フルHD動画対応機種が増加。カメラ展示会「CP+ 2010」
-ソニーのミラーレス。ニコン初のフルHDなど
国内最大級の写真映像関連イベント「CP+ 2010」(シーピープラス2010)が、11日にパシフィコ横浜で開幕した。期間は3月11日~14日で、入場料は当日一般1,000円、土曜日・日曜日無料(要簡易登録)、Web事前登録者・65歳以上(シルバーパスまたは証明できるものを持参)・障害者手帳持参者・学生(学生証持参)は無料。 主催は一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)。
今年が初の開催となる「CP+ 2010」 |
デジタルカメラを中心としたイベントではあるが、最近ではフルHD解像度の動画撮影機能を持ったカメラが増加。ビデオカメラの代わりを努めたり、大型の撮像素子や大口径レンズの描写を活かし、民生用ビデオカメラと一味違う動画が撮影できるカメラも増加しており、AVファンにも見逃せないイベントとなっている。
ここではフルHD動画撮影に対応したカメラを中心に、注目モデルをレポートする。
■ ソニー
ソニーブースでは、2010年に発売を予定しているレンズ交換式のミラーレス小型カメラを中心とした展示を行なっている。詳しい発売日や価格は明らかにされていない。
詳細は初日の記者説明会で発表された通りだが、撮像素子にAPS-Cサイズの「Exmor APS HD CMOS」を採用した、レンズ交換式カメラで、AVCHDフォーマットのフルHD動画が撮影可能。なお、CMOSは裏面照射タイプではない。
ソニーのミラーレス小型カメラコンセプトモデル | レッド、ブルー、シルバーといったカラフルなデザインが用意されている | パンケーキタイプのレンズを装着したもの |
薄型ボディであることがわかる。また、天面には内蔵フラッシュを装備しているようだ | 背面。右上の部分に、動画撮影用と思われるボタンが見える | 撮像素子はAPS-Cサイズの「Exmor APS HD CMOS」 |
画質面で一眼レフへのステップアップを望むものの、「大きい」、「重い」、「操作が難しい」といったハードルから敬遠していた人に向けたモデルと位置付けられており、ミラーレスでコンパクト化したボディや、アイコンや説明文を多用したメニューデザインなどが特徴となっている。
女性にもマッチするサイズ&デザイン |
ブース中心には同カメラのコンセプトモデルを展示。これには触れる事ができないが、代わりに、コンセプトモデルのサイズ&重さを再現したモックアップを配置。実際に触れて、大きさや重さが体験できるようになっている。なお、持参したオリンパスのミラーレス・マイクロフォーサーズ「E-P1」(M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8付)と並べると、ほぼ同程度のサイズで、重さも同程度に感じられた。
アイコンを使ったメニュー画面のイメージ | こちらは撮影中画面のイメージ | コンセプトモデルのサイズ、重さを再現したモックに触れられる |
天面 | 背面 | ズームタイプのレンズを装着した所と思われるモック |
E-P1とのサイズ比較 |
同社ブースではさらに、「基本カメラ性能の大幅な強化」と「クラス内最高速のレスポンス」を実現するというメインストリーム機と、「ソニーらしい映像表現力を持つ」という中級機も参考展示。いずれも一眼レフタイプと見られ、ミラーレスモデルと同様にExmor APS HD CMOSを搭載し、フルHDのAVCHD録画に対応する事が発表されている。
参考展示品の肩の部分には、2機種とも「AVCHD」、「HD」といったロゴが入っており、背面には動画撮影開始用と思われる赤いボタンも装備していた。いずれも詳細や発売日、価格などは未定。
そのほか、一眼レフ用の交換用レンズとして、2010年内に発売予定とする「Distagon T* 24mm F2 ZA SSM」や、500mm/F4の超望遠「Gレンズ」も出展。デジタルカメラ「サイバーショット」のTransferJet機能のデモも行なっている。
