「3D&バーチャルリアリティ展」開幕。3D AQUOSなど出展

-1080pキャプチャカードや3Dプリントシステムなど


会期:6月23日~6月25日

会場:東京ビッグサイト

入場料:5,000円(事前登録者は無料)


会場は東京ビックサイト

 第18回 3D&バーチャルリアリティ展が東京ビックサイトで開幕した。期間は6月23日から25日まで。主催はリード・エグジビション・ジャパン。入場料は5,000円だが、事前登録で無料となる。

 従来は、企業向けバーチャルリアリティ製品を扱う「産業用バーチャルリアリティ展」として展開していたが、3Dテレビや映画などの関連技術が増加したことから、3D技術分野を加え、今回から「3D&バーチャルリアルティ展」としてリニューアルした。

 会場では、シャープが7月30日発売予定の3D対応「AQUOS LV3」を初披露。また、ソニーやパナソニック、ビクターなどが業務向けの3Dソリューションを展開しているほか、多くの3D関連展示が行なわれている。 


■ シャープは3D AQUOS「LC-60LV3」を初披露

3D AQUOS「LC-60LV3」を初披露。プレーヤーにはBD-HDW700を利用する

 シャープは、4原色「Quattron(クアトロン)」パネルを採用した新AQUOSを展示。3D対応の最上位「AQUOS LV3」シリーズの60型「LC-60LV3」を披露している。3D対応AQUOS LV3の展示は今回が初めて。

 ブースでは、UV2A+クアトロンによる“明るさ”やクロストークの少なさを訴求している。ただし、まだメガネも試作機で、7月30日の発売に向けて「まだ改善を続けている段階」とのこと。店頭などで3Dクアトロンを見られるのは7月中旬以降になりそうだ。

 あわせて、クアトロンパネルとエッジライトLEDを組み合わせたLC-40LX3も展示。RGB+Y(黄色)を採用した新パネルの省エネ性能や色再現性の高さをアピールしている。


LC-60LV3デモは試作版のメガネを利用。写真は製品版の「AN-3DG10」4色“クアトロン”パネル採用の「LC-40LX3」(右)と従来モデルの色再現性を比較

 また、視差バリア方式を採用し、裸眼で3D立体視が可能な10.6型、3.8型の3D液晶ディスプレイも展示。いずれも参考展示だが、10.6型は1,280×768ドット、800×480ドットと高い解像度が特徴。タッチパネルにも対応している。

10.6型の視差バリア方式3D液晶ディスプレイポータブル機器向けの3.8型3D液晶ディスプレイ

 


 

■ ソニー、3Dディスプレイやイメージプロセッサをデモ

HDC-P1

 ソニーは、マルチパーパスカメラ「HDC-P1」やマルチイメージプロセッサ「MPE-200」などを利用した3Dソリューションを紹介している。

 「HDC-P1」(304万5,000円)は、220万画素の3CCDカメラで、2台使用することで小型 3Dカメラとして利用できる。

 また、円偏光フィルターを採用した業務用3D液晶ディスプレイとして24型の「LMD-2451TD」、42型の「LMD-4251TD」を紹介している。今秋に発売予定で、いずれも1,920×1,080ドットのフルHD IPSパネルを採用。2D/3Dを切り替えて表示が可能になっている。メガネは偏光タイプ。業務用3Dディスプレイでは、ソニー以外の各社とも偏光タイプが中心となっている。


HDC-P1HDC-P1の3D撮影映像をLMD-4251TDで表示
MPE-200

 「MPE-200」は3D映像の撮影と制作の効率化を図るマルチイメージプロセッサ。2台のカメラで3D撮影した際の視差のずれなどをリアルタイムで検出し、補正できるのが特徴で、カメラの後段に設置し、撮影時のチェックに利用できる。これにより、従来は映像を目視で確認しながら行なっていた2台のカメラ間の調整が容易になるという。

 加えて、ポストプロダクション側に導入した場合でも、編集時などにカメラ間の色味のずれや、光軸、位置、回転方向などのずれを補正できる。既にスカパー!などに導入されており、ワールドカップの中継でも活用されているという。


左右の映像のずれを波形で表示一定以上の視差のずれが生じている箇所を色で表示できるシステム構成例
4K液晶ディスプレイ「SRM-L560」など4Kソリューションも展示

 また、4Kディスプレイの56型/3,840×2,160ドットの4K液晶ディスプレイ「SRM-L560」や、3D上映システム「SRX-T420」なども紹介している。


 


■ SKnetは、1080p 3Dビデオキャプチャカードを展示

2枚のキャプチャカードで1080pを非圧縮キャプチャ

 エスケイネットでは、業界初という1080/60pフルHDのビデオキャプチャカードを2枚使った3D記録のデモを行なっている。コードネームは「Monster XX」で今秋の発売を計画している。

 1080/60pでの非圧縮ビデオキャプチャに対応したHDMIキャプチャカード。同社では1080i対応のHDMIビデオキャプチャカード「Monster X2」を4月に発売しているが、その上位モデルとしての展開を予定している。

 接続はPCI Express x4で、2枚同時の利用が可能。特徴は非圧縮の1080pキャプチャが可能なことで、視差を付けた2台のビデオカメラの映像を同期を取りながら記録できる。そのため、キャプチャしたビデオを活用した3Dソリューションを実現可能となるという。

