ひかりTV、Android採用チューナ投入。音楽/ゲーム配信も

－Twitter連携強化。200万会員突破でAKB48がお祝い

左から、ひかりカエサル、横山由依さん、NTTぷららの坂東社長、峯岸みなみさん、梅田彩佳さん

　NTTぷららとアイキャストが提供する映像配信サービス「ひかりTV」は9日、Android OSを採用した新型チューナの投入や、スマートフォン/タブレットとの連携、音楽配信サービスなど、今後の展開に関する発表会を開催。さらに、3月末で会員数が200万を突破した事も報告し、ひかりTVでコント番組を配信しているAKB48のメンバーもお祝いに駆けつけた。

■Android採用チューナやSNS連携強化

NTTぷららの板東浩二社長

　NTTぷららの板東浩二社長は、2012年の主な取り組みとして「マルチスクリーンサービスの確立」、「操作性・利便性の向上」、「新サービスへの対応等」、「コンテンツの強化」と、4項目を挙げる。

　「マルチスクリーン」の展開では、現在実施しているスマートフォンやタブレット向け配信の機能を強化。第1四半期から、現在提供している見放題サービスだけでなく、スマートフォン/タブレットでもPPVで、作品を個別に購入できるようにするという。

今後のロードマップ

　さらに、第2四半期には「スマートリモコン機能」を追加予定。これはスマートフォン/タブレット向けにアプリとして提供するもので、テレビに接続したひかりTVチューナと連携。見たいコンテンツをスマホ/タブレットで検索し、詳細を確認できると共に、再生ボタンを押せばテレビで再生が開始。タブレットをリモコンのように使う事ができる。

　同時に、スマホ/タブレット側でコンテンツを再生する事も可能。DLNAを使ったBDレコーダとタブレット連携に似た機能だが、DLNAは使っておらず、ひかりTVチューナからタブレットに映像が配信されているわけではない。スマホ/タブレットで再生する際は、端末自身がひかりTVの映像配信サーバーにアクセスして再生を行ない、テレビで再生する場合はひかりTVチューナがサーバーにアクセスして再生している。個別の機能をうまく連携させる事で、DLNA機器のような便利さ・操作性を実現するという。


スマートリモコンやPPV対応などの概要	スマートリモコンの試作アプリデモ。VODコンテンツの検索などが可能で、検索したコンテンツはテレビでも、タブレット自体ででも再生可能	タブレットをひかりTV対応チューナのリモコンのように使う事ができる

　スマートリモコンアプリには、ユーザーの趣向に合わせたコンテンツをサービス側が提案してくれるレコメンド機能や、Twitter連携機能も搭載。例えば、ひかりTVチューナ+TVで「宇宙戦艦ヤマト」のアニメを再生し、手元のタブレットで「ヤマト」に関するTwitter上のつぶやきを表示する事も可能。音声認識機能も用意し、音声でコンテンツの検索や選択も可能にするという。「初期段階ではいくつかのアプリを連携して実現する形になるかもしれないが、将来的にはスマートリモコンアプリ1つで様々な事ができるようにしていきたい」という。

　なお、「スマートリモコン」の提供に先駆けて、コンテンツのレコメンド、レビュー、レーティング機能は4月11日から提供される。VODのコンテンツ選択画面で、ユーザーのコメントや評価、レーティングが確認できるようになるほか、入力したコメントをTwitterやFacebookと連動させ、友人同士でコメントや評価を共有する事も可能。検索したコンテンツに関連する作品を、サービス側が提案する機能も利用できる。


スマートリモコンには特徴的なUIも採用。機能やコンテンツのアイコンを好きな場所に配置でき、コンテンツに関連する情報を検索するといった操作が、直感的に行なえるという	音声でコンテンツを検索したり、検索結果から選択するといった操作もできるようにしていくという	4月11日から提供されるレコメンド、レビュー、レーティング機能の画面

　また、昨年8月に試験的に実施したTwitterとの連動機能を本格的に開始。ひかりＴＶで放送するパ・リーグ4球団（埼玉西武ライオンズ、オリックス・バファローズ、東北楽天イーグルス、千葉ロッテマリーンズ）主催の交流戦以降の全試合で、Twitter連動機能を提供。試合の映像と共に、両チームを応援するツイートを画面上に表示でき、応援ツイートの数も比較できるようになっている。


Twitter連動機能のイメージ図。左右に応援しているチームに関するツイートが表示される	会場でTwitter連動のデモも行なわれた

　'12年下期にはPC向けの映像配信もスタート予定。また、テレビ向けの対応チューナとして、Android OSを搭載し、従来の約10倍の性能を持つという多機能チューナを投入予定。番組表やビデオの一覧表示などが高速に行なえ、RF(無線方式)を使った高速レスポンスのリモコンも採用。8GBのストレージも内蔵するという。

　HDDなどを接続し、録画も可能になる予定で、1チャンネルの視聴と2番組の同時録画が可能。録画した番組は、市販のBDレコーダにダビングし、BDレコーダからメディアに書き出す事も可能。スマートフォンの連携機能(録画番組の屋内外視聴など)も用意される。SDカードへ書き出す番組持ち出し機能も可能で、スマホと紐付けるためのRFIDタグも搭載予定。


