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デノン、DDFAと駆動力が進化したフルデジタルヘッドフォンアンプ「DA-310USB」

 ディーアンドエムホールディングスは、デノンブランドの新製品として、「DDFA」を使った、フルデジタルプロセッシングのUSB DAC兼ヘッドフォンアンプ「DA-310USB」を12月中旬に発売する。価格は68,000円。

フルデジタルプロセッシングのUSB DAC兼ヘッドフォンアンプ「DA-310USB」

 2014年発売「DA-300USB」の後継モデル。最大の特徴は、Qualcommの「DDFA」をヘッドフォンアンプに採用した事。高速かつ精度の高いデジタル・フィードバック・ループを使い、音源の情報を損なうことなくヘッドフォンをドライブできるという。既発売のネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2500NE」のヘッドフォンアンプ部と同じように、新世代のDDFAを使っている。

「DDFA」部分

 ドライブ力も強化。ヘッドフォンの能率、インピーダンスに合わせて設定できる3段階のゲイン切り替え機能を備え、ハイインピーダンスなヘッドホンも余裕を持って駆動できるという。設定はフロントパネルのアイコンをタッチして切り替えられる。

 定格出力は380mW×2ch(32Ω)、130mW×2ch(300Ω)、74mW×2ch(600Ω)。ヘッドフォンのインピーダンスは8~600Ωまで対応。音量は、0.5dBステップで調整可能。デジタルドメインで処理を行なうため、左右チャンネルの音量差を生じるギャングエラーやクロストークを完全に排除した。

 入力端子はPC接続用のUSB-B、光デジタル×2、同軸デジタル×1を装備。出力は、アナログ標準ジャックのヘッドフォン端子×1、アンバランス(RCA)×1を搭載する。

背面

 USB DACとしては、DSD 11.2MHzまで、PCMは384kHz/32bitまでに対応。DACチップはバーブラウンの「PCM1795」で、デジタルフィルタを外部に用意する事で、最新のフォーマットにも対応。ASIO、DoPによるネイティブ再生が可能。PC側のジッタを多く含んだクロックを使わず、310USBの超低位相雑音クロック発振器によって生成されるマスタークロックで制御するアシンクロナスモードにも対応している。同軸デジタル、光デジタル入力は192kHz/24bitまでのPCMに対応する。

 USB-B入力、同軸デジタル入力に接続したソース機器からの高周波ノイズ流入を防ぐため、高速なデジタルアイソレータも搭載。ICチップ上に組み込まれたトランス・コイルを介して磁気によりデータ転送を行なう事で、音楽データのみを伝送。ノイズをシャットアウトしている。

USB DAC部分

 独自のデータ補間アルゴリズムを使った、アナログ波形再現技術の最新バージョン「Advanced AL32 Processing Plus」も採用。PCM 384kHz/32bitまでの入力に対応しており、「補間ポイントの前後に存在する多数のデータからあるべき点を導き出し、限りなく原音に近い理想的な補間処理を行なう。デジタル録音時に失われたデータを精巧に復元することで、歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域、原音に忠実な再生を実現する」という。

 DACをマスターとしてクロック供給を行ない、デジタル回路を正確に同期させるDACマスター・クロック・デザインを採用。マスタークロックをD/Aコンバーターの直近に配置することで余分なジッタの発生を抑え、高精度なD/A変換を実現したという。位相雑音を大幅に低減したクロック発振器も搭載。44.1kHz、48kHz系ごとに、個別のクロック発振器も搭載している。

DACマスター・クロック・デザインを採用

 アナログオーディオ出力回路にはCDプレーヤーなどのHi-Fiコンポーネントと同様の回路構成を採用。DA-300USBから基板パターンを全面的に見直し、左右のオーディオ特性を揃えることで、「クラスを超えた空間再現性と、フルサイズ・コンポーネント譲りの余裕のある表現力を実現した」という。

アナログオーディオ出力回路

 NEシリーズにも採用されたオーディオ用電解コンデンサや抵抗器、フィルムコンデンサーなども多数搭載。サウンドマネージャーによる試聴を重ねて、最適なパーツを選定したとする。電解コンデンサにはパーツメーカーと共同開発したカスタムパーツを使っている。

 DA-300USBと同様に、デジタル系とアナログ系それぞれに専用のレギュレーターを搭載して安定化。アナログオーディオ系には、音質面で有利な低出力インピーダンスのリニアレギュレーターを採用。電源はACアダプタを使っているが、ACアダプタから入力される電源に含まれるノイズを除去した上で、ヘッドフォンアンプ回路やオーディオ出力回路にクリーンな電源を供給している。

 PMA-50やDCD-50など、既存の「デノン・デザイン・シリーズ」と同様に、不要な装飾を廃し、ミニマルなデザインを採用。本体上下のパネルには3mm厚のアルミニウムを使用し、表面仕上げはサンドブラスト加工。外部振動による音質への影響の抑制にも効果を発揮している。

 縦置きも可能で、ディスプレイの表示向きも自動的に回転する。横置き時の外形寸法は、180×197×71mm(幅×奥行き×高さ)。重量は1.5kg。

縦置きも可能