西田宗千佳のRandomTracking
第647回
ネトフリWBC中継の全貌。本日から「489円で初月視聴」キャンペーンも開始
2026年2月19日 04:00
3月5日から開催される「ワールド・ベースボール・クラシック 2026(以下WBC)」。ご存知のように、日本ではNetflixが独占配信する。同社が合同インタビューを開催、配信内容や。目指すライブ配信の形について説明を行なった。
その中では、本日2月19日午前10時から3月18日までの限定で行なわれる「初月498円」キャンペーンも発表された。新規加入者に限り、WBC開催中の利用がほぼ半額になり、「広告付きスタンダード」プラン契約の場合、ワンコインで視聴できる。
また、WBCに関するオリジナルのドキュメンタリー番組『DIAMOND TRUTH ワールドベースボールクラシックの真実』も本日より配信を開始。その予告編も公開されている。
NetflixがWBCをどのように提供しようとしているのか。ビジネス施策からコンテンツの内容までを詳報する。
スポーツ×エンタメ。「タッチ」応援ソングが生まれたきっかけとは
今回のWBCといえば、先日公開になった「Netflix 大会応援ソング」が話題だ。「タッチ」を稲葉浩志氏がカバー、過去に行われたWBCの映像に合わせ、ハイクオリティな動画に仕上がっている。
https://www.youtube.com/watch?v=jzLbxzTgAjE&list=RDjzLbxzTgAjE&start_radio=1
Netflixで日本コンテンツ担当のバイスプレジデントを務める坂本和隆氏は会の冒頭、この応援ソングを取り上げてこう話した。
「私どもはエンターテインメントの会社です。もちろんここからスポーツを盛り上げてまいりますが、そこにエンタメを掛け算することで、さらに盛り上げていきたい」
同社によれば、この応援ソングは、同社内WBC担当2名の発案によるもの。最初に社内プレゼンが行なわれた時には、坂本氏も「え? 今、タッチ?」と驚いたそうだが、プレゼン内容やアプローチに込められた強いパッションを感じ、そのことが採用の決め手になったという。
坂本氏は自身が学生時代、野球経験者でもある。「野球経験者やファンにとって『タッチ』は応援歌としての鉄板」と説明した。「タッチ」はアニメの曲としてだけでなく、甲子園などでの応援曲としても定着している。それを今にも響く形で表現したのが、まさにあの応援ソング……ということだという。
こうした部分は確かに、民放の中継スタイルからは出てきづらいところかもしれない。
いつもの契約で自由に視聴。配信画質はHDのみ
WBCの配信スタイルは、具体的には次のようなものになる。
Netflix契約者であれば、誰でも追加料金なしに視聴可能。出場する全20カ国・全47試合が、ライブ配信と見逃し配信の両方で視聴できる。
対象デバイスも、普段のNetflixと同じ。PC(ウェブブラウザー)からスマホ・タブレット、テレビやゲーム機まで、どのデバイスでも同じように視聴できる。自分の生活スタイルに合わせ、場所や時間の制約なく楽しめる……というのは、まさにNetflixなど映像配信が開拓してきた姿そのものと言える。
契約プランは、もっとも安価な「広告つきスタンダード(月額890円)」から4K対応の「プレミアム(月額2290円)」プランまで、どのプランに加入している人も視聴可能だ。
ただし、WBCの試合に関しては、配信解像度はHD(1920×1080ドット)。4K・HDR配信ではないので、スタンダードプランもプレミアムプラン利用者も同じ画質になる。
また、WBCを含む、スポーツなどのライブコンテンツは、すべて「広告入り」での配信となる。これはNetflixのグローバルでの方針とのことで、今回も同様。ここでも、全契約者が同じ扱いだ。坂本氏は広告の扱いについて、「視聴者のストレスにならないよう、スポーツのリズムに即した新しい広告体験を目指す」としている。
試合が終わるとVOD形式の「見逃し配信」となるが、WBCの試合は、WBCの会期が終わっても当面の間視聴できる。
これが「サービスの続く限り永続的に視聴可能か」は「まだ定まっていない」(坂本氏)という。ただし、短期間で配信が停止されることはなく、「MLBとの調整にもよるが、長い期間視聴できる」としており、少なくとも数年間は、Netflixの中で繰り返し視聴が可能になる模様だ。
新たに「ワンコインで初月視聴」キャンペーンを展開
Netflix独占配信になったことによる課題は「視聴のためのハードル」だと言われてきた。「テレビの前にいる」のが基本になるとはいえ、無料の地上波なら確かにお手軽ではあった。
Netflixは今回を新規顧客獲得の機会と捉えており、以前より、携帯電話事業者などとのコラボレーションによる「お得な視聴」の定着を推進してきた。
こうしたセットに加え、Netflixが今回公開したのが「ワールドベースボールクラシック応援キャンペーン」だ。
これは「ワンコインでお楽しみいただく」(坂本氏)ことを目指して準備されたもので、日本独自の期間限定キャンペーンとなる。
初めてNetflixに加入する人を対象に、契約初月の料金がほぼ半額になる。具体的には、
