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無印からワイヤレスヘッドフォンやBluetoothスピーカー。無響室も使ってサウンドチューニング

「ワイヤレスヘッドホン ノイズキャンセル機能付」

無印良品を展開する良品計画は、「暮らしに、いい音。」をコンセプトにしたワイヤレスヘッドフォンや完全ワイヤレスイヤフォン、ワイヤレススピーカーなど合計5機種8モデルを、7月15日に全国の無印良品の店舗とネットストアで発売する。価格は2,990円~6,990円。

ラインナップは「ワイヤレスヘッドホン ノイズキャンセル機能付」と「ワイヤレスイヤホン カナル型」、「ワイヤレスイヤホン インナーイヤー型」、「ワイヤレス モバイルスピーカー ループ付」、「ワイヤレスコンパクトスピーカー」。イヤフォンとヘッドフォンはホワイトとグレー、スピーカーはグレーのカラーバリエーションを用意する。

  • 「ワイヤレスヘッドホン ノイズキャンセル機能付」 6,990円
  • 「ワイヤレスイヤホン カナル型」 2,990円
  • 「ワイヤレスイヤホン インナーイヤー型」 2,990円
  • 「ワイヤレスモバイルスピーカー ループ付」 3,990円
  • 「ワイヤレスコンパクトスピーカー」 2,990円

「重低音を強調するなど過度な演出はせずに、できるだけ自然な音になるように仕上げた音質を、手に届きやすい価格で揃えた」というラインナップ。

同社は「近年、音楽や音声コンテンツを利用する場面は、家の中だけでなく、通勤・通学、仕事や家事、外出先など、暮らしのさまざまな場面へと広がっている。このような環境変化の中で、オーディオデバイスには、使う場所や用途に応じて選びやすく、日常に自然になじむことが求められている」としている。

ワイヤレスヘッドホン ノイズキャンセル機能付

アクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載し、周囲の騒音を低減することで、移動中や作業中にも音楽や音声などの再生コンテンツに集中しやすくするワイヤレスヘッドフォン。

折りたたみも可能

Bluetooth接続のほか、市販の3.5mmステレオミニプラグ付きケーブルを使うことで有線接続でも利用できる。低遅延のゲームモードも搭載。

バッテリー駆動時間はANC ON時で約40時間、充電時間は約3時間。マイクも内蔵し、通話でも利用できる。イヤーパッドは交換可能で、交換用も別売りする。ヘッドバンド部分にはシリコン素材を採用している。重さは約254g。

イヤーパッドは交換でき、別売りも行なわれる

ワイヤレスイヤホン カナル型

「ワイヤレスイヤホン カナル型」

耳穴に挿入するカナル型を採用した完全ワイヤレスイヤフォン。耳にフィットして外れにくい形状で、移動中などの日常使いに適しているとする。マイクも内蔵し通話も可能。イヤフォンにはタッチセンサーを搭載する。

バッテリー駆動時間は約6時間。充電ケースはイヤフォンを約3回充電できる。充電時間はイヤフォン本体、ケースともに約2時間。

S/M/Lのイヤーピース、USBケーブルが付属。左右各イヤフォンとイヤーピースの単体販売も行なうため、紛失時にも片側単位で追加購入できる。

ワイヤレスイヤホン インナーイヤー型

「ワイヤレスイヤホン インナーイヤー型」

インナーイヤー型で耳をふさぎすぎないため、周囲の音も聞こえ「家事・移動・作業中など、生活の中で使いやすい仕様」とする完全ワイヤレスイヤフォン。こちらもマイクとタッチセンサーを備える。

バツテリー駆動時間は約3時間30分。充電ケースはイヤフォンを約3回充電できる。充電時間はイヤフォンが約1時間30分、ケースが約2時間。

こちらも、左右各イヤフォンの単体販売があり、紛失時には片側単位で追加購入できる。

無印良品のワイヤレスイヤフォン2機種(中/下)とアップル「AirPods Pro 3」(上)を並べたところ。無印の2モデルはケースも含めてコンパクト

ワイヤレス モバイルスピーカー ループ付

ループ付きで携帯性を高めたポータブルBluetoothスピーカー。本体背面にパッシブラジエーターを備え、低域から高域までバランスよく、低音も豊かに表現するという。

