“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語” |
■ ラスベガス恒例イベントと言えば……
会期2日目となるラスベガスは、やっぱりモノレールが故障で止まっている。前回NABで来たときも2日目にモノレールが故障しているので、もはや2日目にモノレールに乗ろうとするのは素人であると言っても過言ではない。今回取材で同行している「大画面マニア」の西川善司氏とタクシーに乗って会場に向かった。
CESにはいろんなデバイスが沢山でているので、もっと色々ご紹介したいのだが、とにかくカムコーダの新製品が山のように出ているので、それを追いかけるだけで一苦労である。本日はラインナップを強化したキヤノン、そして招待者のみのスイート展示を行なっている三洋、そして今となっては三洋の親会社となったPanasonicのコンシューマ機をご紹介する。
■ バリエーションを大幅増強したキヤノン
赤が目印のキヤノンブース |
セントラルホール中央付近にあるキヤノンブースは、デジカメ、プリンタ、果ては電卓まで見所が多いわけだが、カムコーダも新ラインナップを投入してきた。ここでは気になるハイエンドから順に紹介していこう。
昨年はハイエンドモデルのHF Sシリーズを投入したが、今年はその後継となるHF S21が登場した。最大の特徴は、これまでの最大の弱点であった菱形絞りのボケの汚さを解消する、虹彩絞りの搭載である。昨年ソニーが搭載して以降、他社が追従するには1年かかると言い続けてさりげなくプレッシャーをかけ続けてきたわけだが、そのかいあって(?)、きっちり1年後にキヤノンの虹彩絞りモデルが登場したことになる。
虹彩絞り搭載のハイエンドモデル「HF S21」 | レンズ奥に6角形の絞りが見える |
タッチパネル対応の新GUI |
デザインテイストやサイズ感は前モデルHF S11と似ているが、カスタムキーが鏡筒部から出っ張って操作しやすくなったり、ビューファインダが付いたりと、内部的にはかなり大胆にリファインされている。
液晶モニタも大型化し、3.5型92万画素の高精細タイプとなった。また今回からGUIを全面的に改定し、タッチスクリーン操作になったため、液晶画面脇のジョイスティックがなくなっている。
液晶モニタの視野角が100%表示となったことも大きい。従来コンシューマ機や廉価な業務用機では、液晶モニタの視野角が90~95%程度なため、端に余計なものが写っていても気がつかず、あとでパソコンで見てガッカリすることがある。
しかし現在はテレビも100%表示が可能になり、WEB動画では最初から100%表示だ。アナログ時代の「テレビフレーム」という概念が必要なくなってきた時に、コンシューマ機でありながら視野角100%モニタにした意義は小さくない。
レンズは35mm判換算で広角端43.5mmの光学10倍ズームレンズで、1.7倍のデジタルテレコンを搭載。手ぶれ補正は、以前ワイド端を強化したダイナミックモードを搭載したが、今回はテレ側での強化としてPowered ISを搭載。テレ側でどうしてもぶれてしまうときに、液晶横のPowered ISボタンを押すと、補正量をさらに増やして強力な手ぶれ補正を効かせることができる。
またタッチパネルを生かして、人の顔以外でも色などを画面上で指定することで、ターゲットにAFを追従させる機能も搭載した。
記録メディアは内蔵メモリ64GBで、さらにデュアルスロットのSDカードスロットを搭載する。内蔵メモリがいっぱいになったらAスロット、そこもいっぱいになったらBスロットと、3メディアに渡って連続記録ができる。またSDカードスロットは新たにEye-Fiビデオカードにも対応、内部メモリに撮影したHD映像を、カメラ内部でダウンコンバートしながらSDカードにダビングする機能も付いている。3月発売予定で、価格は1,399ドル。
内蔵メモリ以外にSDカードスロットが2つ | モード切替はデュアルショットかマニュアルかの2選択となった |
同時リリースのHF S20は、内蔵メモリを32GBにした廉価モデルで、機能的にはHF S21と同じ。価格は1,099ドル。HF S200は内蔵メモリなしのデュアルSDスロット記録の廉価モデルで、価格は999ドル。
姉妹モデルの「HF S20」 | 内蔵メモリなしモデル「HF S200」 |
従来のHF20/21など小型シリーズの後継となるHF Mシリーズがあらたに登場した。HF M31はレンズが35mm判換算39.5mmスタートの光学15倍ズームレンズで、内蔵メモリは32GB。ただし虹彩絞りではない。上位モデルと同じくPowered ISやEye-Fiビデオカード対応、内部ダウンコンバート機能はそのまま搭載している。こちらもタッチパネル搭載で、新GUIとなっている。SDカードスロットは従来どおり1つ。
HFシリーズは水中撮影可能なケースがあるのが魅力だったわけだが、今回HF Mシリーズ向けの新しい水中撮影用ケースも展示されていた。水中撮影ファンも安心して買えそうだ。こちらは2月発売で、価格は799ドル。
