シャープとNTT西、イオンが共同でAndroidタブレット発売

-FeliCaリーダー搭載/家族向け。GALAPAGOS STOREも


7型(左)と10.1型(右)のタブレットを発売

 NTT西日本とイオン、シャープの3社は、Androidタブレット端末を活用した生活サービス「A touch Ru*Run」(エー タッチ ルルン)を3月12日より開始すると発表した。対応タブレット2機種を3月中旬より順次発売する。

 タブレットはシャープが製造。7型「RW-N107」を3月中旬に、4月から10.1型「RW-N110」の2モデルを用意。価格は、7型が39,800円、10.1型が49,800円で、販売はイオンの対象店舗で行なう。NTT西日本は、家族でのカレンダー共有機能などの独自サービスを提供するほか、オペレータによる遠隔操作や訪問対応などのサポート業務も担う。

 アプリを利用して「イオンネットスーパー」で買い物も可能。タブレットで初というFeliCaリーダーも備え、決済にイオンのプリペイドカード「WAON」も利用可能となる予定(2012年半ば)。このため、タブレットの販売は、東京と広島の「イオンネットスーパー」対応店舗から開始。4月より順次エリアを拡大する。

背面にFeliCaリーダーを備え、WAONの残高照会が可能イオンネットスーパーで買い物ができる。当初はクレジットカードまたは代引決済のみ(代引きでWAONを使用することも可能)だが、今後WAON決済にも対応予定

 端末購入時に、家族で共有できるカレンダーや伝言メモ機能といった「くらしフルサービス」へも同時に加入する。利用料として月額315円または年額3,465円が必要。なお、「くらしフルサービス」を解約してタブレットのみを使い続けることもできる。

 家族全員で使うことを想定し、特にタブレットを使ったことが無い主婦層がターゲット。開発にあたり、既婚女性のマーケティング会社であるハーストーリィプラスが会員からの意見を収集。端末の機能やサービスに反映されている。

 タブレットはいずれもAndroid 2.3を搭載。ディスプレイ解像度は、7型が1,024×600ドット、10.1型が1,280×800ドットで、いずれも静電容量方式のタッチパネル。

7型「RW-N107」10.1型「RW-N110」

 シャープが展開する電子書籍などの配信サービス「GALAPAGOS STORE」にも対応。現在スマートフォンやタブレットに提供している約52,000のコンテンツがスマートフォンなどと同じアカウントで利用できる(1アカウント最大3台)。今回のサービス開始に当たり、女性向けの雑誌コンテンツも強化したという。

 FeliCaリーダー(NFC)は、発売当初は専用アプリを使ったWAONの残高表示のみ可能。2012年半ばにイオンネットスーパーでの決済にも対応予定。なお、「GALAPAGOS STORE」はプリペイドカードに対応していないため、WAONで決済することはできない。

 ホーム画面は4種類用意。「くらしフルサービス」、「イオンネットスーパー」、「GALAPAGOS STORE」と、通常のAndroidホーム画面がホームボタンを押すごとに切り替わる独自仕様となっている。

ホーム画面は4種類。写真はくらしフルサービスのトップイオンネットスーパー
GALAPAGOS STORE通常のAndroid画面

 チップセットはTI OMAP 4430で、CPUは1GHz。動作メモリは10.1型が1GB、7型が512MB。通信は、IEEE 802.11a/b/g/nの無線LANと、Bluetooth 2.1 + EDR。3Gには対応しない。

 記録メディアはいずれも内蔵8GBメモリで、microSDカードスロットも備える。カメラは、前面が200万画素、背面が300万画素。

 マイクロUSB端子や、HDMIマイクロ出力、ステレオミニのイヤフォン/マイク端子と、1.5W×2chのステレオスピーカーも内蔵。GPSや加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー、照度センサーも搭載する。

