ヤマハ、「RX-A3020」などAVアンプ・AVENTAGE 3種
-FLAC/PCMを高音質再生。環境測定マイクも改良
9.2chアンプで11.2chまで拡張できる「RX-A3020」 |
ヤマハは、ハイクラスAVアンプ「AVENTAGE」(アベンタージュ)の新モデル3機種を、9月上旬以降順次発売する。各モデルの価格と発売時期は、7.1chタイプの「RX-A1020」が9月上旬で126,000円、9.2chの「RX-A2020」が9月中旬発売で199,500円、9.2chアンプで11.2chまで拡張できる「RX-A3020」が10月上旬で283,500円。
カラーは「RX-A3020」のみブラック(B)とゴールド(N)の2色を用意。その他のモデルはブラックのみとなる。
AVアンプとしての基本性能は従来モデルを踏襲しながら、アンプとしての音質の底上げを図ったという。例えば「A3020」では、基幹部品は変わっていないが、チューニングパーツを変更。内部配線と部品の見直しを行ない、ビデオボードのパターン引き直しもしている。また、音に大きく影響するアースポイントの部品も見直し。SN比の向上などを実現しているという。
9.2chの「RX-A2020」 | 7.1chタイプの「RX-A1020」 | 左が「RX-A2020」、右が「RX-A3020」 |
特性を改良した新しいマイクが付属する |
新機能として、視聴環境最適化システムの「YPAO-R.S.C.」(Reflected Sound Control)の精度をさらに向上。「YPAO-R.S.C.」は、部屋の壁や床から発生する不規則な初期反射音を、デジタル音場処理技術で補正するもの。上位モデルの「RX-A3020/A2020」では、この機能で使用する付属マイクを改良。高域の特性などを改善し、「マイクの癖に左右されず、部屋の特性をさらに高精度に測定してキャンセルできる」(ヤマハ)という。また、机などのボードの上にマイクを設置した時の特性も良くなっているとのこと。
RX-A3020/A2020にはさらに、「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」機能を追加。従来モデルから、MP3などの圧縮音楽ファイル再生時に、失われた高域の情報などを補って再生する「ミュージックエンハンサー」を搭載しているが、「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」は、ロスレスの音源も高音質で再生する機能。
例えば16bit、44.1/48kHzのPCM(WAV)/FLAC音声を再生する場合、「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」で、2倍にアップサンプリングすると共に、量子化ビット数を24bit化。24bit、88.2/96lHzの音楽データとして再生する。これにより、より繊細な表現ができるようになる。
さらに、従来からの「ミュージックエンハンサー」機能も強化。これまではMP3/AACなどの音楽ファイル、ラジオチューナの音声、ドルビーデジタルやDTSなどの圧縮サラウンド音声に適用できたが、その範囲が、ドルビーTrueHD、DTS-HD、ドルビーデジタルプラスにまで拡大される。これもRX-A3020/A2020だけの機能となる。
「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」を使うと、44.1/48kHzを2倍にアップサンプリングし、24bit化してから処理を行なう | 「ミュージックエンハンサー」を適用できるソースが拡大した | ミュージックエンハンサーとハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー機能をON/OFFしているところ |
3機種とも、VPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)機能を装備。前方上方に設置するプレゼンス・スピーカー(フロントハイ)を仮想的に創成するもので、フロント・プレゼンス・スピーカーの設置が必須だったシネマDSP <3Dモード>を、7.1chや5.1ch構成のシステムでも手軽に利用できる。
ダイアログリフト機能のイメージ。エンハンス機能も利用できる |
さらに、VPSと「ダイアログリフト」という機能を組み合わせて利用可能。セリフなど、センターの音像を持ち上げられるもの。例えばスクリーンの下にセンタースピーカーを設置していても、スクリーンの中央まで引き上げ、画面から声が出ているようなサラウンドが楽しめる。高さは5段階で調整でき、新モデルでは1~5段階が均等な間隔で上昇・下降するようになっており、より理想的なポイントに調整できるという。
また、位置だけでなく、セリフを強調するダイアログレベル(エンハンス)も設定できるようになっている。
A3020は、ZONE2対応のHDMI出力も装備。メインのゾーンとは異なる部屋などに向け、メインゾーンと違う、もしくは同じ映像を2ch/マルチチャンネルの音声と共に出力できる。メインゾーンでシアターサラウンドを楽しみ、同時にZONE2のHDMI出力から映像とダウンミックスされた2ch音声を隣の部屋のテレビに表示する事も可能。