同じモデルを2台同時に接続してステレオ再生するTWS(True Wireless Stereo)モードに対応。本体はIPX5相当の防水仕様。

バッテリー駆動時間は約15時間。充電時間は約4時間。マイク内蔵で通話もできる。

ボタン類は本体下部に搭載。担当者によれば防水と音質を考慮した結果だという

ワイヤレスコンパクトスピーカー

「ワイヤレスコンパクトスピーカー」

コンパクトな上向き仕様で、食卓やデスク、棚の上など限られたスペースにも設置しやすいというポータブルBluetoothスピーカー。スピーカーが上向きに配置されているため、「音が空間に広がりやすく、暮らしの中で心地よく音を楽しめる」とする。

同じ2台同時に接続してステレオ再生するTWS(True Wireless Stereo)モードに対応。本体はIPX5相当の防水仕様。

バッテリー駆動時間は約10時間。充電時間は約2時間30分。マイク内蔵で通話もできる。

実機を聴いてきた

短時間ながら、各製品を試聴してきた。どの製品にも一貫しているのが、とてもナチュラルな音作りだということ。1万円を超えるような他社製品と比べると、音の解像感は物足りなさが強いが、各帯域が強調されることなく自然に鳴るので、音のバランスが非常に心地良い。

ライブ収録されたホテル・カリフォルニアを試聴してみると、演奏が始まる前の観客の歓声、イントロのベースの沈み込み、ギターのキラキラとした鳴り、そしてボーカルとコーラスの重なり感などが、とても丁寧に描写される。音源に忠実なチューニングは、素材にこだわった食品や衣類、化粧品などを展開している無印良品らしさを感じるポイントだった。

今回のラインナップで唯一ANCを搭載するヘッドフォン「ワイヤレスヘッドホン ノイズキャンセル機能付」は、ANCも使ってみた。比較的静かな会議室でのテストだったが、ANCをONにして音楽を流すと、“隣の人が喋っているのは分かるが、内容までは聴き取れない”レベルまで音を打ち消してくれる。またANCをONにすると低域の量感が若干アップするような印象もあった。

一方、気になったのは装着感。合革のような質感のイヤーパッドとシリコンを使ったヘッドバンドは反発力が強い印象で、耳の上に乗せるオンイヤー型ということもあり、やや圧迫感が強い印象だった。イヤーパッドは使い続けると素材が馴染んでくると思われるが、特に使い始めは違和感を覚える人もいるかもしれない。

完全ワイヤレスイヤフォン2種はどちらもケースが非常にコンパクトで、カバンや机に忍ばせておくサブ機としても使い勝手が良さそう。インナーイヤー型は首を激しく降った程度ではズレることがないフィット感だったので、日常使いでも落下する不安はなさそうな印象だった。

なお、これら2機種にANCを搭載しなかった理由を、開発に携わった良品計画の矢野健氏に聞いたところ「本当に必要ですか?と思ったところがあります」と明かした。

「インナーイヤー型は外の音も聞こえる開放感が魅力なので、ANCは省きました。カナル型も耳栓型なので低音が鼓膜にダイレクトに届きます。そこにノイズキャンセルを追加でかける意味合いを見出だせませんでした。ノイズキャンセルを使いすることで価格が上がってしまうのであれば、本当にいるのか?と削ることにしました」

「あとノイズキャンセルをかけると音質はやっぱり、ちょっと犠牲になると思っているんです。なので、本当にその音を誠実に楽しもうとしたときに、それでいいのかという葛藤もありましたね」

無印良品がオーディオを手掛ける意味。「専門性が高い業界だが、無印が提案できることがあるのでは」

良品計画の嶋崎朝子上席執行役員

7月2日にはメディア向けに説明会が行なわれ、オーディオカテゴリに参入した理由や、各製品のこだわりなどを話した。

ヘッドフォンやイヤフォン、スピーカーなどオーディオ製品を展開する理由について、良品計画の嶋崎朝子上席執行役員は「例えばコロナ禍やライフスタイル、働き方の変化によって、日常のなかでの音との付き合い方は以前よりも多様化してきていると思っています。オーディオ機器は、どれもなくては生活できないものになってきている」とする。