- 広告つきスタンダードプラン:890 円→498円(税込)(44%割引)
- スタンダードプラン:1,590円→795円(税込)(50%割引)
- プレミアムプラン:2,290円→1,145円(税込)(50%割引)
という形で値引きが行なわれる。登録の1カ月後、次の請求日には元の価格に戻る。
ただし条件がいくつかある。
まず、すでに契約している人や、通信キャリア等が提供するバンドルプラン経由で Netflix に登録する人は対象外。支払い方法として、ギフトカード・PayPal・iTunes・Google play 経由を選ぶ場合にもキャンペーンの適用外となる。
キャンペーンの開始は、本日2月16日午前10時から。キャンペーン終了は、WBCの決勝の翌日、3月18日となっている。
なお、幅広く視聴してもらうための施策としては「パブリックビューイング」も積極的に行なう。
侍ジャパン選手30名のゆかりの地で行なう「ホームタウンヒーロー・パブリックビューイング」の他、自治体との連携も企画されている。また、イオン・伊藤園・HUBといった企業パートナーと連携したパブリックビューイングも企画されるという。これらを合わせ、約150カ所での展開が予定されている。
また、自治体や団体などがNetflixに申し込み、そこで条件が合致した場合には、新たにパブリックビューイングが追加され、「150を超える」可能性もあるという。
ただし、飲食店や企業などが申し込んでパブリックビューイングを行なうための「企業アカウント契約」をすることは予定されていない。企業パートナーとしては、あくまでイオン・伊藤園・HUBを軸とした展開になるとのことだ。
本気の中継・解説陣。東京ドームには新設備も導入
では、配信の内容はどうなるのだろうか?
前出のように、配信解像度はHDであり、4Kは採用されない。
中継については、日本国内の試合は日本テレビが、海外の試合についてはJ SPORTSがパートナーとなって制作される。
解説・実況陣は以下の画像の通り。過去のWBC出場経験者はもちろん、メジャーリーグなどWBC出場国のリーグに詳しい関係者も解説陣に入り、実況も、民放などで実績のある「オールスターチーム」だという。「本気の人選であり、すべての試合を高いクオリティでお楽しみいただける」とNetflix側も自信を語る。
東京ドームで試合が行なわれる「POOL C」については、東京ドーム内に色々な新技術を導入して取り組む。
例えば、試合中の状況を3Dでデータ化して表現する「ボリュメトリックキャプチャ」については、カメラの数を従来の125から137に増やしてクオリティをアップする。
また、ホームベース近くには「ダートカメラ」と呼ばれるカメラを埋め込む。メジャーリーグなどでは使われているものだが、東京ドーム中継では初めての導入になるという。
また、ドローンカムも本格導入し、これも映像の幅を広げるために使われる。
試合中の各種スタッツは番組の中でも詳しく表示。ボールや選手の動きを数値化する「スタッツキャスト」により、試合内容を「数値で見える化」していく。スタッツキャストの内容は同時に、ソーシャルメディア上でも別の形で展開することを検討しているという。
具体的にどのような中継になるのか? 坂本氏に聞くと、次のようなコメントが返ってきた。
「野球中継からかけ離れたものではなく、皆さんに馴染みのある形を目指します。一方で、スタッツなどは、MLBから供給されるものを使っても日本には馴染まない。そこで、どのような新しい見せ方ができるか、考えていきます」
この辺の体験がどうなるのかは、試合が始まってからのお楽しみ……というところだろうか。
オリジナル作品も準備。コストも情熱もかけて「ネトフリらしさ」演出
もう1つ、Netflixによる配信の特徴として、試合以外のコンテンツの豊富さがある。
冒頭に述べたように、本日から、Netflix ドキュメンタリーシリーズ『DIAMOND TRUTH ワールドベースボールクラシックの真実』の配信もスタートする。
2月19日からは、以下の4番組も配信が始まる。
さらに、試合前と試合後にはグラウンドに机を設置し、「プレゲームショー」「ポストゲームショー」も配信される。
NetflixでのWBC配信については、Netflix 2026 ワールドベースボールクラシックアンバサダーとして渡辺謙氏が、スペシャルサポーターとして二宮和也氏が就任している。
今回の会見には特別ゲストとして渡辺謙氏も、日本代表のキャンプ地である宮崎からリモートで参加した。
渡辺氏はドキュメンタリー『DIAMOND TRUTH』にも出演しており、選手たちへのインタビューも担当。現地の大会への意気込みについて、「チームはとにかく本気。アメリカを倒すために本気で調整に臨んでいる。その激しい戦いを、みなさんとともに目撃したい」と語った。
渡辺氏・二宮氏が選ばれたのは「野球への熱意が決め手」(坂本氏)だということだが、渡辺氏は「できるだけ宮崎にいたい」というくらい、強い思いで日本代表に密着している。
そういう部分をWBC関連コンテンツに強く反映していくことが、まさに「スポーツ×エンタメ」ということなのだろう。
ネトフリらしさが出たWBCがどうなるか、楽しみになってきた。















