【IFA 2012】東芝、84型4Kテレビを2013年度上期に投入
-4K対応CEVO開発。4K出力対応やシネスコ液晶のPCも
東芝が披露した84型4Kテレビ |
東芝は、ドイツ・ベルリンで31日に開幕する「IFA 2012」において、4Kテレビの84型モデルを初公開。2013年度上期より、グローバル市場で順次発売予定としている。価格は未定。
開幕前に行なわれたプレス向け説明会で明らかにしたもので、新たに開発した独自の高画質処理エンジン「レグザエンジンCEVO 4K」(仮称)を搭載。Blu-rayなどのフルHDや2K映像を、4Kの高精細映像にアップコンバートして、映画などを高画質で楽しめる。
同社のフルHD液晶テレビREGZAに採用しているレグザエンジンCEVOをベースに、新たに4K高画質化処理のためのSoC(System On a Chip)を開発。このチップには高画質化処理のためのクアッドコアCPUとリアルタイム映像処理用デュアルコアCPUを搭載。これには、入力映像に4Kの精細感をよみがえらせるという「4K微細テクスチャー復元」と、“輝き感”を持たせるという「4K輝き復元」と呼ぶ機能を搭載。そのほか、4K超解像処理として3次元フレーム超解像/再構成型超解像/自己合同性型超解像/色超解像/カラーテクスチャー復元超解像を搭載している。
4K高画質化処理のためのSoCを開発 | 4K微細テクスチャー復元 | 4K輝き復元 |
今回のIFAでは、ソニーやシャープ、LGなども4Kテレビの商品化を発表/展示しているが、2011年より既に4Kテレビを市場投入している東芝は、“4Kテレビの登場”から一歩進んで「4Kをどのように活用するか」までを提案する展示になっている。
例えば、既に4K解像度を超えるコンテンツとして浸透しているデジタルカメラの写真を表示/レタッチするディスプレイとして訴求するため、ニコンの協力を得てデジタル一眼レフカメラ「D800」と組み合わせて展示。写真業界からも4Kディスプレイとして高い評価を得ているという。また、スクウェア・エニックスが制作した4Kネイティブ映像や、「バトルフィールド3」の映像を上映するなど、高解像度のゲームの登場を見越した提案もなされている。
フルHD映像(左)と、レグザエンジンCEVO 4Kでアップコンバートした4K映像(右)の比較デモ | スクウェア・エニックスが制作した4K映像 | バトルフィールド3の映像も4K表示により臨場感が高まっている |
加えて、東芝はノートPCのdynabookにも4K出力対応モデルを2013年度に製品化予定。4Kの写真編集や、一部のWebサイトで公開されている4K高精細コンテンツのブラウジングなどでの利用を想定。これらの多面的な取り組みによって「4K時代の新たな感動を追求する」としている。
デジタル一眼レフカメラ「D800」で撮影した静止画を4Kテレビで表示 | 4K出力対応のdynabookで、高解像度な地図サイトの映像を4Kテレビに表示 | 4K出力対応dynabookは2013年度に発売予定 |
そのほか、CEVO ENGINE 4Kの処理能力を活かして、16視差の裸眼3Dに対応した試作機をディーラーなどに向けて披露。日本でも発売されている裸眼3D対応のREGZA「55X3」はレンチキュラーシートを使った9視差の3Dだが、この試作機では偏光せずにCEVO ENGINE 4Kの処理で16視差を実現。解像度はフルHDに満たない960×540ドットだが、3D視聴に適した位置からズレた時の違和感が起きにくい、安定した3D表現を可能にしている。このままで製品化する予定はないが、CEVO ENGINE 4Kの処理能力を使えば、9視差も16視差も動的に切り替えて出せるということから、同エンジンの能力の高さがうかがえた。
■ 録画予約まで可能な番組表アプリを展開
Toshiba MediaGuideのアプリ画面 |
タブレット/スマートフォン関連では、Android用の番組表アプリ「Toshiba MediaGuide」を北米に続き欧州でも2012年第4四半期に公開予定。なお、日本への導入予定は現時点では無い。
テレビの豊富なチャンネルをタブレットの大画面で楽しめるほか、番組タイトルから関連するVOD作品を、サービス横断で検索/表示することが可能なことが特徴。番組表のデータベースはRoviが提供している。
欧州のREGZAにも採用されたUSB録画機能と連携して、番組表から録画予約を行なうことも可能。そのほか、選択した番組をFacebook/Twitterに投稿することもできる。
パソコンでは、Ultrabookの市場拡大に伴い、バリエーションを拡充。エンタメモデルとして、世界初21:9のシネスコサイズを採用したWindows 8搭載機「Satellite U840W」や、キーボード収納式でタブレットとしても使える12.5型「U920t」などを欧州で発売することを発表している。
番組表から、観たい番組を選んでツイートしているところ | Ultrabookのラインナップも拡大。アスペクト比21:9のU840W(左)などを欧州で発売する | スライド収納式キーボードを備え、タブレットのような使い方もできるWindows 8搭載PC「Satellite U920t」 |
(2012年 8月 31日)
[AV Watch編集部 中林暁]