東芝、LED搭載機や録画/超解像拡充など「REGZA」一新

-「記憶するREGZA」。Cell TVは年内発売「かなり高い」


10月下旬より順次発売

標準価格:オープンプライス


新REGZAのキャッチコピーは「記憶するレグザ。」

 株式会社東芝は、液晶テレビ「REGZA」を一新。5シリーズ19モデルを10月下旬より順次発売する。

 LEDバックライト搭載の最上位機ZX9000は、LED制御や超解像技術などをアップデートして、55/46型の2モデルをラインナップ。Z9000シリーズは55/47/42/37型の4モデル。500GB HDD搭載のH9000シリーズは3モデル。スタンダードモデルも従来のC型番からR9000シリーズと改めて、7モデルをラインナップ。USB HDD録画や超解像を搭載するなど大幅な強化を図った。

 新モデル19モデル中、16モデルを「録画対応」とした。HDD内蔵モデルはZXとHの合計5モデル。それ以外の機種でもUSB HDDの追加などでデジタル放送録画が可能で、4台までのUSB HDDを追加できる。キャッチコピーは「記憶するレグザ。」。

ZX/Z9000シリーズ
型番サイズパネル解像度仕様録画機能発売日店頭予想価格
55ZX900055型1,920×1,080ドットLEDバックライト
フルHDクリアパネル
レゾリューションプラス 3
地デジ見ながらW録

ゲームダイレクト
500GB内蔵HDD
USB/LAN HDD
11月上旬60万円前後
46ZX900046型50万円前後
55Z900055型フルHDクリアパネル
レゾリューションプラス 3
地デジ見ながらW録
ゲームダイレクト
USB/LAN HDD11月中旬47万円前後
47Z900047型11月上旬37万円前後
42Z900042型30万円前後
37Z900037型25万円前後

REGZA 55ZX9000

 最上位シリーズのZX9000シリーズは、55型と46型の2モデルを用意する。いずれもVAパネルで、LEDバックライトと部分駆動技術によりコントラスト感を向上。新たにバックライト制御LSIを新開発し、より細かな階調表現などが可能になっている。

  Z9000シリーズはIPSパネルを採用し、55/47/42/37型の4モデルをラインナップする。バックライトは通常のCCFL。ZX/Z9000のいずれも、液晶パネルに光沢感ある「フルHDクリアパネル」を採用。さらに、超解像技術もアニメなどの画質向上を図った「レゾリューションプラス3」にアップデートし、画質向上を図っている。

 録画関連では、ZX9000のみ500GB HDDを搭載。Z9000もUSB HDDやLAN HDDなどへのデジタル放送録画に対応している。また、BS/110度CSデジタルWチューナに加えて、地上デジタルトリプルチューナ構成とし、2番組のデジタル放送録画中でも地デジの裏番組視聴が可能となる「地デジみながらW録」も新搭載した。

 またゲームモードも改善。ゲームプレイ時のフレーム遅延を1フレーム強にまで短縮した「ゲームダイレクト」を搭載するなど重点強化を図った。

ZX9000シリーズZ9000シリーズH9000シリーズ

  500GB HDD内蔵のH9000シリーズも42/37/32型の3モデルを用意し、11月上旬より発売。新たに超解像技術「レゾリューションプラス2」を搭載したほか、HDD容量を従来の300GBから500GBまで向上。USB HDDも4台まで接続可能。超解像は前のフラッグシップ機「ZX8000/Z8000」相当となる。

H9000シリーズ
型番サイズパネル解像度録画機能発売日店頭予想価格
42H900042型1,920×1,080ドット500GB HDD
USB HDD
11月上旬27万円前後
37H900037型22万円前後
32H900032型1,366×768ドット17万円前後

 また、プレミアムスタンダードを謳う「R9000」シリーズも新設。これはC8000シリーズの後継となり、19~52型までのフルラインナップとし、10月下旬より順次発売する。また、超解像の「レゾリューションプラス2」やUSB HDD録画機能も装備する。ベーシックモデルの「A9000」も発売し、42/32/26型を用意する。

A9000シリーズ新ゲームモードはフレーム遅延抑制やポータブルゲーム機最適化などを実施USB HDDは4台まで接続可能に

 

