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TAOCスピーカーの“新たな前進”、ラウンド形状や独自ウーファ搭載「AFC-L1」

 アイシン高丘は、TAOCブランドの3ウェイフロア型スピーカー「AFC-L1」を1日に発売した。価格は1台110万円。塗装仕上げはゼブラウッド(AFC-L1Z)、カーリーメープル(AFC-L1M)の2色を用意する。

3ウェイフロア型スピーカー「AFC-L1」。カーリーメープルモデル

 アイシン高丘は、自動車のエンジンやブレーキ、ドライブトレーン関係の鋳造品や塑性加工品を主に生産。一方で、鋳鉄の特性である制振性や高剛性、高質量を活かして、TAOCブランドで'83年以来オーディオ用ラックやスピーカースタンドなどのアクセサリを開発。1999年からは高級スピーカーにも参入している。

 「AFC-L1」は、「良質な低音、明瞭と柔らかさのバランス、主張しない存在感」を目指して開発。型番の「AFC」はAdvanced FCシリーズを意味し、「L1」には「TAOCスピーカーシステムの新たなスタート」という意味が込められている。

 「直線の美しさとラウンド形状を調和させたフォルムとスキマの美の組合せ」と表現する、新しいデザインコンセプトのエンクロージャを採用。ユニットを囲むマウントリングには銀鏡塗装を施している。

 バッフル面には、ユニットの自然な響きを受止め、自然さを消さないように板厚30mmのロシアンバーチの無垢材を使用。振動の均一化を図るために平行度0.3mmの精度で加工し、強度と美しさをアップさせるために、1.2mmのメラミン樹脂板も貼り込んでいる。

 側板は、余分な響きと定在波を防止するためのラウンド形状とし、厚さ2.5mmの高密度MDFを12枚貼り合わせて構成。内部には、整振の観点から仕切り板を使わず、補強リブを、モーダル解析という周波数毎の変形解析で位置決めして搭載。共振防止のため、あえて左右非対称に取り付けている。バッフルと底板のスラント設計でも内部の定在波を防止。組立てはホゾ接ぎ加工。

 前面に大口径バスレフポートを用意。「原則計算式に忠実に口径を決定した」とのことで、低域の力強さを実現。風切り音などの対策も施している。

ゼブラウッド仕上げも用意する

 ユニット構成は、既存モデル「FC4500」のスタガード・2.5ウェイから、オーソドックスな3ウェイに変更した。サイズはツイータが2.5cm径のリングラジエタータイプ、ミッドレンジが18cm径のスライスドペーパーコーン、ウーファが23cm径のポリプレピレンコーン。

 ツイータはスキャンスピーク製で、強力なネオジウムマグネットを使い80kHzまでをカバー。超高域の減衰を防ぐため磁気回路に銅のショートリングを設け、ボイスコイルに発生するインピーダンスの上昇を抑えている。

 ミッドレンジもスキャンスピーク製。振動板に切れ込みを入れ、それをバインダーで接着することにより剛性を高め、分割振動を防止。

 ウーファは、オーディオテクノロジー製。ボイスコイル部にカプトン素材が使われており、高い絶縁破壊電圧、小さな誘電正接などの優れた電気特性により、低い機械的抵抗も実現。低音の再生能力を高めているという。

 オーディオテクノロジー製ユニットの採用はTAOCでは初だが、「開発の過程でオーディオにおける鋳鉄の有用性をTAOCが説明したところ、オーディオテクノロジーの社長が非常に興味を持ち、ぜひ鋳鉄をフレームに使いたいということで、今回使用するユニットについては日本で鋳鉄のフレームを作り、それをデンマークに送ってオーディオテクノロジーでユニットを組み立てるという日欧合作のTAOC専用ユニットになっている」という。

 スピーカーユニットの取付けには、ハイカーボン鋳鉄製の「マウントリング」を配置するアイソレーテッドマウント方式を採用。振動板の動きによるユニットフレームの微小な変形を最小限に抑えたという。

 ネットワークには高純度OFCコイルや高精度コンデンサ、無誘導抵抗などを採用。低音用のネットワークには、専用のオイルコンデンサとフィルムコンデンサをハイブリッドで使っている。

 再生周波数帯域は28Hz~80kHz。出力音圧レベルは90dB/2.83V。インピーダンスは6Ω。クロスオーバーは400Hz/12dB、4kHz/18dB。外形寸法は380×480×1,080mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は55kg。スピーカーターミナルの端子はオリジナルのもので、従来の真鍮製から高純度無酸素銅に変更。バイアンプ接続にも対応している。