「GALAPAGOS STORE」が動画/音楽配信サービスと連携

-バンダイら5社と協力。他社製タブレットにも対応


GALAPAGOS STOREの画面

 シャープは9日、電子書籍を配信する「GALAPAGOS STORE」に関する説明会を開催。このなかで、12月9日から新たにバンダイチャンネルや、mora touchなどの5つの動画/音楽配信サービスと連携することを発表した。

 また、GALAPAGOS STOREのサービスを、同社の専用端末以外に富士通の「ARROWS Tab」やソニー「Sony Tablet」など他社のAndroid 3.2搭載のタブレットでも利用可能になることも明らかにした。


9日より、WiMAX対応/Android 3.2搭載の「GALAPAGOS EB-A71GJ-B」が発売された

 「GALAPAGOS STORE」は12月10日でサービス開始1周年となる。また、説明会が行なわれた9日には、WiMAX対応でAndroid 3.2搭載の7型端末「GALAPAGOS EB-A71GJ-B」が発売。これに合わせて、「GALAPAGOSサービス 第2弾」として強化する3つの方針を打ち出した。

 1つ目は「生活サービス情報の提供開始」。9日より連携するサービスは、バンダイチャンネル(アニメ)、mora touch(音楽)、E★エブリスタ(投稿小説・コミック)、アプリプラザ(Androidアプリ)、まぐまぐ(メールマガジン)の5つのサービス。

 具体的には、各サービスの「おすすめ情報」を定期的に配信。アプリのGALAPAGOS Appから各サービスの配信サイトへダイレクトにつながる仕組みを導入した。従来は書籍専門の配信プラットフォームだったが、他社への入り口の開放で「生活サービス情報を書籍と一緒におすすめ配信できる」としている。なお、コンテンツの購入自体は各配信サイトで行なう。

連携する各サービスの概要や、各社からのコメント。バンダイチャンネルは新作や名作のおすすめ情報を隔週で配信レーベルゲートは、mora touchで最新邦楽/洋楽/ビデオのランキング1~100位の情報を提供E★エブリスタは、小説やマンガなど、投稿されている170万作品から厳選して毎週情報を配信
グリーのアプリプラザは、毎週金曜日におすすめアプリの情報を配信まぐまぐは、GALAPAGOS向けの公式メルマガを配信予定

 「GALAPAGOS STORE」内で、これまで電子書籍専用だった「未読・おすすめ」の棚に、上記5つのサービス専用のアイコンを追加し、各社のおすすめコンテンツを掲載。更新頻度は配信サービスにより異なるが、毎週または隔週1回程度になるという。このページはオフライン状態でも閲覧できる。

 このおすすめ情報は、ユーザーの購入履歴などに合わせたものではなく、一律の情報が配信される。なお、おすすめ情報を受け取らないことも可能で、ユーザーが配信サービスごとに受け取る/受け取らないという設定を変えられる。

 そのほか、SNSで発信された最新情報を見られる「コネクトゲート」も用意。画面右上には「ゲート」のボタンを設け、各配信サービスがFacebookやTwitterで発信した直近10個のコメントを表示。前述のおすすめ情報よりも新しい情報が、発信された後すぐに確認できる。


未読・おすすめの棚に、各配信サービスのアイコンが追加された各サイトのおすすめコンテンツ一覧が、オフライン状態でも閲覧できる
おすすめ情報を受け取らないように設定することも可能コネクトゲートの画面コンテンツを選ぶと各配信サービスのサイトに移動し、既存のサービスと同じ手続きで購入できる

 新たな施策の2つ目は「対象端末の拡大」。これまでは同社の専用タブレット端末と、他社製を含むAndroidスマートフォン(Android 2.1/2.2/2.3)のみの対応としていたが、新たに他社のAndroid 3.2タブレットにも対応。動作確認済みの機種はサイト内で案内している

 3つ目は「書籍サービスとしての進化」。SNSサービスとの連携を可能にし、読んだ本の感想をFacebook/Twitter経由で共有できるほか、他人の評価を見て、書籍購入時の判断に利用できるという。この連携機能を使ってユーザーが書籍について発言する際は、各SNSアプリに「書籍タイトル」、「書籍掲載ページのURL」、「ハッシュタグ(♯GALAPAGOS)」などの情報が転送される。

 閲覧時の工夫としては、読み終わった書籍から次巻をすぐに検索/表示できる機能を実装。また、雑誌閲覧時などに、ページを拡大した倍率を保持して次ページに移るように動作を変更。7型以下の端末については、画面を横向きに回転した際、見開きの状態から横画面フィット状態で表示することをデフォルトとし、雑誌やマンガが読みやすくなったという。そのほか、デスク画面から「戻る」ボタンをタップすることでアプリが終了するようになり、消費電力削減に寄与するとしている。

他社のAndroid 3.2端末でも利用可能になったSNSサービスと連携閲覧時の使い勝手も改善されている
GALAPAGOS STORE 1周年でほかにも様々な企画を用意。新コンテンツや、書籍の割引、プレゼント企画などを用意する


■ プラットフォーム開放で、各社の旬な情報をリアルタイムに提供

シャープの大畠昌巳氏

 シャープの執行役員 通信システム事業本部長の大畠昌巳氏は、GALAPAGOS事業について「当初は独自のXMDFフォーマットの書籍を中心に拡充してきたが、.bookなど他のフォーマットも取扱い、コンテンツ総数は44,000以上となった。コミックも1万タイトルを超えた」と現状を説明。

 なお、10月のCEATEC JAPAN 2011では、端末の次期モデルについて片山幹雄社長が「次期GALAPAGOSの液晶パネルには、シャープのIGZO(イグゾー)が搭載されることになるだろう」と述べている

 同事業については、5.5型端末「EB-W51GJ」と10.8型の「EB-WX1GJ」の販売を9月30日で終了したことから、一部で“GALAPAGOS撤退”と報じられたことに対し、大畠氏が改めて否定。今回プラットフォームを他社に開放したことについて「独自の仕組みを強みに、他社と連携して、付加価値の高いサービスを提供したい」と述べた。

 動画/音楽などを自社で販売しないことについては、「中で配るのも、外で配るのも、コンテンツとしては同じ。それならば、各サービスが持つ旬な情報をリアルタイムで提供する方がいいだろうと判断した」(通信システム事業本部 ネットワーク事業推進センター 事業企画室の片山三千太室長)としている。ただし、今後自社で動画などを販売する可能性についても否定はしないという。

 また、JR東日本のモバイル端末案内機器としてもGALAPAGOSの採用が決まったことに触れ「コンシューマ用途だけでなく、業務用への広がりも期待している。今後もコンテンツを拡充し、さらに事業を拡大したい。撤退することなく、タブレット/サービスともに拡大していくのでご期待いただきたい」と強調した。

GALAPAGOS事業の現状ストア/アプリ改善のこれまでの取り組み片山三千太氏


(2011年 12月 9日)

[AV Watch編集部 中林暁]