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東芝が決算発表を延期、原子力事業で内部通報。半導体株式過半譲渡も

 東芝は、2月14日に予定していた2016年度第3四半期決算発表を3月14日まで延期した。米国の原子力事業にともなう、内部統制不備を示唆する内部通報があり、その影響範囲にさらなる調査が必要としている。

メモリ事業は「マジョリティ譲渡」を含む外部資本導入検討

 また、1月にメモリ事業(SSDを含み、イメージセンサー事業を除く)を会社分割により分社化し、外部資本を導入する方針を発表しているが、その際は東芝の完全子会社としての分社化を予告していた。しかし、14日の発表では「グループの財務体質強化のため、マジョリティ(過半)譲渡を含む外部資本導入を検討」と記されている。会見において、綱川智社長も「東芝のマジョリティ確保にこだわらない。マイノリティになっても、外部資本導入を検討する柔軟な体制ですすめる」とコメントした。

営業損益見通し。原子力事業ののれん減損で大幅赤字

 14日に発表した2016年第3四半期累計期間見通しは、売上高が1,400億円減の3兆8,735億円、営業利益はマイナス5,447億円の赤字、純利益は4,999億円の赤字。「各事業の収益力は改善しているものの、原子力事業ののれん減損による大幅赤字」としており、原子力事業ののれん減損は7,125億円に及ぶ。

 上記の数字は現在の見通しで、さらなる調査を経て、3月14日までに決算発表予定とする。延長の理由は、1月8日、19日に米国で原子力事業を担うウェスチングハウス(WEC)によるCB&Iストーン&ウェブスター社の買収に伴う取得価格配分手続の過程において、内部統制不備を示唆する内部通報があったため。調査したところ、1月28日からWECの経営幹部からWEC経営者による「不適切なプレッシャー」の存在を懸念する指摘があり、指摘を行なったWECの経営幹部へのインタビューを行なったところ、経営者による内部統制の無効化が仮にあった場合に、四半期連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があると判断。さらなる調査が必要との結論に至ったとする。

 また、代表取締役 会長の志賀重範氏の退任も発表。ウェスチングハウスによるCB&Iストーン&ウェブスター社の買収に関連して、想定される損失計上に伴う経営責任として辞任する。