 また既発売のMonster X2を2枚使った720p記録のステレオアナグリフ(赤青)3Dのデモも実施している。同社では3Dビデオキャプチャ用にSDKを公開し、ステレオアナグリフ用のフィルタを自社で提供する予定。同SDKを利用することで、パートナーメーカーは、偏光メガネを使う方式や、シャッターメガネを使うフレームシーケンシャル方式などに対応した3Dソリューションを展開できるという。

Monster XXのデモ3D対応の概要Monster X2を2枚使った720pステレオアナグリフ3Dデモ

 


■ クリスティ、3板3D DLPプロジェクタを発表

 クリスティ・デジタル・システムズは、3D DLPプロジェクタ「WU7K-M」を発表。6月23日より発売する。価格は660万円。

WU7K-Mゲームなどで3Dデモを実施

 3板式のDLPプロジェクタで、0.96インチのDarkChip3パネルを採用。解像度は1,920×1,200ドットで、フレームシーケンシャル方式の3D表示が可能。3D視聴のためにはアクティブシャッターメガネを利用する。2D表示時の最大コントラスト比は1万:1、輝度は6,300ANSIルーメン。ランプは200Wの高圧水銀ランプ。

 レンズは別売。電源は100V対応で、外形寸法500×561×259mm(幅×奥行き×高さ)と3板DLPプロジェクタでは小型という点を訴求。設計開発やエンターテイメント用途などに展開していくという。

 


■ ニューサイトは裸眼立体ディスプレイをアピール

裸眼3D立体視に対応

 ニューサイト ジャパンは裸眼3D立体視対応のフルHDディスプレイと、3Dディスプレイ用STBを展示。ディスプレイ部は、視差バリア方式を用いており、視差数は8。ディスプレイの解像度は1,920×1,080ドットだが、一画面で8視点を扱うため、解像度は1/8になる。

 通常、多視点を使ったディスプレイにおいては、専用のコンテンツを用意する必要があり、これが普及のハードルとなっている。ニューサイトでは、3D放送などで採用例が多いサイドバイサイドの映像を独自の技術で多視点化する「マジックビュー」を開発し、STBに搭載。このSTBと裸眼立体視ディスプレイ「マルチビュー」を組み合わせることで、メガネ無しの3D立体視ディスプレイでも専用コンテンツを用意せずに、3Dが楽しめるという。今後テレビへの採用に向け、パートナーとなるメーカーを募集していく。


専用STBの「マジックビュー」Wi-Fi搭載の3Dフォトフレーム

 


 

■ 二眼3Dカメラや3D写真プリントシステムも展示

 パナソニックは、8月に発売予定の二眼式3Dカメラ「AG-3DA1(220万5,000円)」のデモを実施。25型の3D液晶ディスプレイ「BT-3DL2550」と組み合わせてデモを行なっている。

AG-3DA125型3D液晶ディスプレイ「BT-3DL2550」

 ビクターは、46型の3Dディスプレイ「GD-463D10」と2D-3Dリアルタイム変換が可能な3Dプロセッサ「IF-2D3D1」を組み合わせたデモを実施。会場風景を2Dで撮影しながら、リアルタイムで自然な3Dに変換できる点や豊富な導入実績をアピールしている。

GD-463D10と3Dプロセッサ「IF-2D3D1」をアピール小型の4Kカメラもアピール。監視カメラへの応用を期待しているという4Kソリューションも紹介

 富士フイルムは、「FinePix REAL 3D W1」などの同社3Dカメラで撮影した3D画像から、撮影した物体の寸法や面積、立体形状などを計測する「FUJIFILM 3D計測システム」を開発した。

 専用ソフトで撮影画像中の2点を指定することで、2点間の距離を計測できるほか、3~5mなど指定した距離範囲内の目標物の3Dデータを取得する機能などを装備。測定精度は、被写体までの距離が2m、寸法1mの被写体において、±5mm(0.5%以内)としている。実用化については今後検討していくとのことだが、建築現場における測量などの用途を想定しているという。

撮影した3D画像から立体形状や寸法を推測して表示するFUJIFILM 3D計測システムの概要
富士フイルムの「3Dプリントシステム」

 また、3Dプリントシステムも開発し、今秋より市場投入する。「FinePix REAL 3D W1」などのカメラで記録したMPO形式(2眼ステレオ画像)に対応。6×9インチ(152×229mm)、5×7インチ(127×178mm)、4×6インチ(102×152mm)、6×4(152~102mm)などの用紙サイズに対応する。

 専用のレンチキュラーシートに3D画像をプリントし、印刷速度は88~162秒。1枚あたりの価格は「店舗が決定するものだが、5×7インチで7~800円程度を想定している」という。


専用のレンチキュラーシートに3D画像をプリント
ZALMANの24型3Dディスプレイ「ZM-M240WGD」

 美貴本のブースでは、Vuzixのヘッドマウンディスプレイを多数展示。さらにZALMANの3D液晶ディスプレイの新製品も出展している。4月に発売した「ZM-M215WGD」に加え、24型の「ZM-M240WGD」を7月に発売する予定という。価格は6万円程度。

 解像度1,920×1,080ドットのTNパネルとXpol偏光フィルタを採用。偏光メガネを使った3D表示に対応する。輝度は300cd/m2、アクティブコントラストは1万:1。応答速度は5ms。さらに、32型の3D対応フルHD液晶ディスプレイ「ZM-M320W-F」も近日の発売を予定しているという。


スペックM-M240WGD

(2010年 6月 23日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]