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ヤマハ、Dolby Atmos/YPAO 3D対応AVアンプ「RX-A3040」
11.1ch拡張可能「AVENTAGE」上位2機
(2014/8/20 13:00)
ヤマハは、ハイクラスAVアンプ「AVENTAGE」(アベンタージュ)の新モデルとして、今後公開予定のファームウェアでDolby Atmosに対応する2機種を発売する。価格と発売時期は、「RX-A2040」が180,000円で9月中旬、「RX-A3040」が250,000円で9月下旬。
「RX-A2040」は最大出力220W×9ch(6Ω)、「RX-A3040」は230W×9ch(6Ω)の、どちらも9.2chアンプ。秋に公開するファームウェアでDolby Atmosに対応予定。Dolby Atmosは、オーディオ信号にハイト(高さ)成分とメタデータ(位置・時間情報)を付加することで、リアルな音の移動を再現し、臨場感のある豊かなサラウンド空間を実現する最新の多次元サラウンドフォーマット。制作者が自在に配置し、縦横無尽に動かせる独立した音響要素「オブジェクト」を重ね合わせることで、リアルな音響体験を実現する。
さらに、サラウンドスピーカーに加えてオーバーヘッドスピーカーを使うことで、頭上からの音も再現できる。RX-A2040/A3040の場合、9.1ch環境では7.1chのシステムに、オーバーヘッドスピーカー×2chを加えた形。11.1chシステムでは、7.1chにオーバーヘッド×4ch、もしくはドルビーイネーブルドスピーカー×4chという環境を構築できる。11.1chシステムの場合は、パワーアンプの追加が必要。
なお、Dolby Atmos利用時は、音声はストレートにデコードするのみ。ヤマハ独自のシネマDSPなどの効果を重ねる事はできない。
2013年モデルのRX-A2030/A3030からの進化点として、Dolby Atmos対応のほか、無線LAN機能を内蔵し、ルータを使わずに機器と直接ワイヤレス接続する「Wireless Direct」機能を搭載。ネットワーク再生機能において、192kHz/24bitまでのWAV/FLAC再生に加え、新たに96kHz/24bitまでのApple Lossless再生もサポート。
リアスピーカーを設置できない環境向けに、フロントに並べたスピーカーだけでサラウンド再生を可能にする「Virtual CINEMA FRONT」も搭載。付属マイクを使った設置環境の初期反射音の計測結果に基づき、高音と低音のバランスを音量に応じてコントロールする「YPAO Volume」機能も利用できる。
YPAO 3Dに対応したA3040
A3040のみの特徴として、YPAO 3Dに対応。視聴位置から見たフロント、サラウンド、プレゼンススピーカーの方向・角度、プレゼンススピーカーの高さを測定し、より効果的なシネマDSPの3D音場が得られるという。測定には付属のマイクを利用。マイクを設置するベースポールも同梱する。
A3040は、通常のシネマDSPを上回る情報量を実現した「シネマDSP HD3」も搭載。最大11.2chまでのシステムに対応するもので、フロントプレゼンススピーカーを使った7.1ch再生や、リアプレゼンススピーカーを生成するVRPS(バーチャルリアプレゼンススピーカー)機能も備えている。
2機種共通の特徴
「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」を用意。MP3などの圧縮音楽ファイル再生時に、失われた高域の情報などを補って再生する「ミュージックエンハンサー」を強化したもので、ロスレスの音源も高音質で再生する。16bit、44.1/48kHzのPCM(WAV)/FLAC音声を再生する場合、「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」で、2倍にアップサンプリングすると共に、量子化ビット数を24bit化。24bit、88.2/96kHzの音楽データとして再生する。これにより、より繊細な表現ができるようになる。
視聴環境最適化システムの「YPAO-R.S.C.」(Reflected Sound Control)も利用可能。部屋の壁や床から発生する不規則な初期反射音を、デジタル音場処理技術で補正する。さらに、計測結果に基づき高音と低音のバランスを音量に応じてコントロールする新機能「YPAO Volume」も装備する。
