「FPD International 2009」開幕。各社が3D関連展示

-30型有機ELや折り曲げ/透明ディスプレイなど


会期:10月28日~30日

会場:パシフィコ横浜

入場料:2,000円(事前登録者無料)


 フラットパネルディスプレイの総合展示イベント「FPD International 2009」が28日に開幕した。会場は神奈川県・横浜市のパシフィコ横浜。入場料は2,000円で、事前登録者は無料。

 液晶やプラズマディスプレイパネル、有機ELパネルをはじめ、検査装置、部材、設計支援、応用製品などディスプレイ関連業界の各社が出展している。「Green Device 2009」との共催となっており、主催は日経BP社。

 シャープ以外の国内電機メーカーの出展ブースは小規模で、Samsung、LG Display、AUOなど韓国や台湾メーカーが目立つ展示会場となっている。各社が3Dディスプレイを展示しているほか、最新の有機ELパネルや開発中の技術展示が行なわれている。

 


■ 各社が3D関連製品を出展

シャープの60型フルHD 3D液晶ディスプレイ

 各社の展示で目立ったのが、3Dディスプレイ。国内/海外の大手メーカーから、テレビからモバイル向けまで多数の3D製品が出展されている。

 国内メーカーでは、シャープとパナソニックが3D関連展示を行なっている。シャープは60型/UV2Aパネルを使った3D展示で、基本的にはCEATECと同様のものとなっている。UV2Aの高い開口率を活かし、明るいブース内でも視聴できることなどをアピール。新開発の映像エンジンを搭載するなどで、3D対応を果たしている。製品化の時期については未定としている。


パナソニックブースは、3Dシアターのみを設置

 一方パナソニックでは、専用の3Dシアターを設置し、映画AVATORなどの3D映像デモを行なっている。パナソニックのブースはこのシアターが全てで、3Dに特化した展示を行なっている。

 Samsungは、240Hz駆動の55型フルHD液晶パネルと、アクティブシャッターメガネを使ったフレームシーケンシャル方式のデモを実施。3D表示時でも、フルHD解像度を保ちながら、コントラスト比5,000:1、輝度500cd/m2を実現しているという。

 また、表面に小さな凸レンズを無数に並べたフィルタを貼り、メガネ無しで立体視を実現するレンチキュラーレンズ方式の52型液晶も展示。2D表示時にはフルHD解像度があるが、3D表示時には640×480ドットになる。

 2D/3D切替可能な23型フルHD液晶パネルのデモも実施。120Hz駆動でアクティブシャッターメガネと組み合わせて利用できる。主にPC向けでの利用を想定しているという。

Samsungは240Hz/フレームシーケンシャル方式の55型フルHD 3Dディスプレイを出展レンチキュラーレンズ採用の52型も2D/3D切替可能な23型フルHD液晶
30型3D有機ELディスプレイも出展

 Samsung Mobile Displayは、30型や14型の3D対応有機ELディスプレイなどを出展。ただし、28日の午前中には30型が調子が悪く、デモを中止していた。

 30型は1,920×1,080ドットのフルHDで、コントラスト100万:1以上、輝度200cd/m2以上を謳う。14型は1,366×768ドットで、いずれも240Hz駆動で、アクティブシャッターメガネを組み合わせて3D表示を実現する。

 また、視差バリア方式を採用し、メガネ無しで3D表示を実現するモバイル機器向けの3.3型/480×272ドット有機ELも展示。こちらは2009年末の量産開始を予定しているという。

14型 3D有機ELディスプレイSamsung Mobile Displayの3D有機ELの概要3.3型のモバイル機器向け3D有機ELディスプレイ

 LG Displayは既に発売済みの47型3D液晶や、見る位置によって見え方が変わるユーザートラッキング3Dディスプレイ、23型のアクティブシャッター型フルHD 3D液晶ディスプレイなどを展示している。

LGは既発売の47型フルHD 3D液晶を展示見る位置によって3Dの見え方が変わる47型のユーザートラッキング3Dディスプレイ。偏光メガネを利用し、水平解像度は半分の540ドットとなるLGは3D有機ELディスプレイも出展

 AUOは、レンチキュラーレンズ方式の65型の4K/3,840×2,160ドット3D液晶を出展。12視点で3Dモード時の実解像度は1,280×540ドットとなるが、メガネ無しで自然な3D表示が行なえるという。2D/3Dの混在も可能で、パブリックディスプレイなどの業務用途の展開を想定している。

AUOの65型4K/3Dディスプレイ46型のフルHDパネルも展示。偏光グラスを利用し、3D表示時の水平解像度は半分の540ドットになる。

 ビクターは既発売の業務用フルHD 3Dディスプレイ「GD-463D10」や、リアルタイム2D-3D変換技術などのデモを行なっている。有沢製作所の偏光フィルター「Xpol」を採用しており、偏光メガネ使うことで3D表示を可能にするもので、業務市場向けに展開している。

