「ツイケー」流行らせたい。ソフトバンク10年夏モデル

　ソフトバンクモバイル株式会社は18日、携帯電話の2010年夏モデルを発表した。ラインナップは20モデル。そのうち、ワンセグ受信に対応したのは8モデル。Twitter対応は14モデル、防水対応モデルは9モデルとなる。ディズニーモバイルのモデルや監視カメラ、フォトスタンドなどを省いた一覧表は以下の通り。

　1,210万画素のCCDを採用し、1,280×720ドットのMPEG-4 AVC/H.264動画が撮影できるシャープ製の「945SH」や、それをベースにしたガンプラケータイ「945SH G Ver.GP30th」。ソーラー充電に対応し、防水・防塵もサポートするシャープ製の「842SH」。パナソニックの1,320万画素デジカメを備え、防水仕様のVIERAケータイ「942P」など、個性的なモデルを用意。各モデルの特徴は別記事で紹介している。

型番	発売日	メーカー	ワンセグ	Wi-Fi	特徴
mirumo2 944SH	6月中旬以降	シャープ	○	○	・3.2型メモリ液晶 ・タッチパネル ・防水&防塵 ・800万画素デジカメ ・Bluetooth
945SH	7月上旬以降	シャープ	○	○	・HD動画撮影 ・2Wayステレオ録音マイク ・3.4型フルワイドVGA液晶 ・1,210万画素デジカメ ・Bluetooth
945SH G Ver.GP30th	9月中旬以降	シャープ	○	○	・ガンプラ30周年記念 ・特殊ガンプラ同梱 ・発射カタパルトで 　ガンプラと携帯をホールド ・随所にガンダムコンテンツ ・HD動画撮影 ・3.4型フルワイドVGA液晶 ・1,210万画素デジカメ ・Bluetooth
THE PREMIUM6 WATERPROOF 841SH	6月上旬以降	シャープ	－	－	・防水&防滴 ・Bluetooth
842SH	7月下旬以降	シャープ	－	－	・ソーラー充電対応 ・防水&防塵 ・Bluetooth
840Z	8月上旬以降	ZTE	－	－	・かんたん携帯
841SH s	5月14日	シャープ	－	－	・GENTシリーズ ・防水&防塵 ・Bluetooth
843SH	8月下旬以降	シャープ	－	－	・かんたん携帯 ・防水
942P	7月下旬以降	パナソニック	○	○	・1,320万画素デジカメ ・防水 ・3.1型タッチパネル液晶 ・Bluetooth
842P	6月上旬以降	パナソニック	○	－	・10mmスリムボディ
840N	7月下旬以降	NEC	○	－	・グラデーションカラー
841N	8月下旬以降	NEC	○	－	・13.9mmスライド式
941SC	7月中旬以降	サムスン	○	○	・3.3型タッチパネル有機EL ・シアタースタンド装備 ・Bluetooth
AQUA STYLE 840SC	6月下旬以降	サムスン	○	－	・防水

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■ 夏モデルのテーマは「Twitter」

夏モデルのテーマはTwitter

　孫正義社長は、夏モデルのテーマとして「Twitter」を掲げる。自身でも毎日活用しているという孫社長は、「最初はビジネスの役に立つかと思って始めたのだが、今ではのめりこんでいる。私の人生、ライフスタイルが変わった」と語るほどのヘビーユーザー。朝起きてハミガキ前にチェック、仕事の合間につぶやき、就寝前にもチェックするような毎日だという。

　仕事にも活用しており、携帯電話の電波の基地局を2010年度中を目処に倍増させるという、3月発表の「電波改善宣言」のキッカケがTwitterである事も紹介。「電波が田舎の方で繋がらないぞというTwitterの声が多く、これまでもそうした取り組みは行なっていたが、生の声をいただき、(基地局倍増のための)借金がどうのと言っている暇はないと考え改善宣言をした。多くの人と直接やりとりできるTwitterは、メールや電話とまったく違うもの。しかも140文字と限定されているのが素晴らしい」と説明。

