【IFA 2011】ソニー、Android搭載「Sony Tablet」を発表

-「Xperia arc S」やAndroidウォークマンも


会見で登壇したハワード・ストリンガーCEO

 「IFA(国際コンシューマエレクトロニクス展) 2011」が9月2日~7日(現地時間)にドイツ・ベルリンにて行なわれる。

 開幕2日前となる8月31日、ソニーが新製品などを紹介するプレスカンファレンスを開催。ソニー会長兼社長 CEOのハワード・ストリンガー氏と、ソニー代表執行役副社長の平井一夫氏、ソニーヨーロッパ・プレジデントの西田不二夫氏が登壇した。


「Sony Tablet」を手にする平井一夫氏西田不二夫氏は新Readerなどを紹介した

 会見では、今秋以降の発売が予告されていたAndroid OS搭載端末の「Sony Tablet」2モデルを、欧州で9月末より順次発売することを明らかにしたほか、Xperia arcをベースにCPUを強化したスマートフォン「Xperia arc S」を披露。さらに、Android搭載のウォークマンについても開発しているとした。

 また、日本でも発表された3D対応の有機ELヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」やミラーレス一眼「NEX-7」、「NEX-5N」、一眼レフ「α77」などの新製品を海外向けにも発表した。

 サービス面でも新戦略を発表。ネットワークサービスのQriocityを再編し、シングルアカウントで様々なサービスにアクセスできる「Sony Entertaiment Network」という名称の新プラットフォームを構築すると表明した。

 開幕前にプレオープンした同社ブースではAndroid OS搭載スマートフォン「LIVE WITH WALKMAN」や、ウォークマンの新「Aシリーズ」、「Sシリーズ」などが展示された。



■ 正式発表された「Sony Tablet」2モデル

 「Sony Tablet」は、9.4型ディスプレイ採用のSシリーズを9月末に、5.5型ディスプレイを2基搭載した折りたたみ型のPシリーズを11月に欧州で発売する。

SシリーズPシリーズ

 Sシリーズは無線LANのみのモデルと、無線LAN + 3Gモデルをラインナップ。無線LANに内蔵メモリ16GBの「SGPT111」と、32GBの「SGPT112」の2モデル。無線LANと3Gモデルは16GBの「SGPT114」のみ。価格は479ユーロからとなる。

 9.4型、解像度1,280×800ドットのIPS液晶を採用。OSは無線LANモデルがAndroid 3.1で、無線LANと3Gにも対応したモデルが3.2となる。CPUはNVIDIAのTegra 2 1GHzを採用する。赤外線通信機能も備え、テレビなどのリモコンとしても利用できる。

 外形寸法は約241.2×174.3×10.1~20.6mm(縦×横×厚さ)。重量は無線LANモデルが約598g、3Gモデルが約625g。

 Pシリーズは無線LAN + 3Gのみで、4GBの内蔵メモリに加え、2GBのmicroSDカードが付属。価格は599ユーロから。5.5型、解像度1,024×480ドットの液晶を上下2枚に搭載し、折りたたみが可能。アプリなどを1つの画面だけに表示する方法のほか、上下合わせて1,024×960ドットの一画面としてフルスクリーン表示することもできる。

 外形寸法は、開いた状態では158×180×14mm(縦×横×厚さ)、閉じた状態は79×180×26mm(同)。重量は約372g。

Sシリーズは、持ちやすさを意識した形状Pシリーズを折り畳んだところ両機種共通の主な特徴

 操作面の特徴として、「Swift & Smooth Experience」と名付けられた機能を搭載。Webブラウジングを快適に行なえる「Quick View」など独自機能を搭載して、タブレットでの快適な操作を追求している。

 DLNAに対応したアプリもプリインストール。このアプリでは「Throw」と呼ばれる機能に対応し、タブレット内のコンテンツをDLNA対応のテレビなどで表示させる場合に、タブレット画面に現れるテレビのアイコンに向けて投げ込むような操作を採用している。

 搭載するカメラや撮影機能についてはS/Pシリーズ共通で、前面が有効30万画素、背面が有効551万画素。無線LANはIEEE 802.11b/g/n対応。Bluetooth 2.1+EDRも搭載する。



■ HMDや新ウォークマンなどを展示

 「Xperia arc S」は、既発売のXperia arcをベースに、CPUを1.4GHzに強化したモデル。パノラマ写真を撮影できるスイングパノラマ機能や、3D静止画撮影が可能な3Dスイングパノラマにも対応したXperia arcの進化モデルと位置付けられている。

 ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」は既報の通り、0.7型「HD有機ELパネル」(1,280×720ドット)を搭載し、高いコントラストや色再現性、高速応答性を活かした映像が楽しめる製品。

 電子書籍端末の無線LAN搭載モデル「Reader Wi-Fi」(PRS-T1)は欧州で10月より発売予定。6型の電子ペーパーディスプレイを搭載した168gの本体に、無線LANを搭載。タッチスクリーンで操作できる。発売に合わせて、オンラインブックストア「Reader Store」を欧州にも展開する。

 なお、展示されていた新製品の詳細については、ブースレポートで紹介する。

Xperia arc SAndroid搭載ウォークマンも開発中HMDの「HMZ-T1」
Androidスマートフォンの「LIVE WITH WALKMAN」。3.2型タッチ液晶やステレオスピーカー、500万画素デジカメを搭載ウォークマンの新Aシリーズ(左)とSシリーズ(右)
Reader Wi-F(PRS-T1)ミラーレス一眼のNEX-7(左)とNEX-5N(右)トランスルーセントミラーテクノロジーを使ったα77も


■ 新たな動画/音楽配信「Sony Entertaiment Network」を展開

Sony TabletでのSony Entertainment Networkログイン画面

 新たに展開する「Sony Entertainment Network」の概要については平井一夫氏が説明。現在、映像/音楽配信を行なっている「Qriocity」のサービスを再編するもので、第1段階として既存の映像配信であるVideo On Demand powered by Qriocityを「Video Unlimited」に、音楽配信のMusic Unlimited powered by Qriocityを「Music Unlimited」に改称。現在9カ国で展開している両サービスの対象地域/機種を拡大していく意向を表明。

 具体的には、現在、1,000万曲以上が楽しめる「Music Unlimited」を、2011年中にはスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、ベルギーでも開始することや、年内にウォークマンの「NWZ-A860/S760/E460シリーズ」がMusic Unlimitedに対応することを明らかにした。

「Video Unlimited」と「Music Unlimited」を展開する

 平井氏は、ネットワークを活用してソニー製品ならではのユーザー体験が得られる「ソニー・エクスペリエンス」として、機器とコンテンツをつなげてシンプルな操作で高品位なコンテンツを楽しめることの重要性を訴え、「Sony Tablet」や「Sony Entertainment Network」でこうしたユーザー体験の実現を目指すことを表明した。

 ハワード・ストリンガー氏はHMDの「Personal 3D Viewer」(HMZ-T1)を「次世代の3D製品」の筆頭として紹介。パーソナルな空間で3Dを楽しめる“COOL DEVICE”とアピールした。

 ストリンガー氏は一連のPSNに対するサイバー攻撃問題についても言及。セキュリティ向上させてサービスを復旧し、さらにコンテンツを拡大して300万以上の新たなユーザーを獲得したことを明らかにした。また、Readerについては、新モデルの購入者に対して、J.K.ローリングの「ハリー・ポッター」の電子書籍版のダウンロード権を提供することも発表した。



(2011年 9月 1日)

[AV Watch編集部 中林暁]