シャープ、ハイビジョンの無線デジタル伝送を実演
―ホームネットワーク構築に向けたAV無線伝送の取り組み


5月21日開催

 シャープ株式会社は21日、都内のホテルで「ホームネットワーク構築に向けたAV無線伝送の取り組み」と題した記者向けの技術説明会を開催した。

 同社は2001年8月に、物理層規格にIEEE 802.11b、通信制御に独自開発の技術を採用した、ワイヤレスでAV機器をつなぐ「スマートリンク」を発売。送信機にアナログ入力された映像信号と音声信号を、MPEG-2にエンコードし送信。受信機はその信号を受信して、アナログの映像信号と音声信号にデコードする。MPEG-2のビットレートは、5.4/4.5/4.0Mbpsの3段階の切り替えが可能。

 今回の説明会では、同社の液晶テレビ「AQUOS」にスマートリンクの受信機とバッテリを内蔵した試作機と、ポータブルDVDプレーヤーと送信機を接続してデモを行なった。このシステムにより、完全なワイヤレス環境で、離れた場所にあるDVDプレーヤーの視聴が可能になる。なお、現在のところ、AQUOSの無線LAN内蔵や、無線LAN内蔵モデルの具体的な販売予定はない。

従来製品を組み合わせた、無線伝送デモ。奥のDVDプレーヤーの映像と音声を、手前の液晶テレビに伝送している 送信機側は、現在販売されているものとまったく同じ

受信側のAQUOSは、受信機とバッテリを内蔵した特別バージョン。今のところ、製品化の予定はないという

 また、同社では現在、スマートリンクの次期製品・方式として、5GHz帯を使用したIEEE 802.11a準拠の製品の開発を進めている。通信制御規格に、現在策定中で今年度中にまとまる予定のIEEE 802.11eを使用しているのが特徴。

 IEEE 802.11aでは、最大転送速度が54Mbpsと、IEEE 802.11bの約5倍。これにより、デジタル放送の標準放送(SD、6Mbps)なら3本、ハイビジョン放送(HD、24Mbps)なら1本をリアルタイムに転送できる。また、AV伝送と同時に、LANとの共用も可能となり、映像を見ながら、インターネット接続といったことが実現できる。さらに、指定した機器と複数接続も可能となる。

 IEEE 802.11eでは、リアルタイム性が欠かせないAV伝送のために、時間管理を行なう特別なステーション(HC:Hybrid Coordinator)を設定。送りたいデータ量に応じて、HCが送信権を割り当て、映像データを優先して送信することができる。さらに、誤り訂正符号の付加、新規の再送要求方式が追加されている。

 会場では、IEEE 802.11aと、IEEE 802.11eを使ったハイビジョン動画の伝送デモも行なわれた。こちらの方は、まだ技術デモレベレでの実演で、装置も大掛かり。送信側に蓄積してあるMPEG-2データを送信して、外付けの受信機で受信して接続した液晶テレビに映し出していた。

 次期方式の製品化については、「現在、各事業部に渡って議論を重ねており、来年にも発売したいと」と話していた。

ハイビジョン伝送デモ。写真奥が送信側。手前の液晶テレビで受信したハイビジョン映像を表示している

送信側。下の黒いユニットから送信している 受信側もかなり大掛かり。受信ユニットも内蔵ではなく、外付けとなっている

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□関連記事
【2001年7月24日】シャープ、AV機器を電波でつなぐ「スマートリンク」
 ―MPEG-2にエンコードして無線LANで伝送
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010724/sharp2.htm

(2002年5月21日)

[furukawa@impress.co.jp]

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