「ソニーらしい映像表現力を持つ」という中級機 | 背面。赤いボタンは動画撮影用と思われる。肩の部分にはAVCHDのロゴマーク | 「基本カメラ性能の大幅な強化」と「クラス内最高速のレスポンス」を実現するというメインストリーム機 |
メインストリーム機の背面。動画撮影用ボタンと思われる赤いボタンが見える | Distagon T* 24mm F2 ZA SSM | 500mm/F4の超望遠「Gレンズ」 |
フルHDの4倍、QFHD(3840× 2160ドット)解像度、10bitパネルを搭載した56型液晶モニタ「TRIMASTER SRM-L560」で、プロ写真家の作品を表示するデモ。多くの来場者が足を止めていた。バックライトは高純度LED |
また、ゴルフスイングの一連の動きを動画とともに連続写真として作成する「ゴルフショット」など、ビデオカメラの新機能を来場者が体験できるコーナーも設けられている。
エンジェルリーグ所属 芸能人女子フットサルチームの試合を撮影できる | 低価格フルHDカメラ「bloggie」シリーズも展示 | |
HDR-CX550Vなどのビデオカメラも展示 | ゴルフのインパクト音を検知し、前後のデータを動画、連続写真として保存する「ゴルフショット」機能が体験できる |
■ ニコン
ニコンブースでは、同社のデジタルカメラとして初めて、フルHDの動画撮影に対応したコンパクトデジタルカメラ「COOLPIX P100」を展示。3月5日に発売されたばかりで、実売は5万円前後。
COOLPIX P100 |
1,920×1,080ドットの動画撮影が可能で、コーデックはMPEG-4 AVC/H.264、音声はAACステレオ。ファイル形式はMOVとなる。記録モードはHD 1080p(1,920×1,080/30fps)、HD 720p(1280×720/30fps)、VGA(640×480/30fps)、QVGA(320×240/30fps)を用意。 背面の「動画撮影ボタン」を押すことで、すぐに動画撮影が可能。
動画撮影中も光学ズームの操作は可能で、手ブレ補正も利用できる。レンズは35mm換算で26~678mm相当 液晶モニターは上下チルト式。
一眼レフの動画撮影機能が活用された事例も紹介 | 様々なカメラを手にとって体験できる | 被写体も様々なものが用意されているが、暗闇に水槽を配置した高感度撮影体験コーナーも |
【2010年2月23日】ニコン、同社初のフルHD動画対応デジカメ「P100」
-1080p/MPEG-4 AVC撮影。裏面照射CMOSも採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100223_350741.html
■ 富士フイルム
富士フイルムは、4月17日に発売するデジタルカメラ「FinePix HS10」(店頭予想価格は49,800円前後)を展示。フルHD動画撮影が可能で、解像度は1,920×1,080/1,280×720/640×480/320×240ピクセルから選択。いずれもフレームレートは30fpsで、形式はMPEG-4 AVC/H.264、拡張子はMOV。
FinePix HS10 |
世界で初という光学30倍ズームレンズ(35mm判換算24~720mm相当)を搭載。ステレオマイクを内蔵し、ステレオ音声付きで動画記録が可能。ズームリングも備え、ズーミングを手動で行なうことができる。動画撮影中のAFはフルオート。
新開発の手ブレ補正機構「5軸手ブレ補正」を搭載するのも特徴で、ジャイロセンサーによる縦横回転方向のブレ補正に、垂直(上下シフト)、水平(左右シフト)、光軸回転(ロール方向)を追加。高感度撮影、連写画像から1枚の画像を生成する独自の「マルチフレーム技術」も組み合わせて強力にブレを補正する。
さらに面白い機能として、自動で同じシーンを5枚連写し、画像を合成する事で、動いている被写体を自動で取り除く「動体キャンセル」機能を装備。旅行先などで、通行人のいない絵葉書のような写真が簡単に撮影できるというもので、会場ではデモも体験できる。
【2010年3月9日】富士フイルム、30倍ズーム搭載フルHD対応「FinePix」
