ボーズ、サウンドバータイプのサラウンド2機種

-スピーカー上向き&無線ウーファで自由な設置


「Lifestyle 135」。ラックの上にあるのがサウンドバーとiPodドック、2段目の右にあるのがコンソール、左中央がAcoustimassモジュール。コンソールの下にあるレコーダは付属しない

 ボーズは27日、サウンドバータイプのホームシアターシステム2機種を発表した。発売日は9月30日で、価格はHDMI入力を備えたコンソール付きの「Lifestyle 135 home entertainment system」が299,250円、コンソール無しの「CineMate 1 SR system」が180,600円。

 「Lifestyle 135」は、サウンドバーとサブウーファにあたるAcoustimassモジュール、入力端子を備えたコンソール、iPod用ドックの4つで構成。「CineMate 1 SR」はサウンドバーとAcoustimassモジュールのみ。サウンドバーとAcoustimassモジュールのユニットなどの仕様はほぼ同じで、音質面も同等としている。


Lifestyle 135
home entertainment system
CineMate 1 SR system

「CineMate 1 SR system」のサウンドバーを壁掛けしたところ薄型筐体になっているのが特徴
親開発の小型Acoustimassモジュール

 2機種に共通する特長は、薄型テレビに合わせた薄型の横長サウンドバーと、小型化した新開発のAcoustimassモジュールだけで、広がりのあるサラウンド再生が可能な事。これを実現するために、昨年の11月から発売している、ディスプレイ単体でサラウンド再生が可能な「VideoWave entertainment system」(682,500円)で採用された、「PhaseGuide sound radiator technology」と呼ばれる技術を搭載している。

 「PhaseGuide sound radiator technology」は、ツイータユニットから放出された高域音を長いチューブの中に通し、その先端に設けた細かなメッシュのような穴から放出。この機構と演算処理を組み合わせる事で、小さな孔から指向性の高い音がビームのように放出され、音を壁などに反射させる事で、反射させた所から音が聴こえるようにできるというもの。このユニットを、サウンドバーに2基搭載している。

ディスプレイ単体でサラウンド再生が可能な「VideoWave entertainment system」「PhaseGuide sound radiator technology」を体験するための機械。赤いポインタがついており、ポインタが照射された所から音が聴こえる。音は手元のユニットから放射されているが、ポインタが表示される壁や床などで反射して耳に届くようになっているため「VideoWave entertainment system」の内部。青い矢印(水平のもの)で説明されているのが「PhaseGuide sound radiator technology」を使ったツイータ。ユニットが左側にあり、そこから細長いチューブを通り、右の微細孔から高音が放出される

 サウンドバーにはさらに、ネオジウムマグネットを使ったダイナミック型ユニットを5基内蔵。全部で7基のユニットを内蔵しており、入力された2chや5.1chなど、様々な音声ソースを、独自の「TrueSpaceデジタル・プロセッシング回路」で処理し、7基のユニットとAcoustimassモジュールで広がりのあるサラウンド再生が行なえるという。

 さらに、サウンドバーの設置自由度を向上させるため、壁掛けとテレビの前への設置の両方に対応。だが、テレビの前に設置した場合、サウンドバーでテレビ画面の下側を隠してしまう可能性がある。そこで、サウンドバーを上向きに、高さを抑えた状態で設置する事も可能にした。上向きにするとユニットも上を向いた状態になるが、サウンドバー内部に設置の向き(正面壁掛け or 上向き)を自動判別する機能を備えており、上向き設置時には演算処理により、自然な広がりに感じるよう処理する「FlexMount automatic placement compensation」を、自動的にかけるようになっている。

サウンドバーを、正面に向けて立たせたところ。これでは画面を隠してしまう場合があるサウンドバーを上向きに、低くした状態で設置できる

 配置の自由度やデザイン面の重視などから、Acoustimassモジュールはワイヤレス接続としており、2.4GHz帯を使ったデジタル伝送で接続。伝送時の転送レートや非圧縮伝送か否かなどの詳細は発表されていない。ワイヤレス接続先は、どちらのモデルもサウンドバーとなる。なお、「Lifestyle 135」では、コンソールとサウンドバーは有線接続。また、Acoustimassモジュールはワイヤレスだが、電源の接続は必要となる。

 独自の自動音場補正技術「ADAPTiQ」も両モデルに搭載。設置環境に合わせてサラウンドを最適化し、理想的な音場を創り出せるとしている。



■入力や操作性に違い

 「Lifestyle 135」のコンソールには、独自のナビゲーションシステム「Unify」を搭載。コンソールに接続したBDプレーヤーなど、他のAV機器を、「Lifestyle 135」付属リモコンで一括して操作できる。リモコンコード設定も簡単で、BDプレーヤーに付属する他社のリモコンを、メインコンソールに向けて、指定されたボタンをプッシュすると、どのメーカーの製品なのかを自動判別してくれる。ソース選択時には「BDプレーヤー」、「Xbox」などの機器名が表示され、「入力1」、「入力2」といった数字表示は無く、接続されていない端子は一覧に現れない。