　さらにその魅力を「会ったことない、見たことも無い人達と、お互いの脳が繋がり、外に脳ができる。自分の右脳と左脳の他に“外脳”ができたような、不思議な体験。しかし素晴らしい体験」と表現。続けてTwitterを活用している著名人の声や、日本で米国を上回る、爆発的な利用率の上昇を記録している事などを紹介した。

　また、USTREAMを使って発表会の模様をインターネット中継するとともに、Twitter上で発表会用のハッシュタグ(小部屋のようなもの)「#softbank」を開設。発表会を見ている一般ユーザーからの反応をスクリーンで紹介したり、「#softbank」にツイートした総数をリアルタイムに表示。5,000程度からカウントを開始し、発表会終了間際には46,394ツイートになるなど、Twitterの“活況ぶり”をビジュアルや数字を駆使してアピールした。なお、発表会後の発表によれば、USTREAM視聴者数はトータルで14万400人、ユニーク視聴者数は8万8,300人になったという。

会場の様子。左右のスクリーンに発表会の中継を見たユーザーのツイートがリアルタイムに表示されている	著名人のTwitterへの声もビデオで紹介	発表会終了間際には46,000を越えるツイートが

　孫社長によれば、Twitterの利用者はPC以外ではiPhoneユーザーが多く、実にユーザーの28%がTwitterを利用しているという。その反面、通常の携帯電話での利用者は3%にとどまっている。

　そこで孫社長は「一般携帯のユーザーでも、サクサクと、見やすくTwitterを利用できるようにしたい」と語り、今回発表する携帯の中で14機種がTwitterに対応する事を紹介。具体的にはTwitterが利用できるクライアントアプリのモバイルウィジェットや、S!アプリを用意する。

　今回のモデルでは、Twitter社提供の公式アプリ「Twitterウィジェット」を944SH、945SH、945SH G、942P、941SC、841SH、842SH、842P、841Nにプリインストール。さらに「TweetMe」のS!アプリ版「TweetMe for Sアプリ」は944SH、945SH、945SH G、942P、941SC、841SH、841SHs、842SH、843SH、842P、840N、841N、840SCに対応。945SHと945SH Gにはプリインストールもされる。

　また、有名人のつぶやきなどが簡単に検索できるモバイルウィジェット「twinavi」も開発。初心者が気軽にTwitterの世界に入れるような工夫をしているという。これらのアプリを紹介する「ツイッターおまとめサイト」も開設。6月上旬よりアプリを同サイトで提供開始予定。プリインストールされていない機種でもダウンロードして利用できるという。

　会場では、Twitter社のMobile Platform Directorのケビン・サー氏も紹介され、孫社長と固く握手。さらに、USTREAMの中継でTwitter社のCEOエヴァン・ウィリアムズ氏も登場。「今回発表されたTwitterウィジェットにワクワクしています」と語った。

Twitter社のMobile Platform Directorのケビン・サー氏	USTREAMの中継でTwitter社のCEOエヴァン・ウィリアムズ氏も登場

　なお、青少年保護の観点で18歳未満が使用する際に、Twitterにフィルタリングをかけようという動きがある事について孫社長は「フィルタリングかけるなんて言ったら世界中の人々から笑われる。私はもう高校生のユーザーのフォローもしているが、大人と学生がコミュニケーションできない、そんなナンセンスな事は許してはいけない。コミュニケーション革命の、神に対する冒涜だと考えている。人と人がコミュニケーションして何が悪い!」と熱弁。

　さらに、「政府がフィルタリングすると言うなら、私はガソリン持っていって総務省に火をつける」と過激なジョークも飛び出した。孫社長はさらに、今回の参議院選挙でTwitterが解禁されない事にも触れ、「それすら世界から笑われると思う、とんでもない事。いったい誰が反対しているんだ。最もお金がかからない、クリーンな選挙運動として世界で活用されている。だいたい、選挙活動でお金がかかるから、お金にまつわる疑惑で首相や議員が倒れていく。その根っこにあるのは選挙にお金がかかる事。むしろ(Twitterを禁止する)日本の政治が間違っている。Twitterの人々は全員で立ち上がり、その事についてツイートすべき。選挙に使っちゃダメなんて言っている議員は誰だ!! 許せん!! と私は叫びたい」と見解を述べた。