「仕事でどうしても必要だったり、自分の効率を上げる、スイッチを入れるためのものだったり、あとは癒しを求めたりと、音の役割、そして(オーディオ)機器の役割が非常に変わってきています。専門性が高いオーディオという業界ではありますが、無印良品が提案できることがあるのではないかと思っています」

「無印良品は生活の基本の商品を中心に1万点以上を展開していて、例えば化粧品やアパレルなど『ちょっと専門性が高いな、私はそれほどじゃないんだけど』というお客さまに対して『こういうものがありますよ、こういう使い方もありますよ』と提案することで、敷居を低くしてみなさまの生活をもっとより良くすることができる企業だと思っています。一方で、手に取りやすい価格や品質というところは手を抜かないようにしっかりと開発してきました」

良品計画、生活雑貨E&O担当の矢野健氏

製品開発に携わった矢野氏は、各製品のサウンド作りについて、音場・ライブ感と音像・定位感、量感といった要素にこだわったと明かす。

「今はBluetoothに代表されるワイヤレス再生がほぼ主流になっています。つまり家のどこにでも持っていける、外に持ち出せるなど、いろいろなところで音楽を楽しめることがポイントになっています」

「(音へのこだわりと携帯性を)しっかりとこの小さな筐体のなかに閉じ込めたいと思って、内部のチューニングはエンジニアたちとイチから作り上げてきました。特に重要視したのは音場や音像、量感で、このあたりはきちんと具現化するために開発してきました」

「量感を得るためには中低域が重要になりますし、その中低域を支える要素として低域も大事です。また高域も音の輪郭をはっきりさせるような役割があります。ただ難しいのは例えばベースの音とバスドラムの音は、周波数帯域がとても近いので、低域を乱暴に持ち上げるとボコボコとした音になってしまいます」

「そのあたりの周波数特性をしっかりチューニングすることで、ベースとバスドラムの音の輪郭がちゃんと分離されて聴こえてきます。目を閉じて聴くと、ベースとドラム、ボーカルの位置が見えるんです。そうした音の輪郭、定位が聞き分けられるようなチューニングを目指しました」

「チューニングにあたっては無響室を使って、マイクを立てて音の特性も計測しました。そうして音の特性を見極めて、全体のキャラクターを作ったうえで、その方向性を各製品で再現できるようなエンジニアリングを行なってきました。開発チームには、音響メーカーでスピーカー設計をしていたようなメンバーもいるので、彼らと工場に入り込んで、作り上げてきました」

また矢野氏は「学生や若い人にも音楽を楽しんでもらう機会を提供したい」と、価格もこだわったポイントだと説明した。

「生活のなかで、すごく高級なオーディオを大事に使うのも楽しみのひとつだと思いますが、生活にもっと寄り添って“じゃんじゃん使える、でもきちんと音がいい”というものの最適解を実現したかった」

「私もそうですが、どうせ買うならハイエンドなイヤフォンにしようと思ってしまいますが、それで会社のオンライン会議に出ますか?と聞かれると、多分使い分けるんですよね。オールマイティに使えるというところを狙ったところがあるので、日常の生活の中で“十分これで使えるよね”という最適解を、開発のなかで大事にしました」

嶋崎上席執行役員も「スピーカーやイヤフォンを買おうと思ったとき、『3,900円くらいのを買おう』や『15,000円くらいのものを買おう』といったように先に(予算感を)設定していると思うんですよね。そして購入したあとに、それなりなのか、がっかりなのか、期待以上だったのかということがよくあると思います」と補足する。

「無印の場合、手に取りやすい価格、みなさまが『買うんだったこれくらいかな』というところをおさえつつ、製品自体の満足度はそれを上回ることを目指しているのがひとつの特徴だと思っています」