無線LAN機能も内蔵。Ethernetも備えているが、LANもケーブルを使わずにネットワークオーディオ機能や、スマートフォン/タブレットからの操作が可能。ルータに接続し、LAN内のNAS(ネットワークHDD)などに保存した音楽ファイルも再生できる。ルータを使わずに機器と直接ワイヤレス接続する「Wireless Direct」機能も用意。AirPlay、HTC connectにも対応し、AVアンプ制御用アプリの「AV CONTROLLER」によるワイヤレス再生もサポートする。
ネットワークオーディオプレーヤー機能では、192kHz/24bitまでのWAV/FLAC再生に加え、96kHz/24bitまでのApple Lossless再生にも対応。ギャップレス再生もサポートしている。
フロントにコンパクトスピーカーを使う場合は、サブウーファが無いシアターシステムで活用できる「新Extra Bass」機能を用意。リアスピーカーを設置できない環境向けには、フロントスピーカー2台で7.1chサラウンド再生を可能にする「Virtual CINEMA DSP」が利用可能、。さらに、リアスピーカーをフロント側に設置し、バーチャル再生の臨場感をさらに高める「Virtual CINEMA FRONT」も利用できる。
内蔵デコーダはHDオーディオをサポートし、ドルビーTrueHDや、DTS-HD MasterAudioなどのデコードが可能。シネマDSP<3Dモード>は、音場に“高さ”方向のデータを加え、左右メインスピーカーの上部に設置したプレゼンススピーカーを用いて立体的なサラウンド空間を再現するというシネマVPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)にも対応。VPSを活かしたダイアログリフト機能、サラウンドバックとプレゼンススピーカーを自動的に切り替える機能なども備えている。
筐体には、理想的な強度と重量バランス実現できるという左右対称コンストラクションを採用。相互干渉を防ぐために、従来は3回路分離型だったパワーサプライを、オーディオ、映像、デジタル、FL表示の4回路に電源供給を分離する構造に変更。内部にシールドプレートも挿入する事で、S/Nの向上や、音の瞬発力のアップなどを実現したという。
剛性を高めるHD型クロスフレーム構造も採用。筐体の底面には、電源トランスの微細な振動も抑制するというアンチレゾナンステクノロジーを応用したインシュレータ「5番目の脚」を装備する。A3040のみ、底面に肉厚の制振プレートを加えたダブルボトムコンストラクションを採用する。
質感や温かみを重視したA2040、スケール感を重視したA3040
DACは、A2040はESS製の「ES9006」を2基、A3040はES9016とES9006を各1基採用している。
左右対称設計のフルディスクリートアンプ構成を採用。原音に忠実で聴き疲れしない自然な音をベースにしながらも、チューニングの方向性として、A2040は「楽器が作る音像の質感や温かみを重視」、A3040は「高解像度と高域レンジで音にスケール感を出す事」を目指したという。
どちらのモデルもHDMI端子は入力を8系統、出力を2系統装備。前面1系統はMHLにも対応。2機種とも、HDMI端子は4K/60p(YCbCr 4:2:0)映像のパススルー出力に対応するほか、入力映像を4Kへアップスケーリング出力も可能。3D映像の伝送もサポートする。なお、今後のファームウェアアップデートにより、4K/60p(YCbCr 4:4:4/4:2:2)にも対応予定。HDCP 2.2には非対応。
HDMI CECに対応しており、主要メーカー製のテレビ/レコーダと連携動作が可能。HDMI以外の端子に入力されたコンテンツをHDMI出力を使い、サブルームに伝送するHDMIゾーンスイッチング機能も用意。オーディオリターンチャンネルも利用できる。
アナログ音声入力は10系統(Phono入力含む)、8ch入力も1系統装備。出力はアナログ音声×1系統、光/同軸デジタル音声入力は3系統。映像入力はコンポーネント×3、コンポジット×5。ZONE OUTやヘッドフォン出力も備える。A3040は11.2chのプリアウト、A2040は7.2chプリアウトを各1系統装備。その他にもUSBとEthernetも備える。
アプリ「AV CONTROLLER」も利用可能。シネマDSPの音場効果をピンチ&スワイプ操作で直感的にカスタマイズできる「DSP調整」や、操作感・視認性にこだわったというロータリー型音量調整、音楽ファイルへのアクセス改善、フラットデザインの採用などが特徴となる。
消費電力はどちらも490W(待機時最小0.1W)。外形寸法(Wi-Fiアンテナ装着時)は435×474×252mm(幅×奥行き×高さ)で共通。重量はA2040が17kg、A3040が19.6kg。