Android OSを採用した対応チューナも開発中	現在BMLで提供しているショッピングサービス「ひかりTVショッピング」もリニューアル。HTMLに変更する事で、画面の切り替わりのレスポンスを向上するなど、使い勝手を改良したという。200万会員突破を記念し、記念セールやポイント還元なども行なわれる

　第4四半期には、ダウンロードレンタルサービスも開始。「タブレットなどにコンテンツをダウンロードでき、3日間、4日間など、視聴期間に合わせて支払を行なうイメージ」(板東社長)だという。

　Android採用チューナ向けに提供する新サービスとして、映像以外の配信サービスも検討。第三四半期頃から、電子書籍や音楽、ゲームの配信も予定されている。詳細は未定だが、「例えば、ゲームや音楽の配信は月額固定料金で遊び放題、聴き放題のサービスを考えている。電子書籍も、テレビに表示できる強みを活かし、“絵”を活かしたものなど、新しいものを出していければと考えている」(板東社長)とのこと。


会場には将来的な技術として、NTTサイバースペース研究所が開発している「インタラクティブ映像視聴」も展示。4,700×1,036ドットの高解像度映像を配信し、タブレットで見たい部分を選択すると、テレビにその部分を表示できるのが特徴。アイドルイベントのステージなど、横長のコンテンツ視聴で、好きなメンバーだけを大きく見るといった事が可能になるという。なお、常時フル解像度で映像配信をしているわけではなく、タブレットで選択された部分のみ高解像度で送信する事で、常に一定の帯域に抑えた配信が可能。表示部分はピンチイン/アウトで自由に変更できるが、映像全体を表示すると、解像度がアップ時よりも低くなる		セイコーエプソンのシースルーモバイルビューワ「MOVERIO」も展示。MOVERIOは、映像を送り出すデバイスとしてAndroid端末を使っているため、現在のところ具体的な予定は無いが、ひかりTVのAndroid向け配信にも対応できる事がアピールされていた

■コンテンツも強化

「シークレット・チルドレン」の中島央監督も登場した

　配信コンテンツも強化され、4月10日から基本放送チャンネルに「Dlife HD」、「FOX bs238」が追加される。これに、4月1日から提供を開始している「ゴルフネットワークHD」も含めると、全96チャンネルで、その内73チャンネルがHD配信となる。

　「Dlife HD」では、4月下旬からディズニー・チャンネル・オン・デマンドの提供を開始する他、ディズニー・チャンネルで放送する人気タイトル80作品以上をVODで提供予定。さらに、ひかりTVと協力したコンテンツとして、毎週水曜日夜9時55分から、ひかりTVのマスコットキャラクター・ひかりカエサルが活躍する、シュールなアニメも放送。ひかりTVが主催、ディズニー・チャンネルが協力するディズニーの音楽イベント「ディズニークラシックライブ(仮)」も今夏に開催予定で、イベントの模様は後日ひかりTVで配信予定。

　「FOX bs238」でも、ひかりTVとFOXインターナショナル・チャンネルズが共同でコンテンツを制作。「シークレット・チルドレン」という映画で、「Lily」などで知られる中島央監督の新作。9月に米国でクランクイン予定で、公開は2013年。カンヌ映画祭などへの出品を検討しており、劇場公開だけでなく、FOXグループが連携しながらDVD化やFIC WorldWideでのテレビ放送、デジタル配信も行なわれるという。

　4月1日から提供されている「ゴルフネットワークHD」は、これまで存在していた「ゴルフネットワーク」と「ゴルフチャンネル」が一体化したもので、PGAツアーや海外メジャー、LPGAツアーなどの模様を提供するほか、宮里美香プロが出演するゴルフレッスン番組なども放送する。

■200万会員突破をAKBがお祝い。12年度末目標は255万会員

AKB48のメンバーも登場。左から横山由依さん、峯岸みなみさん、梅田彩佳さん

　板東社長はサービスの実績について、3月末で200万会員を達成。2011年度の純増数はプラス約60万会員と、過去最高の伸びになった事を報告。「震災の影響で伸び悩んだが、下期にAKBのコント番組などを提供しだした頃から急激にユーザー数が伸びた。フレッツ光・東西のユーザー数は合計1,700万なので、約12%の方に使っていただいている事になる。将来的には20%まで上げていきたい」と語り、2012年度末の目標数は255万会員とした。

　今後の展開については、「(競合サービスに対する優位性として)サービスの中身、リモコンなどの使い勝手・操作性、料金という、3つのバランスにより、競争力を出せるようにしていきたい」と語り、スマホ/タブレット、Androidチューナなどのマルチスクリーン、マルチデバイス戦略を説明。「色々なサービスやアプリを、シームレスに使える形にしていきたい」とした。

　発表会には、ひかりTVで配信されているコント番組「びみょ～」に出演している、AKBのメンバーから、峯岸みなみさん、横山由依さん、梅田彩佳さんの3人も登壇。アイドルながら、コント番組に挑戦した苦労話などを披露したほか、第2弾の番組も予定されている事が明らかになった。


初チャレンジとなったコント番組「びみょ～」での苦労話を披露。メンバー同士で「どうやったら、より面白くなるのか?」を話し合いながら番組を作っていったという。また、200万会員を記念したケーキも用意され、3人がローソクを吹き消した

（2012年 4月 9日）

[AV Watch編集部山崎健太郎]