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YouTubeは「人気クリエイター活用のオリジナル作品に注力」。YouTube TV日本展開も検討

 Googleは30日、YouTubeのコンテンツ傾向や広告などのビジネスの現状について説明する「YouTube B2B セッション」を開催。来日したYouTubeのチーフビジネスオフィサーのロバート キンセル氏が、日本がYouTubeの売上における2番目の市場に成長した事や、3月から米国でスタートした、ケーブルテレビのチャンネルを有料でストリーミング配信する「YouTube TV」の海外展開を検討している事などを語った。

YouTubeのチーフビジネスオフィサーのロバート キンセル氏

1分間に400時間分の動画がアップロード

 キンセル氏は、現在のYouTubeの規模について「7年前に入社した時は、1分間に40時間分の動画がアップロードされていたが、現在は400時間、10倍に増えている。全世界での利用者数は先月で15億人になっている」という。

 日本の利用者も増加しており、ニールセンの調査によれば、今年の4月の時点で「スマートフォンでYouTubeにアクセスする人の数が1カ月で4,500万人になった。2016年11月の調査では、18歳~59歳までの日本人ネットユーザーの77%がYouTubeを利用している」とのこと。急速な伸びを反映し、ビジネスとしての市場も日本が全世界で2位の規模となっている。

スマートフォンでYouTubeにアクセスする人の数が1カ月で4,500万人に達したという

 投稿されるコンテンツの傾向については、「大手のメディアもYouTubeを使っており、特にプロのコンテンツが増えている。アマチュアからプロまで、全ての人が参加できるところがYouTubeのユニークで素晴らしいところであり、クリエイターが作り、発表し、様々な人に見てもらえるプラットフォームが成立している。その結果、YouTubeで生計を立てているという人もいる。レコードレーベルやテレビ局など、コンテンツホルダによって様々なYouTubeとの付き合い方があり、例えばテレビ番組のショート版やロング版をアップロードしたり、オリジナルのコンテンツをYouTubeで公開するというケースも増えている。YouTubeとの良いコラボレーションによって良質なコンテンツが増える事で、視聴者も日々YouTubeを観てくれるという環境が出来上がっている」と分析。

 動画コンテンツのマネタイズ方法は、広告が表示され、アクセス数に応じて支払われるというシステムが従来からのものだが、米国では新しい形として、「有名人やYouTubeのスターを広告主がサポートするという取り組みをはじめた。様々なブランドやメーカーが協力し、YouTubeスターらがオリジナルコンテンツを作り、無料で公開するという形だ。これを日本を含め、世界中へ展開していく事を検討している」という。

広告のシステムも進化

 広告システムも進化。広告主が、YouTubeで人気のコンテンツに絞って広告を打ち出せる、予約型の「Google Preferred(グーグル・プリファード)」を展開している。これは、全コンテンツの中の、トップ5%に対して広告を表示するという。

 さらに、6秒という短いフォーマットの「バンパー広告」、YouTube以外のサイトやアプリに埋め込まれたYouTube動画や、スマートフォンのYouTubeアプリ、モバイルブラウザ版YouTube、インターネット テレビなどにも広告を出せる「TrueViewインストリーム広告」などを展開する事で、広告想起率(そのジャンルで思い浮かぶ広告)が日本で50%向上したという。

YouTubeで人気のコンテンツに絞って広告を打ち出せるシステムも
広告システムの進化で広告想起率も向上

オリジナルコンテンツは「人気のクリエイターを活用」

 動画配信サービスでは、NetflixやAmazonなどが、オリジナル作品への投資を加速しており、クオリティの高い映画やドラマを生み出し、そのコンテンツが他の配信サービスとの差別化になっている。

 YouTubeも米国では、昨年の1月からオリジナルコンテンツへの取り組みを開始。キンセル氏によれば、「30程度の映画やショーをリリースしている。広告を表示しない有料の定額配信サービス“YouTube Red”で展開しているほか、広告を付けたオリジナルコンテンツも昨年秋から提供を開始している。どちらも全世界への展開を検討している」という。

 その際の、コンテンツのイメージとしてキンセル氏は、「YouTubeで既に人気のあるクリエイターを使っていきたい。彼らの多くはYouTubeでしかコンテンツを披露していないので差別化になる。また、既に(彼らを)フォローしている人達も多いので、それも強みになる。こうしたクリエイター達が、オリジナルの作品を手がける時に、YouTubeが資金提供をするといった取り組みは1年半ほど前からアメリカでは行なっているが、非常に好調」だという。

 米国で2カ月前から展開している、ABCやCBS、FOX、NBCなどのケーブルチャンネルをSTBなしに視聴できる有料のストリーミングサービス「YouTube TV」の今後については、「現在、米国の4都市で展開しており、他の都市にも拡大を検討している。海外に関してはまだ検討段階だが、2、3カ月後にはもう少し違う話ができるかもしれない」と語った。