|
フラットパネルディスプレイの総合展示イベント「FPD International 2008」が29日に開幕した。会場は神奈川県・横浜市のパシフィコ横浜。入場料は2,000円で、事前登録者は無料。 液晶やプラズマディスプレイパネル、有機ELパネルをはじめ、検査装置、部材、設計支援、応用製品などディスプレイ関連業界の各社が出展している。主催は日経BP社。 今年はパナソニックが出展を見送っており、シャープを除けば国内大手電機メーカーの出展ブースは小規模だ。そのため、韓国や台湾メーカーが目立つ展示会場となっている。Samsungなど韓国メーカーの模様を中心にレポートする。 ■ Samsung SDIが40型フルHDなど有機ELディスプレイ多数出展
Samsung SDIは、40型フルHD 有機ELディスプレイを出展。40型は有機ELとしては世界最大となる。解像度は1,920×1,080ドット。コントラスト比は100万:1、輝度は200cd/m2。奥行きは8.9mm。 レーザーを使わずに結晶化を行なうSGS(Super Grain Silicon)技術を利用して大型化を実現。また、輝度や色再現の向上が難しいというボトムエミッション構造を改良した、Super MicroCavity Bottom Emission構造を採用し、発光効率の向上とともに色再現性を向上。NTSC比で107%の色再現を可能としたという。 また、低抵抗配線工程の採用などによる低消費電力化も実現。ムラを抑制するピクセル制御技術も組み込んでいる。製膜にはFMM(Fine Metal Mask)蒸着技術を採用し、大画面化に対応している。
40型/フルHD以外にも、テレビ向けの有機ELとして、31型のフルHDパネルや14型/1.366×768ドットの有機ELパネルも出展。31型はSuper MicroCavity Bottom Emission構造、14型はトップエミッション構造で、ともにコントラスト比は100万:1、輝度は200cd/m2。量産予定は未定だが、開発は順次進めていくとしている。
また、5型/800×480ドットや3.7型800×480ドットなど、携帯機器向け有機ELパネルも多数出展している。
さらに、0.05mmという超薄型の有機ELディスプレイ「Flapping Display」も参考展示。風にはためくような薄さが特徴で、サイズは4型。解像度は480×272ドット、コントラストは10万:1、輝度は200cd/m2。折り曲げ可能な有機EL「Foldable Display」も展示。半分に折り曲げられることから携帯電話などでの利用を考慮に開発しているという。 ディスプレイ背面の物体が透けて見える「Transparent AMOLED」も展示。トップエミッション構造の採用などにより、30%以上の透過率を確保しており、ディスプレイの“向こう側”も確認できるのが特徴。車やインテリア、軍事用途での応用を想定している。解像度は320×240ドット。
プラズマパネルも高効率化して、消費電力を落とした新パネルを展示。さらに、4月に発表済みの3D対応58型プラズマテレビも出展している。基本的な原理は、パナソニックがCEATECに展示した3Dシアターシステムと共通で、フルHD映像を2系統入力し、それぞれを左目用、右目用としてプラズマテレビに2画面分1080pで表示。視聴者は、液晶シャッター付のアクティブシャッターメガネで視聴するというもの。 また、63型の4Kプラズマパネルも出展。解像度は4,096×2,160ドットで、ドットピッチは0.339×0.363mm。コントラストは5,000:1、輝度は1,000cd/m2。
□関連記事 ■ Samsung Electronicsは、Blue Phaseモード液晶や薄型技術 Samsungのブースでは「Blue Phase」とよばれる新しい液晶駆動技術を展示。超高速応答性能と広視野角が特徴で、15型のBluePhaseパネルを展示し、注目を集めていた。実用化の時期は未定。
40型で世界最薄の7.9mm厚という超薄型液晶ディスプレイや、52型/フルHDで9.8mmの液晶ディスプレイも出展。薄型技術をアピールしている。52型は120Hzの倍速駆動にも対応する。 さらに、4K解像度で世界初という120Hz駆動対応の82型液晶パネルも展示。フルHDの4倍となる3,840×2,160ドットパネルで、倍速駆動を実現。コントラスト比は1万:1、輝度は550cd/m2。
コントラスト比8,000:1を実現したという新世代パネルも出展。既存の2,000:1パネルとの比較を行なり、新パネルの黒の沈み込みなどを「REALBlack」とアピールしている。輝度は550cd/m2、300lux照明下でのコントラストは1,700:1。 そのほか、240Hz駆動のパネルのデモや、52型フルHDで裸眼立体視が可能な液晶3Dディスプレイなども展示している。 ■ LGやCHE MEIも有機ELを展示。PDPロードマップも
CHE MEIのブースでは、25型で厚み0.9mmの有機ELを展示。解像度は1,366×768ドット、コントラスト比は1万:1以上で、既存の液晶テレビと比較して、薄さを前面にアピールしている。 LG DISPLAYのブースでは、47型で厚み11.8mmというフルHD液晶テレビの技術展示を行なっている。サイドLEDやLED配列の工夫などで超薄型化を実現している。さらに、240Hz駆動やLEDバックライトのデモに加え、有機ELディスプレイも展示している。 同社の有機ELの最大サイズは19型で、解像度は1,024×768ドット。コントラストは10万:1以上、輝度は200cd/m2。そのほか、ポータブルプレーヤー向けの4.3型/3.7型ワイドQVGAなどもラインナップしている。
LG Electronicsは発光効率を高めた最新プラズマパネルを出展しているほか、液晶とプラズマの比較デモやプラズマの技術ロードマップを提示している。
□FPD International 2008のホームページ ( 2008年10月29日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|