キヤノン、虹彩絞り/タッチパネル搭載のAVCHDカメラ
-SDダブルスロットや、こだわりオートも装備
iVIS HF M31 |
それぞれ2009年8月に発売された、HF S11、HF21の後継モデル。S21に虹彩絞りが採用された以外のCMOSや光学系、画像処理エンジンに変更はなく、基本画質や機能は従来モデルをほぼ継承しているが、タッチパネル液晶が採用されるなど、操作系が強化されている。タッチパネルの採用に伴い、液晶脇に装備していたジョイスティックが無くなった。
iVIS HF S21 | iVIS HF M31 |
タッチパネルを採用したことにより、タッチした被写体にフォーカスと露出を追尾する「タッチ追尾」や、タッチした場所にフォーカスや露出を合わせる機能が搭載された。再生時にもサムネイル画像を、撮影日順に立体的に表示する「3Dビュー」機能が追加されている。
また、新たに、自動的に31シーンから選択する「こだわりオート」を装備。これは、IXYデジタルのノウハウや、DIGIC DV IIIの技術により実現しており、被写体と背景の組み合わせにより31シーンの中から、適したモードをカメラが自動的に選ぶ機能。なお、こだわりオートのシーンを手動選択したり、固定することはできない。
液晶脇に、パワードISボタンを備える |
パワードISでは、ベクトル補正量を増し、パンニング制御の変更することで、低周波の補正量と揺れ補正角を増やす。また、液晶脇のボタンを押す操作で、両手でしっかり持つように導くことで、手振れをさらに軽減する。
そのほかにも、内蔵メモリの容量が一杯になったら、SD/SDHCカードに自動切り替えするリレー記録に対応した。なお、記録メディアの切替え時には、シーンの欠落が発生する。
スナップ写真の感覚で4秒間の動画を撮影し、内蔵の音楽と一緒に再生できる「ビデオスナップ」機能も強化。記録時間に2秒と8秒が追加されたほか、ミュージックプレーヤー連動機能も新たに備えた。ビデオカメラのステレオミニ入力、ミュージックプレーヤーを接続すると、音楽のスタート/ストップに連動して再生する。
また、従来どおりSD解像度の撮影には対応していないが、新たに本体内で撮影した映像を、SD解像度に変換する機能を搭載。SD-Video形式(9Mbps)または、MPEG-2(3/9Mbps)を選択できる。さらに、Eye-Fiカードにも対応。パソコンなしで、無線LAN経由でWebサイトなどにアップロード可能となった。
付属ソフトについても、Vistaの64bit版、Windows 7(32/64bit)に対応した、ピクセラ製「ImageMixer 3SE」がバンドルされる。
■ iVIS HF S21
EVFも装備している |
S11からの大きな強化ポイントは、虹彩絞りを採用し、液晶モニターが3.5型92万ドット(S11は2.7型23万ドット)に大型化と高精細化した「鮮やかワイドタッチパネル液晶」となり、EVFも装備したこと。液晶モニターはコントラスト比も200:1から、800:1に向上。輝度は450cd/m2で従来と同じ。
さらに、視野率が従来の88%から、100%となった。なお、EVFは0.27型(約12.3万ドット)で、視野率は100%ではなく、実際の視野率は非公開としている。
液晶の大型化もあり、外形寸法75×148×74mm(幅×奥行き×高さ)、重量470g(撮影時520g)に本体も大型化。S11の約70×136×69m/約450g(撮影時約500g)から、一回り大きくなり、20g重くなった。
HF S11との比較。上がS11、下がS21 | 奥がS11、手前がS21 |
SD/SDHDスロットを2スロット内蔵 |
撮影モードも、従来の60i記録での24p、30pに加え、ネィティブの24p記録にも対応した。録画モードは従来と同じで、「MXP」(約24Mbps)、「FXP」(約17Mbps)、「XP+」(約12Mbps)、「SP」(約7Mbps)、「LP」(約5Mbps)の5種類を用意。解像度はMXP/FXPモードは1,920×1,080ドット、その他のモードは1,440×1,080ドット。なお、 1,920×1,080ドットはSDHC Class4以上、それ以外はClass2以上のカードが推奨されている。
また、今までの音声入力のアッテネータは、手動でON/OFFしていたが、オートマイクアッテネータが装備され、自動切換えもできるようになった。
iVIS HF S21 |
