三洋、24/96対応で消費電力を抑えたPCMレコーダ向けLSI

-MP3録音時の消費電力を3割削減。MP3追っかけ再生も


12月8日発表


 三洋半導体株式会社は8日、ICレコーダやポータブルオーディオ向けの音声処理LSIとして、業界最小という消費電力5mWでのMP3録音が可能で、リニアPCMにも対応する「LC823491」を開発したと発表した。サンプル出荷は12月より開始し、サンプル価格は2,000円。月産5万個を計画する。

 新開発のMP3エンコーダを搭載し、エンコーダ部の消費電力を従来より50%削減(動作周波数1/2)。また、1.0V動作が可能な90nmプロセスを採用し、MP3録音/再生時のLSI全体の消費電力約5mWを実現。同社従来品に比べ約30%の削減となっている。また、WMA再生時の低消費電力化も実現。使用する電池の小型化と、長時間の電池駆動を可能にするとしている。

 なお、MP3エンコーダはMP3デコーダとの同時動作が行なえ、録音しながら再生する追っかけ再生が可能。また、高速再生にも対応するため、講義やラジオ番組などの録音を継続しながら、そのファイルの先頭からピッチを変えずに早聞きする機能を低消費電力で実現できるとしている。

 リニアPCM録音は24bit/96kHzに対応。新開発の6バンドイコライザや高域補正回路、サンプリングレートコンバータ、サラウンド処理などの主要オーディオ処理機能を全てハードワイヤード方式で実装する。90nmプロセス採用により、従来の同社16bit/48kHz対応品に比べデータ量が3倍になったにも関わらず電力消費は1.5倍程度に抑えた。

 CPUはARM926EJ-Sを使用。16Mbitまたは64MbitのSDRAMをMCPで内蔵したことにより、外付けメモリ無しでリニアPCM対応が可能となり、セットの小型化に貢献する。また、MP3エンコーダは8倍速の高速エンコードにも対応し、ミニコンポなどのリッピング機能にも利用可能。そのため、ATA/ATAPI IFやUSB 2.0 Full-Speed Hostのインターフェイスも内蔵する。パッケージは11mm角のFBGA221。



(2009年 12月 9日)

[AV Watch編集部 中林暁]