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YouTubeライブ配信がスマホから可能に。100円~5万円で“コメント投げ銭”Super Chatも
2017年2月7日 23:00
Googleは7日、YouTubeのモバイル向けアプリにおいて、スマートフォンから直接ライブ配信ができるようにした。YouTubeのチャンネル登録者数が1万人以上のユーザーから同機能を開放、いずれは全ユーザーへと開放していく予定。さらに、ライブ番組に視聴者がコメントを入力する機能を強化、視聴者が料金を支払うとよりコメントを目立つ装飾カラーで囲み、長時間画面上に表示でき、配信者を金銭的に応援できる「Super Chat」機能も順次利用できるようになる。
モバイルアプリからのライブ配信機能は、iOS/Androidのどちらでも、1万人以上のチャンネル登録者を持つユーザーから順次利用できるようになる。配信者のSuper Chat利用は、チャンネル登録者数が1,000人以上のユーザーから順次開放。Super Chatの購入は誰でも利用できるが、決済機能の実装の問題で、PC向けとAndroid向けアプリから対応スタート。iOSも早期の対応を予定している。
スマホから手軽にYouTubeライブ配信が可能に
YouTubeのライブ配信は従来、PCからWebカメラを使ったり、ゲーム画面などを配信する事は可能だったが、モバイルアプリではライブ配信はできず、スマホ内の動画ファイルをアーカイブ的にアップロードする事しかできなかった。
今回、アプリの強化によりスマホからのライブ配信が可能になり、例えば屋外で、スマホで朝日を撮影しながらライブ配信を行なうなど、より機動的で、ライブイベントに適した場所から、スマホだけで手軽に配信できるようになる。
配信方法は、YouTubeアプリのホーム画面の右下にある赤いビデオカメラマークをタップすると、従来からの「録画」アイコンに加え、新たに「ライブ配信」アイコンが登場。ここをタップすると、ライブ配信がスタートする。
配信前には、動画の向きを縦向きか、横向きかの選択も行なう。
なお、PCから配信する際は、配信レートを細かく設定するなど豊富なカスタマイズ項目が用意されているが、スマホアプリではそうした設定は無く、あらかじめYouTube側が最適な設定を用意。シンプルに配信できるのが特徴。ただし、配信映像を受け取ってからのYouTube側のバックエンドはPCと同じシステムを使っており、配信者から受け取った映像の配信クオリティなどは、PCから配信する場合とほぼ同じだという。
そのため、YouTubeが公開しているAPIを使って、4K映像や、360度カメラと連携したスマホからの360度映像を配信するアプリを、サードパーティーが開発する事も可能だという。
金銭的に配信者を応援できるSuper Chat
YouTubeのライブ配信番組では、PCのブラウザで視聴する場合は映像の右側に、スマホのアプリで観る際は画面に重ねて、視聴者のコメントが表示される。しかし、視聴者数が多く、コメントが大量に書き込まれると、すぐにコメントが流れてしまって目立たない場合がある。
そこで、コメントを目立たせる有料サービスとしてスタートするのが「Super Chat」。金額は1コメントにつき100円~5万円の間で、ユーザーが自由に設定可能。金額に合わせてコメントの周囲のカラーや、表示されている時間が異なる。
例えば最低価格の100円では、そのユーザーが100円支払ったという表示がコメント欄に蛍光色で目立つ形で表示されるが、任意のメッセージは入力できない。200円支払うと、目立つ色の表示と共にメッセージも入力可能。ただし、コメントが流れていくスピードは、通常の無料コメントと同じ。
500円支払うと、メッセージを目立つカラーで投稿できるほか、コメントが流されていっても、画面の一番上で消えてしまわず、そこで2分間継続表示される。さらに金額がアップすると、表示時間が増加。1,000円で5分、2,000円で10分、5,000円で30分、1万円で1時間、2万円で2時間、3万円3時間、4万円4時間、最高5万円で5時間となる。
こうして得られた収益は、比率は公表されていないがレベニューシェアでGoogleが一部を取得、残りを配信者が受け取る形となる。Super Chatは配信者にとって、新し収益化方法だが、例えばSuper Chatを購入したユーザーに配信者が御礼を言ったり、Super Chatコメントに対して何かのリアクションをとるなど、視聴者との新しいコミュニケーション方法でもある。
日本を含む、約20カ国の配信者が利用可能で、40カ国以上の視聴者がSuper Chatを購入できる。ライブソリューションスペシャリストの仲田真人氏によれば、海外ではゲームの配信番組で、1回の配信でSuper Chatで4,000ドルを得る配信者もいるという。
気軽なライブ配信とアーカイブ化がYouTubeの魅力
モバイルアプリでのライブ配信は、昨年6月頃に既にアナウンスされ、β版として一部の配信者が利用。そこで完成度を高め、今回、チャンネル登録者数1万人以上の配信者から一般公開がスタートした形となる。一方で、Facebookなどでは既にアプリからのライブ配信が可能になっており、YouTubeの対応は若干遅れている印象を受ける。
時間をかけた理由について仲田氏は、「配信を実際に行なうクリエイターさん達が、どのように使っているのかを見ながら、必要な機能の実現に注力しました。例えば、リアルタイム性が大切ですので、視聴者がチャットを入力してからそれが表示されるまでの遅延を最小限に抑えるなどの作り込みを行ないました」という。
YouTubeならではの強みとして仲田氏は、「YouTubeライブは、“YouTube上にのせている事”自体が強みです。届けられるユーザー数が多いというものあります。また、配信後にアーカイブが残り、そのアーカイブの視聴数がある程度多いというのも魅力です。配信後にアーカイブ化されるまでの時間を短くしているところもポイント」だという。
一方、アーカイブ配信では、いわゆる“YouTuber”と呼ばれる人気配信者の動画は編集が高度化し、作り込まれたものが多くなっており、普通のユーザーがそれに憧れ、同じような動画を作ろうとしてもハードルが高いという部分もある。
ライブ配信はそうした編集のスキルが無くても、気軽に、カジュアルに映像を公開できる事から、モバイルアプリでの対応により、配信者の裾野の拡大も見込まれている。
さらに、前述のアーカイブ配信の利点とも組み合わせ、ライブ配信終了後に、その番組を配信者がYouTubeのビデオエディタで編集し、特に面白い部分をまとめた抜粋版を別のコンテンツとして作ったり、ライブ配信の中から特定のコーナーだけを集めた動画を別に登録するといった展開ができる事もアピールしていく。