撮像素子の有効画素数は動画時約601万画素、静止画時は約802万画素(4:3)/約601万画素 (16:9)で、フィルターはRGB原色フィルターを採用。動画撮影時には、約601万画素の映像信号を読み出して、ハイビジョン解像度(約200万画素)にリサイズして録画する。また、中央の1,920×1,080画素だけを読み出すことで、画質を劣化させずに焦点距離を1.7倍相当にする、「デジタルテレコン」も利用できる。
連続撮影時間は、付属のバッテリパック「BP-808」使用時で、液晶モニターを使用して、標準画質のSP(約7Mbps)モードで撮影した場合、約85分となっている。オプションの「BP-827」を使用すると、約270分の連続撮影が行なえる。液晶モニター使用時は、S11より消費電力が約0.5W増えているため、連続撮影時間が短くなっている。なお、EVF使用時の消費電力は、S11の液晶モニター使用時の消費電力と同じ。
製品内容 |
付属品は、ワイヤレスコントローラー「WL-D89」、D端子ケーブル「DTC-100/S」、ステレオビデオケーブル「STV-250N」、USBケーブル、コンパクトパワーアダプタ「CA-570S」、バッテリパック 「BP-808」、PIXELA Application Disc、音楽データディスクなどとなっている。
■ iVIS HF M31
従来モデルHF21までは、S11と「ダブルフラグシップ」として展開していたが、M31からは、S21の下位モデルとして位置づけられた。カラーバリエーションとして、レッドとシルバーをラインナップする。
レッド | シルバー |
そのほかにもデジタルズーム時の手振れ補正が、光学式に加え、電子式を加えることで、より手振れ補正がきくようになった。それ以外の仕様は従来とほぼ同じで、総画素数389万画素「キヤノン フルHD CMOS」を採用したほか、DIGIC DV IIIや、光学15倍ズームの「キヤノン HD ビデオレンズ」を搭載。
撮像素子は1/4型総画素数約399万画素で、RGB原色フィルターを採用。有効画素数は、静止画時は約331万画素(4:3)/約299万画素 (16:9)。ズームは光学15倍で、9群11枚構成。 F1.8~3.2、焦点距離は35mm判換算で39.5~592.5mmとなっている。。
録画モードはHF S21と同じで、静止画はJPEG形式で、2,100×1,575/2,304×1,296/1,600×1,200/848×480/640×480ドットで撮影できる。液晶モニターはタッチパネルとなった以外の仕様に変更はなく、2.7型約21.1万ドット、広視野角/広色域対応、ハードコートAR表面処理が施されている。なお、EVFは搭載していない。
連続撮影時間は、付属のバッテリパック「BP-808」で、約105分(SPモード、内蔵メモリ使用、液晶モニターの明るさ:ノーマル、AF合焦時)。オプションの「BP-827」を使用すると、約315分の連続撮影が行なえる。なお、消費電力が約0.1W、HF21より減ったため連続撮影時間が少し長くなっている。
製品内容 |
付属品は、バッテリパック「BP-808」、ワイヤレスコントローラー「WL-D89」、D端子ケーブル「DTC-100/S」、ステレオビデオケーブル「STV-250N」、USBケーブル、コンパクトパワーアダプタ「CA-570」、PIXELA Application Disc、音楽データディスクなど。
iVIS HF M31 |
■ 新オプション
新オプションとして、S21とM31に対応したサラウンドマイク「SM-V1」(26,250円)と、M31に対応するウォータープルーフケース「WP-V2」(62,790円)も発売される。
SM-V1は、S21とM31のアクセサリーシューに装着できるサラウンドマイク。装着すると、同社初の5.1chサラウンド収録が可能となる。装着時にズームと連動した指向性などの設定が可能なほか、風切り音を抑制するファータイプの風防も付属する。質量は約48g。発売は4月下旬の予定。
SM-V1 | 装着例 |
WP-V2は、M31専用の水深40mまでの防水性能(IEC1/JIS保護等級「IPX8」相当)を持ったウォータープルーフケース。手袋をはめたままでも操作が可能な大型のズームレバーや、急激な温度変化による結露を防ぐ二重ガラス、光の反射を防ぐマルチコーティングを採用したレンズ窓を装備する。重量は約860g。2月中旬に発売される。
WP-V2 | HF M31搭載時 |
(2010年 1月 13日)
[AV Watch編集部 古川 敦]