小型機の新シリーズ「HF M31」 | Mシリーズ用の新しい水中撮影用ケース |
姉妹機のHF M30は、内蔵メモリ8GBの廉価モデル。こちらは699ドル。ここまでくるともうだいたい想像できると思うが、HF M300は内蔵メモリなしモデルで、679ドル。
8GB内蔵メモリの「HF M30」 | 内蔵メモリなしモデル「HF M300」 |
光学20倍の小型モデル、HF R11 |
新ラインナップはもう一つある。フルHDのコンパクトモデル、HF Rシリーズだ。HF R11は35mm判換算40mmスタートの20倍ズームレンズを搭載しながら、重量を約270gに押さえた、小型軽量モデル。Eye-Fiビデオカード対応、内部ダウンコンバート機能搭載だが、こちらはタッチスクリーンではなく、従来型のジョイスティック操作となっているほか、Powered ISもない。
内蔵メモリ32GBで2月発売、価格は699ドル。そしてもうだんだん書くのがめんどくさくなってきたHF R10は内蔵メモリ8GBで、549ドル。HF R100は内蔵メモリなしで499ドル。
内蔵メモリ8GBの「HF R10」 | 内蔵メモリなし「HF R100」 |
■ 薄型モデルで気を吐く三洋
動画、静止画撮影ボタンは上下に配置 | VPC-CS1は本体充電機能なし |
薄型のVPC-CS1は、ボディを薄型化してしまったために、従来の特徴であった動画、静止画撮影用の左右のボタンの置き場所がなくなってしまった。そのかわり、ズームレバーを挟んで上下に両ボタンが配置してある。上が静止画シャッター、下が動画撮影ボタンである。
またVPC-CS1は本体充電機能も省いてしまったため、バッテリを抜いて付属充電器で充電する必要がある。カメラをAC駆動させたい場合は、バッテリを外して専用アダプタを接続する。バッテリ下のキャップは、そのときにケーブルを通すための穴だそうだ。
横型のVPC-SH1は、ボディが流線型になっているもののある程度横幅があるため、従来どおり左右に動画、静止画の記録ボタンがある。さらにボディを上から握って撮影するときに便利なように、鏡筒部の上部にも両ボタンが付いているところもポイントだ。VPC-SH1のほうは本体充電となっており、AC駆動もそのまま可能。
VPC-SH1は左右にボタンあり | さらに鏡筒部上にも静止画、動画撮影ボタンを装備 |
なお余談だが、Appleと三洋が共同でサポートしている動画フォーマット「iFlame」の詳細も伺った。今回のXactiにもiFlame録画モードがあり、このモードでの撮影時には液晶画面に☆マークが付く。このフォーマットはApple iMovieで編集する際に、ネイティブフォーマットでの編集が可能になるほか、フィルムロールの表示が高速化されるそうである。
画素数が960×540ピクセルという聞いたこともない数値なのは、フルHDの1,920×1,080の縦横半分、言うなればQFullHDサイズだから、ということだそうだ。いやそれは言われないとわかんない。iFlameはAppleが推奨する動画フォーマットだそうだが、三洋以外のカムコーダで採用例が増えてこないと、なかなか流行らないような気がする。しかし逆に考えれば、iMovieで簡単に動画編集、WEB動画配信をやりたいと考えている人は、Xactiを選ぶと最強ということにもなる。
画質モードがiFlameになっていると、画面右上に☆マークが出る | 謎の画素数の正体はQFullHD!? |
■ もちろんコンシューマ向けカムコーダも発表のPanasonic
前回はツインレンズ3Dカメラレコーダの話しか書かなかったが、もちろんPanasonicのコンシューマ向けカムコーダも出展されている。なお、価格については非公開となっている。
内蔵メモリ記録タイプのHDC-TM60は、35.7mmスタートの光学25倍ズームにプラスして、画像処理エンジンを使った新アルゴリズムの電子ズームを使い、最大35倍ズームを実現した。内蔵メモリは16GB。このモデル、実機は展示してあったが、北米向けのプレスリリースには載っておらず、もしかしたら日本向けモデルかもしれない。北米向けの内蔵メモリモデルは、プレスリリースではHDC-TM55というモデルのみになっており、内蔵メモリ容量は8GBと記載されている。
もしかしたら日本向けモデル? 「HDC-TM60」 | モードスイッチは動画と静止画が隣り合わせになっている | こっちが米国向け? 「HDC-TM55」 |
同スペックのHDDモデルHDC-HS60は、120GB HDD搭載モデル。そして同スペックで内蔵メモリなしのモデルが、HDC-SD60となっている。
またアクリルケースに入った型番なしのモデルも展示してあった。詳細は不明だが、形状から察するにHDC-TM350クラスの後継モデルではないかと思われる。ハイエンドモデルの登場は、しばらくお預けのようだ。
小型モデルでは久々のHDDモデル「HDC-HS60」 | 内蔵メモリなしの「HDC-SD60」 | 謎の上位モデル、鋭意開発中? |