ヤマハ、iPad/iPhone用の「VOCALOID」を開発

-iPad用はピアノロール式のUI。組み込み用ボードも


 ヤマハは、歌声合成ソフト「VOCALOID(ヴォーカロイド)」の合成エンジンソフトウェアを使用したiPadアプリケーション「iVOCALOID VY1」と、iPhoneアプリケーション「iVOCALOID VY1t」を開発したと発表した。価格や提供方法については未定。

iVOCALOID VY1iVOCALOID VY1t
VOCALOID-board

 また、VOCALOIDと同等な機能を持つハードウェア「VOCALOID-board」も開発。これにより、VOCALOIDの歌声や音声合成機能をさまざまな機器に組み込み可能となる。ヤマハでは介護やエンタテインメントロボット、音響機器などへの組み込みを目指していくという。

 アプリやVOCALOID-boardは、10月14日から17日まで日本科学未来館と東京国際交流館で開催される「DIGITAL CONTENT EXPO 2010」に出展される。


 


■ iVOCALOID VY1/VY1t

 モバイル機器で動作する歌唱合成技術として展開。歌声合成のデータベースには、従来よりも一層クリアな滑舌と、力強く伸びのあるロングトーンが特長というビープラッツ製の「VY1」を採用。日本語の歌詞や音程に対応できるよう、160MBを超える音声データベースも搭載しているという。

 iPad用の「iVOCALOID VY1」は、ピアノロール方式のインターフェイスを採用。ユーザーはひらがなやカタカナで歌詞を入力し、音程やピッチを画面にタッチして指定するだけで、ボーカルパート制作が可能になる。また、従来のVOCALOIDには無かった、伴奏同時再生機能を搭載。合成した音声と伴奏を同時に試聴しながら楽曲制作できる。楽曲をパソコンなどにメールする「メール送信機能」も備えている。

 iPhone用の「iVOCALOID VY1t」は、ピッチカーブ入力方式を採用。iPhoneやiPod touchの画面にタッチして歌詞を入力し、ピッチカーブを描くことで歌唱合成やおしゃべり合成音を楽しめる。


■ VOCALOID-board

VOCALOID-boardの概要図

 従来のVOCALOIDは、パソコン用ソフトとして提供されていたが、同日発表のiPad/iPhoneなどのモバイル端末に加え、機器への組み込みも可能にするため「VOCALOID-board」を開発した。

 従来のVOCALOIDとほぼ同等の機能を持っており、MIDI接続したパソコンやMIDIキーボードなどから送信されるMIDI信号に従って、歌声をリアルタイムに合成/出力できる。歌手データベースはVY1などのVOCALOID2用のものをSDカードで供給する

 PC版のVOCALOID2エディタで作成されたVOCALOID MIDIデータに従い歌声合成を行なう「Playbackモード」を搭載するほか、歌詞データを前もって転送しておき、MIDIキーボードなどのノートメッセージに従い最小限の時間遅れで歌声合成を行なう「Realtimeモード」、VOCALOIDーflexと同等に自由な韻律で歌やしゃべり声を合成する「VoiceSynthモード」の3つを搭載。これらのモードのコントロールが可能なPC用アプリケーションも開発済みという。

 同社では試作ボードの更なる小型化を進めるほか、興味をもつ企業向けの評価利用などのアライアンスプログラムを提供していくととしている。


(2010年 10月 14日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]