米PureDepth、奥行きを使う3D技術「MLD」で日本市場参入

-2枚のLCDを配置して奥行き/立体効果を表現


MLD技術を搭載したモニター(プロトタイプ)

5月20日発表


日本法人の代表取締役永田豊氏

 米PureDepthは20日、日本法人「ピュアデプス株式会社」を設立し、同社のMLD(多層ディスプレイ)技術で日本市場に本格参入すると発表した。日本法人の代表取締役は永田豊氏。

 MLD(Multi Layer Display)技術とは1枚のディスプレイを使う代わりに、前後に重ね合わせた2枚のLCDを利用して奥行きを表現するもの。PCディスプレイやデジタルサイネージなどの公共情報ディスプレイ(PID)、ゲーム機、携帯電話などに応用可能だという。同技術をパネルメーカーなどに提案し、日本でMLDディスプレイを広めていくとしている。



■ MLD技術

MLDとは

 MLDの構造とは、2枚のLCDをバックライトの前に間隔を持って前後に配置し、その2枚のLCDの間に同社の特許技術である特殊フィルムの間隙デフューザー「IC(Interstitial Component)」を挟んだもの。

 2枚のディスプレイを使い、実際の奥行きをコンテンツに加えることで、奥行き効果を高め、メガネなしでの3D表現が可能。他方式に比べ、視聴時の疲労感などが少ないほか、スイートスポットも広いという。また、2Dコンテンツの色彩表現やコントラストも向上させることができるとしている。

 LCDは特殊なものでなくても使用可能で、解像度にも影響を与えないという。ただし、ICの特性上、広視野角やカスタム設計のLCDパネルだと使用できない場合もある。

 ICは2枚のLCDを組み合わせる際に生じる「モアレ干渉縞」を打ち消す効果を持つ。また、モバイル向けから大型ディスプレイまで、いかなるサイズでも対応可能だとしている。

 同技術のためのプラットフォームも提供。既存コンテンツをMLDに対応させることも可能になるという。

メガネなしで3D表示が可能

MLDの基本構造

同社特許技術のIC(デフューザー)ICイメージ。モアレ縞を打ち消すことが可能

MLDの視覚効果


■ 「成功事例をもとに日本で展開」

米PureDepthのCEO、アンディ・ウッド氏

 米PureDepthの最高経営責任者であるアンディ・ウッド氏も来日。日本市場参入について、「日本のような重要市場での会社設立を名誉に思う。日本には大きなチャンスがあると考えている」と述べた。

 同社はすでに、三洋電機や米国のカジノゲームメーカーであるIGT(International Game Technology)とのライセンス契約により、MLD技術を提供。その事例をもとに、日本市場での展開を目指していくという。

 日本法人の永田代表取締役は、「日本支社の設立は、日本市場に対する強い姿勢を改めて示している。三洋やIGTの成功事例をもとに、MLD技術を顧客に訴求していく」とした。


プロトタイプによるMLD技術のデモ

 


(2009年 5月 20日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]