A3020/2020には、映像処理回路としてHQV「VHD1900」を採用。これにより、4K映像のスルー出力が可能。フルHDやSD解像度の映像を4Kにアップスケーリングして出力する事もできる。
■ネットワーク再生やスマホ/タブレット連携も
A3020付属のリモコン。液晶とキー照光機能やプリセット機能、学習機能などを備えている。 |
実用最大出力は、A3020が230W(6Ω)、A2020が220W(6Ω)、A1020が170W(6Ω)。ドルビーTrueHDやDTS-HD Master AudioなどのHDオーディオのデコードが可能。同社AVアンプの特徴である「シネマDSP」もHDオーディオに対応。マルチチャンネルリニアPCMだけでなく、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioなどの音声フォーマットに対し、シネマDSPをかけて再生できる。また、シネマDSPは、従来の「シネマDSP-plus」に、“高さ”方向の音場データを加え、立体的なサラウンド空間を実現する「シネマDSP <3Dモード>」に対応。A3020は、同社DSPの最高峰である「シネマDSP HD3」(HDキュービック)に対応する。シネマDSPプログラム数はA3020が23、A2020が23、A1020が17。
DLNA 1.5に準拠したネットワークプレーヤー機能を内蔵しており、PCやネットワークHDDなどに保存した音楽ファイルが再生可能。MP3/WAV/FLAC/WMA/AAC(MPEG-4)をサポート。FLACは24bit/96kHzまで対応する。USB端子も備え、USBメモリ内の楽曲再生も可能。インターネットラジオも聴取できる。
また、AirPlayにも対応。iPhoneやiPadなどのiOSデバイスや、PCのiTunesから、ワイヤレスで音楽再生ができる。
前面USB端子に接続したiPhone/iPod/iPadから、デジタルで音声を伝送し、高音質再生する事も可能。接続したiPhone/iPod/iPadの充電も行なえる。対応機種はiPod、nano(第2~6世代)、touch、iPhone 3G/3GS/4/4S、iPad。
スマートフォンやタブレット向けのコントロールアプリ「AV CONTROLLER」 |
スマートフォンやタブレット向けのコントロールアプリ「AV CONTROLLER」も無償で提供。同じLAN内にあるAVアンプをコントロールするもので、電源ON/OFF、ボリューム調整、ミュートなどの基本操作に加え、ネットラジオの選局やPC内のファイル再生、入力ソース切り換え、再生中の曲のタイトル名/アルバム名/アーティスト名表示なども可能。DSPモードの切り換え、SCENEモードの切り換えもでき、スマートフォンやタブレットをアンプのリモコンのように使える。
既報の通り、iOS版、Android版が用意され、バージョン3.20のiOS版では、第3世代iPadのRetinaディスプレイに表示を最適化。Android版はハードウェアアクセラレーションに対応し、アニメーションやスクロール動作の高速化が行なわれている。
また、「AV CONTROLLER」内のプレーヤー機能を使えば、Androidスマートフォン/タブレット内の音楽ファイルをワイヤレス再生する事もできる。Windows 7にも準拠している。
RX-A3020の背面 | RX-A2020の背面 | RX-A1020の背面 |
型番 | RX-A3020 | RX-A2020 | RX-A1020 |
定格出力 | 200W | 190W | 140W |
最大出力 | 230W | 220W | 170W |
HDMI入出力 | 8入力2出力 (同時/ZONE出力可) | 8入力2出力 (同時出力可) | |
その他の入力 | D4×1、コンポーネント×4 S映像×4、コンポジット×5 アナログ音声×10(Phono入力×1) 7.1chアナログ入力×1 光デジタル入力×4 同軸デジタル入力×3 | ||
その他の出力 | コンポーネント×1、コンポジット×2 S映像×2、アナログ音声×1 光デジタル音声×1 11.2chプリアウト×1 RS-232C、IR端子、トリガー出力 | コンポーネント×1、コンポジット×2 S映像×2、アナログ音声×1 光デジタル音声×1、7.2chプリアウト×1 RS-232C、IR端子、トリガー出力 | |
シネマDSPモード | HD3 | 3D | 3D |
プログラム数 | 23 | 23 | 17 |
最大拡張チャンネル数 | 11ch | 9ch | 7ch |
スピーカー角度補正 | ○ | - | - |
ハイレゾリューション ミュージックエンハンサー | ○ | ○ | - |
消費電力 (待機時 HDMIコントロールOFF スタンバイスルーOFF時) | 280W (0.3W以下) | 280W (0.3W以下) | 275W (0.3W以下) |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×467×192mm | 435×467×192mm | 435×432×182mm |
重量 | 19.9kg | 17.1kg | 15.1kg |
(2012年 7月 12日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]