 バッテリを内蔵し、動画の連続再生時間は10.1型が約9時間、7型が約8時間。外形寸法と重量は、7型が約130×194×11.5mm(縦×横×厚さ)、395g。10.1型が180×260×9.9mm(縦×横×厚さ)、約640g。

10.1型モデル。側面にHDMIマイクロやmicroSDスロット、底面にステレオスピーカー、背面にカメラやFeliCaリーダーを備える


■ 購入者にWAONポイント還元も実施

3社それぞれの役割

 3社は約1年前の2011年2月15日に、「くらしサポートサービス」の展開に向けて協業プロジェクトをスタートすることで合意したと発表している。今回の発表は、このプロジェクトから生まれた最初のサービスとなる。端末の販売台数は2013年度で30万台を目指す。

 新サービス名の「A touch Ru*Run」には、「A」がAndroidやAEON、AQUOSの頭文字をとったもので、このタブレットにタッチするとルンルンした気分になるようにとの思いが込められている。

 これまで、端末やサービスのトライアルモニターを主婦層(30名、平均年齢39歳)に実施。アンケートや座談会などを通じて、機能やUIの向上を図ってきたという。


左から、シャープの中山藤一氏、NTT西日本の小林充佳氏、イオンの縣厚伸氏、ハーストーリィプラスの佐藤緑氏

 女性会員の意見を商品開発に活かすという事業を展開しているハーストーリィプラスがサービス開発に協力。代表取締役の佐藤緑氏は、「女性の多くはタブレットなどが難しくて少ししか使わないが、(今回のタブレットは)子供も一緒になって対話して楽しめる」とした。

 シャープの常務執行役員 ビジネスソリューション事業統轄 兼 ドキュメントソリューション事業本部長の中山藤一氏は「これまで手を伸ばしていなかった(家族の)“絆”、“生活密着型”というテーマで製品を提供できる、胸躍る企画。GALAPAGOS STOREは、雑誌や新聞のコンテンツの構成比が他の配信サービスと違って手厚い。そのなかで、さらに女性向けに力を入れてコンテンツを集めた」としてサービス開始に意欲を見せた。

 イオン 執行役ITグループ責任者の縣厚伸氏は、ネットスーパーの展開について「リアル店舗で支持いただいている方にEコマースでもサービスを提供する」と説明。ネットスーパーのアプリでは、既存のWebサービスと同様の「シンプルお買いもの」と、これまで買ったものと同じものが3~5分で買えるという「リピートお買いもの」、実際に家族で店内を見回るように買い物できる「みんなでお買いもの」、高齢者や、PCに不慣れな人向けの「おたすけお買いもの」の4種類から選べることなどを紹介した。家族で使える絵本紹介アプリ「えほんやさん」も提供するという。

 NTT西日本の小林充佳取締役は、今回の取り組みの背景について「1,700万の光ネットワークの利用者に付加価値のあるサービスを提供することが必要」と説明。同社は家じゅうのデジタル機器をネットワークにつなぐ「家デジ」(=家まるごとデジタル化)という構想を掲げており、これを構成する6つの要素「スマートライフ」、「エンターテインメント」、「アシスト」、「ヘルスケア」、「セキュリティ」、「コミュニケーション」を紹介。今回の「くらしフルサービス」は、これらのうち「コミュニケーション」と「アシスト」に該当するものだという。

 前述した端末価格(7型が39,800円、10.1型が49,800円)は、他のタブレットと比べ安価な設定ではないが、これに対しては、イオンが加入者全員にポイントプレゼントを行なうほか、月々のネットスーパー利用に応じてポイントバックを行なうなどの施策を用意するという。また、前述のモニターでも「(月額の)300円くらいであれば、じゅうぶん使い出があるとの意見をいただいた」(NTT西日本の小林氏)としている。

GALAPAGOS STOREは女性向けコンテンツを強化NTT西日本が掲げる「家デジ」構想機能やアプリの提供企業。radikoやバッファロー、NHKエデュケーショナルなども参加


(2012年 2月 22日)

[AV Watch編集部 中林暁]