CEATEC会場からUstreamで情報配信するパナソニック

-IFAやCESでも。視聴者の質問に動画で回答


「Panasonic LIVE@CEATEC」中継の模様

 パナソニックは、10月4日から幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2011」において、Ustreamを使った、インターネットライブ中継「Panasonic LIVE@CEATEC」サービスを実施している。同社の専用ページ、もしくはUstreamの配信ページで視聴できる。

 「幕張のCEATEC会場に来られない世界中の人たちに対して、パナソニックの最新技術を見ていただき、考え方や姿勢を理解してもらうための取り組みのひとつに位置づけている。そして、双方向型の利点を生かして、多くの方々とより密接な関係を築きたい」と、パナソニックコーポレートブランドストラテジー本部スペースクリエイツグループ展示博覧会推進室・遠矢良樹主事は語る。

 CEATECの開催初日となる10月4日には、同日午後2時から行なわれた同社・大坪文雄社長の基調講演をライブ中継。日本語と英語でこの内容を配信。映像と同時に表示するパワーポイントの資料も英語版を用意して、海外からも視聴できるようにした。


5日には4つのテーマにあわせてブースの様子がライブ中継されている

 さらに5日には、同社ブースの様子を中継。Twitterで書き込まれた質問にもその場で動画で回答するといったことも行なわれている。このブース紹介は、日本語に限定されたものの、午前11時からの30分間が「ビエラ・コネクト」、午後1時からは「お部屋ジャンプリンク」、午後2時からは「3D」、午後3時からは「環境・エナジーソリューション」をそれぞれテーマとして取り上げるスケジュールで、展示されている最新技術や製品を詳しく説明する。

 各30分間の枠のうち、25分をブースからの説明に費やし、5分間を質問に直接答える形にしており、ライブ配信終了後も、重要な質問に対しては、Twitter上でスタッフが回答するという体制も作られている。




■IFAでは17万7,000人のユニークユーザーが視聴

 パナソニックは、今年9月にドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2011において、独自の動画配信システムを活用し、ブース展示の内容をライブ配信した経緯がある。

専用サイトで配信された「IFA 2011」のブース紹介中継。現在でもライブラリ配信が視聴できる

 この時は、パナソニックブース前で行なわれたプレスカンファレンスの内容を配信するとともに、ブース前にスタンバイした担当者が、Facebookで寄せられた質問に対して、すぐに動画で回答するという対応が行なわれた。

 パナソニック コーポレートコミュニケーションサポートセンターコンテンツ企画センター・工藤里衣主事は、「IFAでの試みが非常に好評だった。結果としては、130カ国から1,400もの質問が寄せられ、そのうち493問に対して、動画で回答した。視聴したユニークユーザー数は17万7,000人に達し、展示会には訪れることができない全世界の人々とコミュニケーションを図ることができた」という。

 これはパナソニックにとっても予想外の成果だったといえる。

 「広告を使った告知は一切行なわず、ソーシャルメディアを通じた告知だけによって実施した。これだけ多くユーザーから反響があるとは思わなかった」というのは、まさに正直な感想だろう。

 欧州や北米のユーザーや関係者が視聴しただけでなく、日本からの視聴者は国別では、3番目のユニークユーザー数となり、さらにソーシャルメディアを利用して積極的な告知活動を行ったブラジルをはじめとする中南米地域からの視聴も多かったという。

 この時の動画配信は、すべて英語での対応となっているが、この動画は現在でも視聴することができる

 その内容は、約45分間で構成された動画が、製品ごとに15セッションに分かれており、合計で11時間にものぼるコンテンツとなっている。まさに、これを見るだけでパナソニックの最新技術の動向や考え方が理解できるといえよう。

 だが、CEATECでは日本語での配信が前提となることから、IFAで利用した動画配信の仕組みがそのまま使いにくいという背景もあり、Ustreamの採用を決定。今回のように企業が情報を配信する際にノウハウを蓄積している外部企業が少なかったことから、社内のスタッフが中心となって、約20人体制で運用することに決めた。

 Ustreamによる動画配信は、昨年10月に東京・有明のパナソニックセンターで開催した「エコアイディアフォーラム2010」のオープニングセッションを配信した実績があったことも下支えとなっている。

 今回のCEATECでの動画配信はこうした国内外での実績をもとに、日本のスタッフだけで展開した取り組みだったというわけだ。

CEATEC会場のパナソニックブースの近くに設置された配信のための作業スペース作業スペース内で配信するスタッフ。全体で約20人が参加しているという10月4日のパナソニック・大坪文雄社長の基調講演をライブ中継するスタッフ
Ustreamのトップページで「Panasonic LIVE@CEATEC」を告知

 CEATECにおける動画配信の告知は、IFAの時と同様に、広告は一切使わず、ソーシャルメディアや同社コーポレートサイトによる予告のほか、Ustreamのトップページを使って配信を告知した。さらにシンガポールや中南米のパナソニック現地法人もFacebookや同社サイトを利用して告知するといったことも行なったという。




■来年1月のCESでもライブ配信を計画

スタッフが着用するPanasonic LIVE@CEATECのロゴが入ったポロシャツを用意した

 パナソニックでは、来年1月に米ラスベガスで開催される「2011 International CES」でも同様の動画配信サービスを実施することを決定しているという。

 「IFA、CEATEC、CESという3つのイベントは、パナソニックがグループの総力をあげて取り組んでいる展示会。その重要なイベントに、地理的な問題や、時間的な問題で来場できない方々にも、来場していただいたのと同じような視点で見ていただくことができる。パナソニックの最新の技術、製品をより多くの方々に見ていただける仕組みとして取り組んでいく」とする。

 主要イベントでのライブ配信は、パナソニックの展示会出展効果を後押しする施策の一つとして、定番化しそうである。



(2011年 10月 5日)

[Reported by 大河原克行]