オーディオテクニカ、47,250円の密閉型ヘッドフォン

-大型53mmドライバ採用。7万円の木製Wシリーズも


ATH-ES10

11月13日より順次発売

標準価格:12,600円~71,400円

 株式会社オーディオテクニカは、ヘッドフォンの新モデル3機種を発表。ポータブル使用を想定したEARSUITシリーズの高級モデルとして、チタンハウジングを採用した「ATH-ES10」を11月13日に発売する。価格は47,250円。

 さらに、木製ハウジングを採用した高級ヘッドフォン「Wシリーズ」の新モデル「ATH-W1000X」(grandioso)を11月13日に発売。価格は71,400円。

 また、キレのある低音を得意とする「SOLID BASS」シリーズ初のヘッドフォン型として、「ATH-WS70」も12月11日に発売される。価格は12,600円。


■ ATH-ES10

 EARSUITシリーズの新モデルで、密閉型ハウジングを採用。ハウジングは平らに折りたたんで持ち運び可能で、ポータブル使用も想定している。

 同社ポータブルヘッドフォン最大となる53mm径ユニットを採用したのが特徴で、室内用ヘッドフォンのアートモニターシリーズ上位機種に採用されているユニットをベースに開発。「アートモニターシリーズ直系のポータブル。室内でしか味わえなかった高品位なサウンドを屋外でも楽しめるモデル」(同社)と位置付けられている。

 ハウジングには、ヘアライン仕上げのチタンを採用。音響特性に優れ、軽量さと高剛性を活かした音作りをしているという。

ヘアライン仕上げのチタンを採用ユニットは53mm径とポータブルでは大型
ハウジングの折りたたみも可能イヤーパッド部

 ドライバにはボビン巻きのOFCボイスコイルを採用。深みのある低域再生を可能にしている。バッフルには剛性を高めるため、グラスファイバーを配合。中高音もクリアに再生できるとしている。

 出力音圧レベルは102dB/mW。再生周波数帯域は5Hz~40kHz。最大入力は2,000mW。インピーダンスは42Ω。コードを除いた重量は200g。入力プラグは金メッキ仕上げのステレオミニ。ケーブルは両出しで、1.2mのY型。ポーチやクリーニングクロスを同梱する。

 会場で試聴したところ、チタンハウジングのクールな外見とは裏腹に、53mm径ユニットによる豊富かつ量感豊かな低音再生能力に驚かされた。同時に高域も気持ちよく伸びており、剛性の高いチタンハウジングによる色付けのないクリアな高音が好印象で、全体としてのバランスは良好。ハウジングの折りたたみも可能で、可搬性にも考慮している。電車内などでも使える密閉型ポータブルの高級モデルは数が少ないため、注目度の高い製品になりそうだ。

□製品情報
http://www.audio-technica.co.jp/products/hp/ath-es10.html


■ ATH-W1000X

 木製ハウジングを採用し、壮大な自然の再生音を追及するWシリーズの第10世代モデル。密閉型で、ピアノやコンサートホールにも使用される、硬く密度のあるブラックチェリーの無垢削り出しをハウジングを使っている。そのため、表面の木目は1台1台異なる。

 バッフルとフレームはマグネシウム合金一体の軽量設計を採用。マグネシウムフレームとウッドハウジングを直接固定しないフローティング機構も採用しており、ユニットの不要振動をウッドハウジングに伝わりにくくし、「木が持つ本来の音の響きを引き出した」(同社)という。

ATH-W1000Xハウジングはブラックチェリー無垢削り出し。右側にあるのがスチールプレートとダンパーを取り付けた状態新開発の3D方式ウイングサポートを採用している

会場には歴代モデルも展示された
 ドライバは大型の53mm径。2つのパーツから構成される磁気回路金属部品(ヨーク)を一体化し、磁束密度を高めることで効率の良い音楽再生を実現している。ボイスコイルはボビン巻きの6N-OFC。

 新開発の3D方式ウイングサポートで装着感も向上。ケーブルは高弾性エラストマーシースとPC-OCC導体を使用。両出しで長さは3m。入力プラグは標準で金メッキ仕上げ。音質を重視し木製スリーブを採用している。

 出力音圧レベルは100dB/mW。再生周波数帯域は5Hz~42kHz。最大入力は2,000mW。インピーダンスは42Ω。ケーブルを除いた重量は約350g。

 試聴の印象だが、どちらかと言うと、クリアで高解像度な再生音を特徴とするモデルが多い発表会場において、腰の据わった低音と、芳醇で情感豊かな中音域を聴かせてくれたモデル。ジャズピアノのアタックの強さをドラマチックに聴かせる勢いの良さと、その下に広がるアコースティックベースの細かな弦の描写もおろそかにしない精密描写能力を併せ持つ。個性を残しつつ、より現代的なサウンドに進化したWシリーズと言えそうだ。

□製品情報
http://www.audio-technica.co.jp/products/hp/ath-w1000x.html


■ ATH-WS70

 低域の再生能力を追求し、カナル型(耳栓型)イヤフォンをラインナップしている「SOLID BASS」シリーズ初のヘッドフォン。ハウジング内にもう1つのチャンバー(空気室)を設けることで空気の流れをコントロールし、低域を拡張。豊かなサウンド再生ができるという。

 ハウジングは密閉型。精密切削アルミニウムハウジングを直接マウントすることで不要振動を抑制している。ハウジングは平らにすることができ、可搬性を高めている。

ATH-WS70ハウジングはアルミニウム製
正面から見たところハウジングは折りたたみ可能

 ドライバは40mm径。どの位置でも自由にアジャストできる無段階調整ヘッドバンドを採用し、イヤパッドも高密閉性のものを採用。ケーブルは1.2mで両出しのY型。高弾性エラストマーシースを使用している。入力プラグはステレオミニの金メッキ仕上げで、L型。

 出力音圧レベルは100dB/mW。再生周波数帯域は10Hz~25kHz。最大入力は1,000mW。インピーダンスは47Ω。ケーブルを除いた重量は約230g。

□製品情報
http://www.audio-technica.co.jp/products/hp/ath-ws70.html


(2009年 10月 15日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]