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パイオニア上場廃止へ。投資ファンドの完全子会社に

パイオニアは、7日に開催した取締役会において、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)傘下のWolfcrestを割当先とする、払込金額770億円の第三者割当による普通株式発行を決議。Wolfcrestが同社を完全子会社化し、パイオニアは上場廃止となり、今後の成長に向けて事業改善を継続する。

パイオニアは、2018年3月期の連結業績において、カーエレクトロニクス事業の売上高減少による営業利益の減少と、為替差損の発生、海外拠点再編に伴う構造改善費用、持分法による投資損失の計上により31億円の経常損失となり、親会社株主に帰属する当期純損失71億円を計上した。

営業活動によるキャッシュフローは、売上債権の減少額が縮小したことなどにより159億円の収入となったが、投資活動によるキャッシュ・フローはカーメーカーからの大規模受注ビジネスに対応したソフトウェアの開発が続いた影響もあり332億円の支出で、営業活動によるキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローが172億円のマイナスとなっていた。

状況改善のため、事業ポートフォリオの見直しによる事業・資産の売却、主要事業における構造改革、成長事業へのリソースシフトなどを図ってきたが、その過程において、同社を支援するスポンサーを新たに選定し、資金提供等により、足下の資金繰り、キャッシュフローの正常化、既存借入金の返済資金および今後の成長投資のための資金の確保などが、安定的な事業継続にとって最善の選択肢であると判断。

カーエレクトロニクス事業などの継続には、新しい技術や製品に対応し続ける必要があり、ソフトウェア開発や生産設備の更新、新規導入など設備投資を続けて商品開発や提案を行なう必要があるが、キャッシュフローはマイナスが継続する見込みとなっていたため、「大規模な資本注入がなければ、当社の事業継続のために必要不可欠な設備投資・開発費用を捻出することは極めて困難な状況」として、今回の増資に至った。

第三者割当のうち、全額現物出資(デット・エクイティ・スワップ)の払込金額は総額250億円、金銭出資は総額520億円。第三者割当は2019年3月~6月に完了予定。これにより、Wolfcrestがパイオニア株式の80.3%を持つ筆頭株主となる。パイオニア普通株式の東京証券取引所における上場廃止日は2019年3月27日を予定している。

Wolfcrestによる子会社化取引後は経営体制を刷新。現取締役8名は、社外取締役2名と代表取締役である森谷浩一氏を除き、全員が辞任。BPEAからシェーン・プリディーク氏と北見啓氏を新たに取締役に加えた体制とする予定。