R9000シリーズ
型番サイズパネル解像度機能カラー発売日店頭予想価格
52R900052型1,920×1,080ドット超解像
USB HDD録画
ブラック11月上旬38万円前後
46R900046型10月下旬30万円前後
40R900040型11月中旬22万円前後
32R900032型1,366×768ドット10月下旬15万円前後
26R900026型シルバー
ブラック
12月下旬12万円前後
22R900022型シルバー
ブラック
レッド
9万円前後
19R900019型8万円前後
A9000シリーズ
型番サイズパネル解像度カラー発売日店頭予想価格
46A900046型1,920×1,080ドットブラック12月中旬21万円前後
32A900032型1,366×768ドット10月下旬11万円前後
26A900026型ルーチェホワイト
ムーンブラック
9月25日10万円前後

■ 新興国攻略で2010年世界シェア10%へ。Cell TVは“かなり高い”

東芝DM社 大角正明社長

 発表会では、東芝デジタルメディアネットワーク社の大角正明社長が、薄型テレビのグローバル事業戦略について説明した。

 市場環境については、「リーマンショック以降も、意外とテレビというのは底堅い商品になっている。2008年世界テレビ需要は1億台から、2009年市場予測で1億3,500万台と伸びており、2012年まで年率12%の伸びが予想される」と言及し、日本の国内はエコポイント、中国は家電下郷など政府の支援策もあり、高い伸びを維持していることを説明した。

 今後は新興国での事業強化を図る。日本、北米、欧州の2012年までの伸びは年率4%程度と予想されるが、その他地域では26%まで伸びると想定しているためだ。「BRICsやASEANを事業の重点地域として、成長著しい新興国市場の強化を図る」とし、ブラウン管の買換え促進などを図る。大角社長は「少し作りすぎ(高すぎる)な数字かな、とも思いましたが、2012年には2009年比で494%の伸長を目指す」と目標設定した。

薄型テレビグローバル市場動向日米欧に比べ、新興国の伸びを期待新興国強化で2012年には2009年比で494%まで拡大へ
新興国市場基本戦略

 そのための具体策としては、「商品力強化」、「販売力強化」、「生産供給体制の強化」を掲げる。商品力については、地域別のマーケティングを徹底し、地域のニーズにあわせた商品を投入する。

 また、地域パートナーやODMの活用によりコスト競争力ある普及機を導入し、ラインナップ拡大を行なう。半導体プラットフォームはグローバルで共通化し、固定費を抑制。効率的な開発体制を構築する。国内REGZAの画質に対するこだわりをそのままに、低コスト化も実現するという。

 販売力についても新興国での取扱店舗を現在の1万店から、2012年に3万台以上に拡大。ブランドイメージ拡大のための広告も強化し、新興国売上高に対して平均5%の広告費を投下する。「東芝は技術志向で、広告について抑制的な会社ですが、近年国内では“福山効果”で成果を上げている。ノウハウを生かして、ブランドの浸透に努めたい」と意気込みを語る。生産体制については自社工場や現地パートナー、ODMなどを含め、最適な体制構築に取り組み積極展開するという。

 2009年度の販売台数目標は1,000万台だが、「国内のエコポイントなどにより、なんとか達成できるだろう」と説明。2010年については「新興国拡大施策の実施により、グローバル販売台数1,500万台とし、以前から目標にしていた“グローバル10”、シェア10%を達成したい」とした。

新興国における商品戦略ODMの活用など生産供給体制も強化2010年にグローバルシェア10%を狙う

 PS3にも搭載している高性能CPUである「Cell」を搭載したREGZAについては、「“Cell REGZAの導入を見合わせます”ということはなくて、第4四半期の10~12月に間違いなく市場導入する。東芝の持っている映像、ストレージ、ネットワーク技術を全部終結した、本当の意味での東芝のフラッグシップモデル。必ず年内に導入する」と明言した。

REGZAの頂点がCell REGZAに開発中のCell REGZAを紹介。金属フレームらしき筺体などが確認できる

 「REGZAでありながら、REGZAを超える究極のテレビ」とそのコンセプトを説明。「映画館で見るよりも、さらなる感動を覚える。映画を見る楽しさ、喜びを追求した、究極のエンターテインメントマシーン。カラーテレビをはじめて見たときの衝撃を超える」とアピールした。

