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ソニー、バーチャルプロダクション向け新「Crystal LED CAPRI」。最大14台スタッキング
2025年6月6日 12:00
ソニーは、大画面LEDディスプレイに風景などを表示し、スタジオ内でも屋外のような映画撮影ができるバーチャルプロダクション向けLEDディスプレイの新シリーズ「Crystal LED CAPRI」(ZRD-VS25FB)を2025年冬に発売する。2024年に発売したCrystal LED VERONAの高画質性能、高い設置性を維持しつつ、制作現場の多様な需要に応える新たなモデルとして開発された。価格はオープン。
CAPRは最大輝度1,500cd/m2を実現。業界最高水準という7,680Hzのリフレッシュレートによりスキャンライン(水平方向の黒い線)を低減。ディスプレイ表面の反射を抑えることで、スタジオ用照明機材などの映り込みを抑制し、鮮明な映像表現も可能にしている。ピッチサイズは2.50mm。デジタルシネマ向け規格DCI-P3の98%以上をカバーする広色域にも対応する。
ディスプレイキャビネットは、特別な工具を使わなくてもディスプレイキャビネット同士を固定できるレバー式ロック機構や、正確な位置合わせが容易にできる位置決めピンなどの機構を採用。作品や撮影シーンに合わせて、ステージの大きさや構成を変更する際に、簡単かつ迅速、高精度に組み立てられるという。
隣接するディスプレイキャビネット同士が設置時の接触によって破損しないよう、保護するためのエッジプロテクションやスライドイン機構を搭載。これらにより、LEDモジュールの破損リスクを低減した。
バーチャルプロダクション用途では、ディスプレイキャビネットを積み上げた際の耐久性やカーブ/オーバル設置、撮影シーンに応じたLEDの位置を変更できる吊り下げ設置など、高度な設置が求められる。
CAPRIは、最大14台(高さ7m=キャビネット0.5m×14台)までスタッキングができるようキャビネットの強度を高めている。また、専用の角度調整ブロックを使用した機構を採用し、高精度なカーブ設置が可能。
ディスプレイを組み上げた状態のまま、全てのLEDモジュールを裏側から交換することができ、突発的なトラブルにも迅速に対応できるという。
映像ソースを受信し複数のディスプレイキャビネットに映像を分配するディスプレイコントローラーには、バーチャルプロダクション業界で広く使われているBrompton Technology社製のTessera SX40と、Megapixel社のHELIOSを使用可能。
「Virtual Production Tool Set」との連携により効率的なワークフローも可能。Unreal Engine用プラグイン「Camera and Display Plugin」を使うと、カメラの光学設計情報とLEDピッチ情報を組み合わせることで、モアレの発生リスクを予測し、プリビジュアライゼーションと撮影現場のいずれの工程においても、リスクを警告表示できる。
今後、ソニーのCrystal LED向けの専用機能として視野角色補正機能をVer3.0にてアップデート予定。カメラの位置情報を使用し、カーブや直角に設置されたLEDディスプレイを斜めから撮影した際に生じる色ずれをリアルタイムに補正、ポストプロダクションにおける色調整・編集作業を大幅に効率化するという。
補正LUT生成ソフトウェア「Color Calibrator」は、バーチャルプロダクションで高い色再現性を実現する補正LUT生成ソフトウェア。撮影を開始する前に、LEDやカメラ・レンズなどをまとめてキャリブレーションしておくことで、撮影効率が向上し、ポストプロダクションの作業を軽減できる。