 「135」のコンソールには、入力端子としてHDMI×4、コンポジット×3、コンポーネント×2、アナログ音声×4、光デジタル音声×3、同軸デジタル音声×3を搭載。HDオーディオの入力も可能だが、デコーダが対応しているのはドルビーTrueHDだけで、DTS-HD MasterAudioなどではコアストリーム(DTS)のみのデコードとなる。そのほかに、MPEG-2 AAC/リニアPCM 5.1入力にも対応する。

 コンソールにはFM/AMチューナを搭載。iPod/iPhone対応ドックも付属し、音楽を再生する事もできる。iPod/iPhoneとの接続はアナログ。


「Lifestyle 135」のコンソールコンソール背面の入力端子付属のiPod/iPhone用ドック
「Lifestyle 135」サウンドバーの入力端子部。コンソールと接続するための入力のみ備えている2機種に付属するリモコン。左のリモコンがLifestyle 135のもので、電波式。右がCineMate 1 SRの赤外線リモコンとなるコンソールから出力されるメニュー画面

 「CineMate 1 SR system」の入力はサウンドバーの背面に備えており、光デジタル音声×2、同軸デジタル音声×2、アナログ音声×1を搭載。HDMIは備えていない。そのため、HDオーディオには非対応で、デコーダはドルビーデジタル、DTS、AAC、リニアPCMに対応する。前述のようにサウンドバーとAcoustimassモジュールのスピーカーとしての仕様は「Lifestyle 135」とほぼ同じで、音質も同等だが、ソースの違いによる音質の差はある。

 また、「CineMate 1 SR system」は光と同軸のデジタル入力を2系統備えているが、各1系統がAUX、もう1系統がテレビ接続用と位置付けられており、テレビの音声出力との接続が必須となっている。これは、あくまでテレビの音声をサラウンド再生する事をコンセプトとしているためで、例えばBDプレーヤーとテレビをHDMI接続した状態で、「CineMate 1 SR system」をそのテレビの音声出力に追加接続するという形になる。

 ただし、AUXにBDプレーヤーの光/同軸デジタル出力を直接接続する事も可能。この場合、テレビがBDプレーヤーが接続されている外部入力に切り替わった事を「CineMate 1 SR system」が検知。テレビから送られてくる音声と、AUXに接続されたBDプレーヤーからの音声を比較し、AUXの方が高音質だと判断した場合、自動的にAUXに音声入力が切り替わる。この機能は「SmartSource input selection system」と呼ばれている。しかし、AUXはサブ的な扱いであり、テレビ用入力に何も接続せず、AUX入力のみに接続して利用するといった使い方は想定されていない。

 サウンドバーの外形寸法と重量は、935×124×61mm(幅×奥行き×高さ/上向き設置時)で、3.5kg。Acoustimassモジュールのサイズは193×373×282mm(同)で、6.3g。コンソールは421×237.5×77.5mm(同)で、3.4kg。



■日本の住環境とシアター市場を理解し、開発した製品

ホームエンターテイメント部門バイスプレジデントのPhil Hess氏
シニア・プロダクト・マネージャーで、新製品のプロジェクトリーダーを担当したフランク・クローハン氏
漢字の「一」を用いて、新製品の魅力を訴求

 ボーズのホームエンターテイメント部門バイスプレジデントのPhil Hess氏は、新製品について「本物の音を届けるための新しい技術を開発する事、日本の住環境とホームシアター市場を理解する事の2種類の研究を行なった。日本のお客様のために問題を解決し、市場で人気のラックシアター製品より、遥かに優れた製品を届けたいと考えた」という。

 シニア・プロダクト・マネージャーで、新製品のプロジェクトリーダーを担当したフランク・クローハン氏は「家庭にあるテレビと共に使えて、すっきりとした見栄えになるホームシアターをコンセプトにした。しかし、テレビはどんどん薄型化できるが、スピーカーにはきちんとした音を出すための最低限の空間が必要です。(きちんとした音を維持しながら)システムをできるだけ薄く、小さくするのが第一の課題だった」と説明。製品開発には10万時間を超える工数がかかっているとのことで、中でも重要な技術として、前述の「PhaseGuide sound radiator technology」を紹介した。

 なお、日本の住環境を意識した製品ではあるが、販売はグローバルで行なわれるという。日本ではサウンドバー1つで広がりのある再生が行なえる事から、漢字の「一」を用いて、新製品のシンプルさ、デザイン性の高さ、にもかかわらずサラウンド再生が可能なパフォーマンスなどを訴求する。「一」の文字は、書家・柿沼康二氏によるもので、CMでもメインに使われる。

 また、ボーズでは新製品2モデルの発売を記念し、展示スペース「1.1」を9月29日より期間限定で開催する。新製品が体験できるだけでなく、その世界観を表現したアートワークも特別展示される。

 開催場所は東京・銀座 清月堂ギャラリーで9月29日~10月10日まで、大坂・ボーズプレミアムストア心斎橋で9月29日~10月30日まで、名古屋・名鉄百貨店 メンズ館セブンステージで9月30日~10月2日まで実施する。開催時間や場所などの詳細はボーズのページにて。


(2011年 9月 27日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]