 発表時のスライドでは、大型のヒートシンクに覆われたCellと思われるCPUを備えた基板や、金属風のフレーム、大口径のスピーカーユニットなどの一部パーツを明らかにしている。

 具体的な仕様や価格については、「もう一度、ご案内する機会があるのでその時に詳しく説明するが、今のところ“かなり高い”とだけ申し上げておきたい」と語った。

 


■ 「“記憶するREGZA。”で、国内トップブランドを目指す」

テレビ事業部 日本部 岡田部長

 国内市場展開については、東芝DM社 テレビ事業部 日本部の岡田淳部長が説明。2009年度上期については、「エコポイント需要拡大により業界全体が伸長しているが、東芝はそれを大きく上回る伸長率」と語り、その理由として「攻めの戦略が功を奏した」という。

 具体的には、「ラインナップ拡充」、「ブランド力向上」、「商品力強化」、「環境対応」の4点を好調の要因に挙げる。

 ラインナップは、2008年下期が20モデルだったのに対し、2009年上期では24モデルに拡充。特にエコポイント還元の高い46型以上を5モデルに増やしたことで大画面需要にこたえたこと、19~26型の小型のバリエーションの強化で、2台目、3台目需要に応え、前年比5倍の販売数を記録したことなどが好調の要因という。加えて、32~42型のメインサイズでも「日本で一番売れているモデルといえる普及モデルの32A8000などでシェアは上がっている」とした。

 ブランドについても、テレビCMに起用した福山雅治氏による「“福山効果”で認知度は76%まで向上。認知度だけでなくブランド力強化にも成功した」という。環境対応については年間消費電力量の削減に加え、梱包容積の削減を進めている。

国内市場動向。エコポイントで拡大する市場でも他社を上回る伸び国内テレビ好調の要因

 下期については、「2つの山があると予測している。12月の年末商戦に加え、3月にエコポイント駆け込み需要がある。政権が変わり流動的な部分もあるが、期末の需要は相当のものがあるだろう。3月は(前年比)200%を超える可能性もある」と強気の予測。

 また、薄型テレビ市場における録画対応モデルの構成比も、上期の17%(87万台)から、下期は26%(190万台)まで増加。2010年以降は市場の50%まで拡大すると予測しており、「2台目、3台目でも録画対応が増える」とする。岡田部長は新REGZAの録画対応について「今までは26型以下の中小型で録画対応が無かった。パーソナルというだけでなく、録画もできるようになるので、ここは単価があがるのではないか」と予測する。

 新シリーズのキャッチコピーは「記憶するレグザ。」。USB HDD録画対応のRシリーズを追加したことで、Aシリーズ以外の全ての製品で録画対応となった。加えて、ZX/Z9000では地デジトリプルチューナの「地デジ見ながらW録」にも対応するなど、録画機能の強化を図ったことから、“録画”をテレビCMなどでも全面的に訴求。「11月から12月の年末商戦では、「“イヤッ”というほどテレビスポットを大量に投下する」という。

 岡田部長は、「Cell REGZAを筆頭に2009年下期は、REGZA第2章の幕開け。国内テレビ市場トップブランドを目指す」と語った。

12月の年末商戦と、3月のエコポイント駆け込み需要を予測録画対応モデルの構成比は大幅に拡大「記憶するレグザ。」で録画機能を訴求
徳光 TV技師長

 東芝DM社TV技師長の徳光重則氏は、「Cell REGZAは、REGZA史上最高の高画質技術、ストレージ技術などの、東芝の全ての技術を盛り込み、お客様の期待値を超えたテレビにする。このCell REGZAで培った技術、“DNA”を、順次REGZAに搭載することで商品力を強化していく」と技術戦略を説明。「2008年に投入した超解像技術はCell REGZAのDNAを最初にREGZA落とし込んだ事例」とする。

 LEDや超解像などの高画質化技術、USB HDDへのW録などのデジタル放送録画、ゲーム対応などの新REGZAの特徴を紹介し、「ほぼ全モデルで録画と超解像を搭載することができたのも、半世紀にわたって積み上げた映像技術力と、半導体を含めた総合技術力によるもの。今後も技術力に裏付けられた本物のテレビを提供していく」と語った。

REGZAに搭載した高画質化技術Cell REGZAのDNAを順次REGZAに導入する

(2009年 9月 16日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]