-「5軸手ブレ補正」搭載。ステレオマイク内蔵
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100309_353605.html
■ パナソニック
パナソニックブースでは「LUMIX DMC-G2」をメインに訴求。4月28日発売予定で、ボディのみの実売は8万円前後の見込み。マイクロフォーサーズ規格のレンズ交換式デジタルカメラで、「DMC-G1」の後継。1,280×720ドット/30fpsの動画撮影ができ、フォーマットはAVCHD Liteを採用する。外部ステレオマイクの「DMW-MS1」にも対応する。
タッチパネル式の液晶モニターを採用したのが特徴で、タッチすることで、その部分にフォーカスが合い、同時にシャッターを切る事が可能。動画撮影時にタッチすると、その部分にフォーカスを合わせる事ができる。動画中のAF操作では、三脚などに固定していても、シャッターボタンを半押しするとカメラのボディが動いてしまい、それが動画に記録されてしまう事があるが、モニターのタッチならば振動が少ないという。
LUMIX DMC-G2 | 動画撮影中、モニターにタッチするとその部分にフォーカスが合う | タッチパネルやAVCHD Lite動画撮影などを省いたG10というモデルが海外発表されており、CP+でも参考展示されたが、日本市場への投入予定は今のところ無いという |
【2010年3月9日】パナソニック、タッチパネル搭載のマイクロフォーサーズ機
「LUMIX DMC-G2」を国内発表 (デジカメWatch)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/20100309_353603.html
■ キヤノン
キヤノンブースでは、5D mark IIや7D、Kiss X4といった、高い動画撮影機能を持つデジタル一眼レフカメラを紹介。動画撮影機能「EOS MOVIE」のコーナーでは、各モデルの動画撮影機能の比較表が確認できるほか、有名クリエイターがEOS MOVIEで作り上げた動画作品の紹介、全編をEOS MOVIEで撮影したテレビ番組「世界の街道をゆく」の紹介なども行なわれている。
全編をEOS MOVIEで撮影したテレビ番組「世界の街道をゆく」の紹介 | 「EOS MOVIE」各モデルの動画撮影機能比較表 | 有名クリエイターがEOS MOVIEで作り上げた動画作品の紹介 |
さらに、ブース中央には多数のモデルを用意。デジタル一眼レフや、虹彩絞りを採用したAVCHDカメラのフラッグシップ「HF S21」など、ビデオカメラでもモデル撮影が体験できるようになっている。
超望遠レンズも体験できる | HF S21 |
■ リコー
リコーブースでは、素子とレンズを1つのユニットとして扱い、ユニットを交換する事で様々なカメラに変身できる「GXR」が話題。新しいユニットとして、「GR LENS A12 28mm F2.5」(仮称)、「RICOH LENS P10 28-300mm F3.5-5.6 VC」(仮称)が参考展示された。さらに、今後のユニットアイデアとして、撮影画像を投写するプロジェクタユニットやストレージユニット、画像送信用のワイヤレス通信ユニットなども紹介された。
GXR用の新ユニットが参考展示 | プロジェクタなどのユニットアイデアも披露された |
さらに、カメラ雑誌「日本カメラ」2月号(日本カメラ社刊)に、写真家の中村文夫氏が「こんなカメラユニットが欲しい」という要望として発表した3個のユニットも展示。ライカMマウントのレンズが装着できるユニットと、ベローズ接写ユニット、ハッセルブラッドSWC用中判ユニットで、ボール紙と各パーツを組み合わせて作られているという。しかし、そうは思えないほど質感が高く、またマニア心をくすぐるアイデアのためか、多くの来場者が実際の商品化の可能性などを質問していた。
中村文夫氏が手掛けたユニット案。マニア心をくすぐるものばかり |
■ その他
(2010年 3月 11日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]