 また、56型の4K液晶パネルを使った3D展示を行なっている。こちらもXpolと偏光メガネの組み合わせで利用可能。具体的な製品化の時期などは未定としている。

ビクターもXpolを使った各種3D展示を実施4Kパネルを使った3Dデモも実施業務用3Dモニターの「GD-463D10」

 東芝モバイルディスプレイは3方式の3D技術を展示。アクティブシャッターメガネとOCB液晶ディスプレイを用いた時分割方式の3Dと、レンチキュラフィルムを使ったインテグラルイメージング方式に加え、時分割二眼式の3D OCBの3方式を紹介している。

 時分割二眼式は、左目用、右目用にそれぞれ映像を用意し、光学シートと120Hz指向性バックライトを利用することで、左目には左目用の、右目には右目用の映像を見せるという。2D/3Dの切り替えも可能で、解像度劣化が無く、メガネも不要という点が特徴となる。

アクティブシャッターメガネを使った東芝モバイルディスプレイのOCB 3D液晶時分割二眼式の3Dディスプレイ。解像度は400×240ドットで、携帯電話などのモバイル機器向けの展開を考えているというインテグラルイメージング方式の3Dディスプレイ。12.1型で1,400×1,050ドット

 


■ 有機EL関連展示

Samsung Mobile Displayの14型有機ELテレビ

 Samsung Mobile Displayは、多数の有機EL関連展示を行なっている。

 テレビ向けはいずれも参考展示とのことだが、14型/1,366×768ドットの有機ELディスプレイを20台以上展示。さらに、30型/1,920×1,080ドットの有機ELテレビも出展しており、コントラスト100万:1以上、輝度200cd/m2以上。

 14型パネルをノートPCに応用した実装例も紹介しているほか、量産予定の携帯電話向けパネルなども多数展示している。


30型フルHD有機ELテレビも出展14型WXGA有機ELをノートPCに搭載
Curved Display

 さらに、折り曲げ可能な「Curved Display」や、透けてみえる「透明ディスプレイ(Transparent Display)」などの技術展示も行なっている。Curved Displayは3.5型/800×480ドットで、輝度は300cd/m2、コントラストは10万:1。

 透明ディスプレイは、2型/220×176ドットで、透過率30%以上を実現し“ディスプレイの向う側”が確認できる。デモでは背面にミラーを設置し、透過率の高さをアピールしている。そのほか、酸化物TFT(Oxide TFT)を使った19型や3D対応など多数の有機EL展示を行なっている。


透明ディスプレイ裏側が透けて見えるOxide TFTを使った19型有機EL

 LG Displayも15型の「透明有機ELディスプレイ」を展示。通常の有機ELディスプレイでは1方向からのみ光を取り出すが、両面から光を取り出すことで、背面が透けるディスプレイを実現。透過率は30%としている。

 4.3型の“フレキシブル”有機ELや、医療用の20.7型高解像度有機ELなども展示している。

LGの15型「透明有機ELディスプレイ」4.3型の“フレキシブル”有機EL
医療用の20.7型有機EL有機ELテレビの量産モデルもベゼル“なし”の2.4型パネル

 また、AUOは、14型でフルHD解像度の有機ELディスプレイを出展している。低温ポリシリコンを利用し、輝度は200cd/m2、コントラストは10万:1、120Hz駆動に対応する。実用化時期は未定。

AUOの14型フルHD有機EL

 


■ 各社のテレビ関連最新技術も

 テレビ関連では、シャープが最新のUV2Aパネルを展示しているほか、SamsungやLGが薄型のLEDテレビなどを出展している。

 Samsungは世界最薄3.9mmを謳う40型LEDバックライト液晶を出展。PC用の21型なども展示している。AUOなどでもLEDバックライト対応の最新パネルなどを紹介している。

Samsungは「LED TV」をアピール世界最薄3.9mmというSamsungの40型液晶
LGの世界最薄5.5mmのLED液晶TVSamsungは酸化物TFT採用の17型液晶を展示篠田プラズマは、3×2mの大画面フィルム型プラズマチューブアレイディスプレイ「SHiPLA(シプラ)」を出展している
AUOはシネマスコープサイズのアスペクト2.35:1の液晶モジュールを展示AUOもLEDバックライトによる高コントラストをアピールE-linkやブリヂストンなど電子ペーパー関連の展示も目立つ。写真はエプソンのE-Link採用端末向けのリファレンスキット
シャープは各種メモリ液晶を展示UV2Aパネルも出展シャープのデジタルフォトフレーム用液晶

(2009年 10月 28日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]