　続いて、「Twitterをどう収益に繋げるか?」という質問については、「そんなものは小さい。いずれお金はついてくる! という気持ち。人々が繋がり、Twitterが広まり、“Twitterを使うならソフトバンクの携帯だよね”となれば良い。ちまちまと、目先のことを焦ってやる必要はないと考えている」と答えた。

発表会にはゲストとして上戸彩さんも登場。945SHのHD動画撮影のデモとして、孫社長が自ら撮影する一幕もあり、孫社長は撮影した静止画をTwitterに投稿した	945SH

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■ USTREAM Asia設立

　USTREAMへの取り組みも強化。同社は1月に、約18億円をUSTREAM社に出資し、出資比率は13.55%となっているが、今回、アジアでの事業展開を目的とした合弁会社「USTREAM Asia株式会社」を設立することでUSTREAM社と合意したという。ソフトバンクの100%子会社であるTVバンクを通じ、新会社に出資する予定で、準備会社は5月19日に設立、その後速やかに合弁会社化するという。社長にはTVバンク社長の中川具隆氏が就任予定。

USTREAM社のジョン・ハムCEO

　ソフトバンクはUSTREAM社に対し、さらに6月中に約9億円の追加投資を実施予定。これにより出資比率は19.04%となる見込みで、今後2011年7月までに追加で株式を取得できる全てのオプションを行使した場合、合計で約7,500万ドル(出資比率30%強)となり、同社の筆頭株主になるという。

　具体的な展開は未定だが、USTREAM Asiaは日本での事業展開を本格化させ、その後にアジア各国で事業を拡大する予定。なお、日本語版サイトは4月に既に提供されているが、これに加えてiPhone向けビューワーアプリ「USTREAM Viewer」、配信アプリ「USTREAM Broadcaster」の日本語版提供も計画しているという。発表会ではUSTREAM社のジョン・ハムCEOも登壇。孫社長は「一緒に革命を起こしましょう」と握手した。

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■ 「ツイケー」を流行らせたい

　夏のラインナップではTwitter/Ustream以外にも、944SH、945SH、945SH Gの3モデルでブラウザが強化。Webページの読み込みサイズが300KBから500KBに拡大し、ページ内のFlash動画再生にも対応。マルチウインドウにも対応するという。

　さらに、ケータイWi-Fi対応モデルも多数用意されているが、公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」の拡充も発表。17日に、日本全国のスターバックス コーヒー店舗内で利用できるようにする事を発表しているが、それに加えて、コンビニの「ミニストップ」、たこ焼きの「築地 銀だこ」、居酒屋の「白木屋」、サンドウィッチの「サブウェイ」、喫茶店の「銀座ルノアール」など、約60社を追加する予定を明らかにした。

60社の追加を発表する前に、孫社長は昨日のTwitterを紹介。スターバックスでの展開を聞いたユーザーから「ファミレスにもWi-Fiを!」というつぶやきがあり、孫社長は「やりましょう」と返事。その翌日(18日)にファミレスを含む60社の追加を発表した。もちろん事前に交渉は進められていたわけだが、“一晩で決定”したように見える絶妙のタイミングの発表であり、会場からは驚きのどよめきが起こった

　孫社長はTwitterで寄せられた反響を読みながら、「ツイッター携帯、ツイケー!! 今思いつきました、“ツイケー”という言葉を流行らせたい」とキーワードを考案。Twitterが付いていないと携帯じゃないと言われる時代が来るのではないか。最初に大きな声で言ったのはソフトバンクだと、覚えておいていただきたい」と笑う。

　発表会の最後には、Twitterで紹介されていたAppleのスティーブ・ジョブズCEOのスタンフォード大学でのスピーチを読んで感動し、声を出して泣いてしまい、その事をつぶやくと、フランスにいる坂本龍一氏が一緒に読んで、泣いてくれたという自身のエピソードも紹介。Twitterでのコミュニケーションが味気ないものではなく、フェイス・トゥー・フェイスでのコミュニケーションにも負けない心の触れ合いを実現していることを強調。Twitter一色の発表会となった。