■ 松下電器、ネットワーク・タウとEthernet端子付きepステーションを出品 Blu-rayのレコーダやディスクに注目が集まっていた松下電器のブースだが、ネットワーク接続に対応したAV機器のコンセプトモデルも多く展示している。 中でも注目を集めたのが、IEEE 802.11a方式の無線LANを使用し、HD映像の伝送とインターネットアクセスを同時に提供するシステムの参考出品。データの伝送速度は約24Mbps。HD映像を伝送し、残りの帯域をインターネットアクセスに利用するという。 システムにはBSデジタル、CSデジタルチューナを搭載しておらず、単体チューナとi.LINK接続する。ほかにも、ビデオ入力やD端子、Ethernet端子も搭載するという。本体上部には、回転するアンテナが装備されており、送信ユニットと受信ユニットのデザインに大きな違いはない。なお、AV機器のリモコン操作も伝送できるという。
また、BSデジタルチューナ内蔵のプラズマテレビ「T(タウ)」に、Ethernet端子を搭載した「ネットワーク・タウ」が参考出品されていた。価格は未定で、発売時期も「地上波デジタル放送の開始後」を予定しているという。通常のテレビとしての機能に加え、HTML形式のデータの表示が可能。専用の情報サイトから、天気やテレビ番組関連の情報にアクセスできるという。 さらに、付属のリモコンで専用サイト以外のネットサーフィンも可能。その際、URLの短縮機能により、あらかじめ決められた数字(例えば「123」など)を入力するだけで目的のサイトにアクセスでき、URL入力の煩わしさを低減するという。 また、Ethernet端子を装備したepステーションも展示されていた。現行のepsステーションはアナログモデムを使用しているが、展示機はADSLなどの常時接続に対応する。しかし、現段階ではepサービスで利用されているBML(Broadcast Markup Language)という規格にしか対応しておらず、インターネットのWebサイトを表示することはできない。 これらの参考出品は、いずれもコンセプトモデルとなっており、前述のネットワーク・タウで開発したソフトウェアをep端末に導入するか、ネットワーク・タウにep機能を搭載するといった可能性も含めて現在検討中とのこと。
ほかにも、HDD、DVD-RAM/Rドライブ、SDメモリーカードスロットを搭載した「AVCサーバー」も展示している。Ethernet端子やコンポジット、S端子、D端子などを装備。テレビやデジタルカメラの映像、インターネット上の音楽ファイルなどを蓄積するホームストレージのコンセプトモデルとなっている。
なお、サーバーの映像をホットスポット経由で野外でストリーミング観賞したり、携帯電話からの録画予約などの機能も盛り込まれるという。
■ 光無線伝送システムやホームサーバーを展示したビクター
また、HDDレコーダを中核にしたホームサーバー構想も提案していた。HDDレコーダの「メディアバンク」は放送の録画のほか、インターネットへも接続できる。また、SDメモリーカードなどを読み取る機能も持たせるという。 メディアバンクは、各部屋のメディアバンクや音楽データ再生専用の「オーディオサテライト」とLAN経由でつながるほか、ブースではPDAとの組み合わせも提案。メディアバンク内でMPEG-4に変換した映像を802.11b経由で伝送する仕組みで、端末には京セラの「PocketCosmo」を使用していた。
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■ 三洋電機、無線LAN対応の有機ELテレビなどを展示
三洋電機では、IEEE 802.11a無線LANに対応した有機ELテレビを出展している。IEEE 802.11aは規格上で54Mbps/実効約30Mbpsでデータ転送可能で、会場ではサーバー上のデータをリアルタイムに転送し、表示するデモが行なわれていた。チップセットには、米Magis製のAir5を採用している。 また、IEEE 802.11bを利用した製品のデモも行なわれていた。
また、USBオーディオトランスミッタ/レシーバのデモも行なわれている。これは、PC上で再生しているオーディオデータを、USBを介してトランスミッタ(親機)に転送し、そのデータを微弱電波を利用して離れた場所のオーディオレシーバー(子機)に送信することで、PCから離れた場所でもオーディオ再生が可能となるもの。 親機からは315MHz/5ch(100kHz毎)のFM変調方式で、オーディオデータと文字情報を子機に送信。子機は250MHz/5ch(100kHz毎)のFM変調方式で制御データを親機に送信する。通信距離は約10m。 デモ機では128kbpsのMP3データを再生していたが、PC側での再生環境はCDDAなどフォーマットに関わらずレシーバに送信可能となっている。デモ機のアンプ部 最大出力は20W×2ch。なお、開発ツールやデバイスの拡販や市場拡大に向けたデモ製品のため、このままでの製品化の予定はないという。
■ 三菱電機はHDTV超圧縮技術をデモ 三菱電機のブースでは、18~24MbpsのHDTV映像データを9.8Mbpsに圧縮する「HDTV超圧縮技術」のデモを行なっている。ハイビジョン映像を9.8Mbpsまで圧縮し、9.4GB DVDディスクに約2時間のデータを収録できるようになる。
HDTV信号の符号化時に、「動き補償」や「DCT」、「量子化」、「可変長符号化」などの各サイクルごとに予測符号化パラメータを最適化することで、圧縮率の向上を実現している。なお、MPEG-2標準仕様に準拠しているため、DVDプレーヤーなどに同技術を採用することで、HDTV対応のDVDプレーヤーが実現できるという。 □関連記事
■ シャープは5.2GHz無線伝送をデモンストレーション シャープブースでは、5.2GHz帯(IEEE 802.11e)を使用した無線AV伝送システムを紹介していた。転送レートは最大54Mbpsで、使用したソースは24Mbpsのハイビジョン映像(MPEG-2 TS)。AV HDDレコーダに録画したMPEG-2 TSを無線モジュールで送受信する。受信ユニットはかなり大きく、実用化の予定は未定。 ほかにも、従来からAQUOSなどで展開中の「スマートリンク」を利用した映像伝送も紹介。また、DLPプロジェクタの新製品「XV-Z90S」に実装されたAVワイヤレス機能(IEEE 802.11b)もアピールしていた。
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■ 東芝は液晶FACEワイヤレスを展示 東芝は、11月から順次発売されるワイヤレス伝送機能を搭載した液晶テレビ「液晶"FACE"ワイヤレス」を展示した。
モバイルAV用のシステムLSIの技術展示コーナーでは、Bluetoothに対応し、地上波デジタルやカメラモジュールも接続できるLSIを紹介。試作機として、SDメモリーカードスロットを搭載したモバイルビューワを展示していた。
■ デジタル放送対応機器を出品したマスプロとDXアンテナ
マスプロのブースでは、10月に打ち上げ予定の衛星と、補助的な地上無線設備「ギャップフィラー」で構成する、移動体向けの衛星デジタル放送のデモを行なっていた。 このシステムは、家庭などに加え、携帯電話や自動車などの移動体でもデジタル放送を受信するためのシステム。衛星が2.6GHzと12GHzの2つの電波を送出し、電波が届く場所では衛星から2.6GHzの電波を直接受信。ビル内部など、電波が遮蔽される場所では、ギャップフィラー局が衛星から受信した12GHzの電波を、2.6GHzに変換して移動体へ再送信する。 時速100km以上の高速移動中でも途切れることなく、高品位な音声と映像、データ番組を受信できるという。番組は映像やデジタルラジオ、データサービス合わせて約70chの予定している。
□CEATEC JAPAN 2002のホームページ (2002年10月2日) [usuda@impress.co.jp] [yamaza-k@impress.co.jp]
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