FM 横浜
- 83.2MHz NHK-FM 水戸
- 80.3MHz NHK-FM 宇都宮
- 81.6MHz NHK-FM 前橋
周波数/局名
なお首都圏近郊で受信できる民放ワイドFMは以下のようになっている。本機が受信可能な周波数は、76.0〜108.0MHzの範囲だ。
- 90.5MHz TBSラジオ
- 91.6MHz 文化放送
- 92.4MHz RFラジオ日本
- 93.0MHz ニッポン放送
周波数/放送局
現在の筆者宅はさいたま市内マンションの2階で、仕事部屋は窓際ではあるが、NHK FM、埼玉のFMラジオ放送局 NACK5などは結構よく入るものの、東京スカイツリーから出力するJ-WAVEはスキャンに引っかからなかった。手動で周波数を合わせればなんとかノイズ混じりに聞こえる程度だ。
CRANKSPEAKERを窓際に移すと、受信状態は多少良好になる。ただずっと窓際に置いておくわけにもいかないかもしれない。そういう時は、針金のようなものをロッドアンテナに巻き付けて、カーテンレールなどに引っ掛けておくと、アンテナの延長ができる。なるべく被覆の薄い導線を使うのがコツだ。手元に何もない場合は、アンテナを手で握っただけでも受信状態が改善する場合がある。いざという時のためになんとなく覚えておくといいだろう。
RHYTHMは目覚まし時計にも強いメーカーだが、目覚まし機能が搭載されなかったのは意外である。「ラジオで目覚まし」も、一周回って今は新しく感じられるかもしれない。
Bluetoothスピーカーとしても使ってみた。対応コーデックはSBCとAACなので、多くのスマートフォンに対応できる。モノラルなのでステレオ感は期待できないが、音質的には中帯域寄りだ。BGMとしてなんとなく聞くといった用途には向くが、本格的なリスニングに対応できるわけではない。
ライト、バッテリーとしての機能
災害時に重要な機能として、照明がある。本機にはLEDライトが2つあり、電球ボタンを短く1回押すと、底部のソフトライトが点灯する。暖色の反射光なので、停電で不安な時も落ち着いた雰囲気づくりに一役買うだろう。ボタン押しで明るさが2段階に調整できる。
電球ボタンを長押しすると、天面のスポットライトが点灯する。こちらは懐中電灯用途なので、結構明るい。こちらもボタンを押すと、2段階で明るさが調整できる。
内蔵バッテリーでの動作時間は、以下のようになっている。ラジオやLEDライトはかなり長時間使えるが、スマホ充電はあっという間に消費してしまうので、残された電力を何にどう使うかは、慎重に考えるべきだろう。なおUSB-Cからのバッテリー充電時間は、約2時間となっている。
手回し充電機能も試してみた。底部のハンドルを起こして回すと、少し重たいトルクを感じる。バッテリー残量は天面のディスプレイに表示されるが、1秒間に2回転のペースで回して1%充電するのにどれぐらい時間がかかるかテストしてみたところ、約5分かかった。バッテリー容量が大きいので、1%充電するのも大変だ。手回し発電でスマホを充電するというのは、現実的ではない。
一方ラジオであれば、5分間回して約26分聞けるので、効率はいい。またソフトライトも弱なら約2.7時間使えるので、かなり高効率であることがわかる。ただ基本的には、常時満充電にしておくという使い方になるだろう。
非常時の情報収集方法として、ワンセグ放送にも注目しておきたいところだ。現在はすっかりワンセグ対応機器も減ってしまい、忘れ去られた技術みたいなことになっているが、災害時に通信を使用せずに受信できる映像メディアとしては利用したいところだ。
筆者宅でワンセグ受信できる機器はないか探してみたところ、ソニーウォークマンの「NW-A919」があった。こうしたポータブル機器なら消費電力も少ないので、CRANKSPEAKERのバッテリーから給電してもいいだろう。皆さんのご家庭でも、ワンセグが受信できる古いケータイやスマホがあったら、災害用に動作確認しておくのも悪くない考えだ。
総論
日本の電力インフラは、それを支える人達の努力のおかげで、よほどのことがない限り長期停電は起こりにくいのは事実だ。だが逆に言えばすぐに復旧しないということは、相当大変なことが起こっているということであり、日頃の備えが重要になってくる。
電力の必要性は、季節にもよる。2026年7月の熊本地震は、東日本大震災(2011年3月)や能登半島地震(2024年1月)と違い、真夏の炎天下で起こった災害であり、空調が大きな課題となった。また復旧が長引けばそのまま夜になるわけで、そこで必要になるのが「明かり」と「情報」である。
CRANKSPEAKERは、その両方が得られる避難グッズとして、災害時には大きな力を発揮するだろう。日常使いにも最適化されたデザインで、常に目に見えるところで日常使いしておけば、真っ暗な中でどこにしまったかわからず取り出せないといったことにはならない。
本製品に限らず、ラジオかワンセグ機器など、通信を使わない情報機器は、何か一つ持っておきたいところだ。特に現代はスマホにすべてを集約する傾向があるが、通信が途絶えたとき、スマホのバッテリーがなくなったときの想定も必要だ。
またRHYTHMでは、行政納入用として防災行政ラジオの受信機も製造している。現在280以上の地方自治体が導入しているが、全国の市区町村は1,741ある。同社製品の導入率は約16%にとどまる。
試験も兼ねて防災無線放送が毎日使われている地域もあるが、過去には激しい風雨で窓が開けられなかったり、轟音で聞こえないということもあった。市民一人一人に対する防災情報を自治体に依存するのは、あまり現実的ではない。自分たちで何らかの備えを行う必要があると考えるべきだろう。














