【IFA 2012】ソニー、4K利用シーンやXperia連携を訴求

-9ch AVアンプやNFC対応スピーカーなど新製品多数


ソニーブース

 ドイツ・ベルリンで8月31日~5日(現地時間)に開催中の「IFA(国際コンシューマエレクトロニクス展) 2012」。このイベントに出展しているソニーのブースをレポートする。

 ソニーは既報の通り、開幕前の29日に行なったプレスカンファレンスで、84型の「BRAVIA」4Kテレビを発表。2012年内より順次、日本を含む世界全地域で発売する。欧州での価格は25,000ユーロの見込み。ブース内では、この4Kテレビを用いてゲームや3Dホームシアターといった様々な利用シーンを提案している。

欧州向けモデル「KD-84X9005」

 欧州向けモデルは型番が「KD-84X9005」となっており、主な仕様も既に決まっている。パネル解像度は3,840×2,160ドットで、バックライトはローカルディミングのエッジ型LED「Dynamic Edge LED」を採用。映像エンジンには4Kアップコンバート対応の「4K X-Reality Pro」を搭載。映像入力はフルHDの場合60pまで対応するが、4Kの場合はHDMIケーブル1本で入力する仕様上、30pまでの対応となる。残像低減機能として「Motionflow XR 800S」を搭載。偏光メガネを用いた3D表示にも対応する。

 無線LANとEthernetを搭載し、DLNAクライアントにも対応。10基のサイドスピーカーからなる「10Unit Live Speaker」を搭載。Clear Phase TechnologyとS-Force フロントサラウンドシステムも備える。アンプ出力は12.5W×4ch。

 HDMI入力は4系統。外形寸法はテレビ本体が2,137×90×1,136mm(幅×奥行き×高さ)、スタンド込みの場合は高さが567mm、奥行きが1,511mmとなる。重量はテレビ本体が約80kg、スタンド込みで約97.9kg。

フルHDモデルの70型(右)と84型4Kの比較4Kテレビで3Dを体験できるコーナーPS3のPlayMemories Studioを使って4K表示する技術展示

 シアター製品関連では、日本でも発表されたホームシアタープロジェクタの中級モデル「VPL-HW50ES」を、ディーラーなどに向けて紹介している。フルHD SXRDパネルを搭載したVPL-HW30ESの後継機で、3D/2D画質の向上や使い勝手の改善を図っている。コントラスト比は10万:1で、コントラスト拡張機能も備える。

 また、AVアンプの新モデルとして、9chの「STR-DA5800ES」を使ったシアタールームを設けている。STR-DA5800ESは、4K映像にも対応。USBメモリなどに収めたWAVやFLACのハイレゾ音源も再生できる。HDMI入力は9系統で、入力映像を再生前にプレビューする機能も備える。

ホームシアタープロジェクタの「VPL-HW50ES」ディーラー向けに、4Kプロジェクタ「VPL-VW1000ES」を使って、ベルリン・フィルのコンサート映像を上映しているAVアンプ「STR-DA5800ES」


■ Xperiaをテレビ番組と連携させるサービスなど

新Xperia

 29日のプレスカンファレンスではスマートフォン/タブレットのXperiaも発表されたが、これらをテレビと連携させるサービスもブース内で紹介。「Auto Contents Recognition」(ACR)と名付けられており、導入時期は未定だが、日本や米国、欧州のいずれかの地域での開始を目指している。

 このサービスは、テレビから出る音声をXperiaで解析して番組名を割り出し、その番組に関連した情報をXperiaで閲覧できるもの。放送局などが提供する番組情報を呼び出し、出演者などの情報が分かるほか、番組についてのツイート表示にも対応。番組が映画であればチケットやサウンドトラック購入に結び付けるページも作成可能。番組の出演者が登場する他の作品をXperiaで再生するといったことも検討されている。


タブレットもXperiaブランドに統一されたAuto Contents Recognitionの展示コーナーテレビの音声から番組名を検出して、関連情報やツイートを表示



Bluetoothスピーカー「SRS-BTM8」

 また、新Xperiaで注目された機能のNFCについては、連携機器としてBluetoothスピーカー2機種「SRS-BTM8」と「SRS-BTV5」を出展。スピーカーの天面にNFC対応XperiaをかざすとBluetooth接続して、簡単にXperiaの音楽をワイヤレスで聴ける。

 Bluetoothヘッドフォンを使って聴いている時にも、このスピーカーとNFC接続すると、ペアリング先を自動でスピーカー側に変更する。もしXperiaのBluetoothがONになっていなくても、初期設定を済ませていれば、自動でかざした時にBluetoothもONになる。Bluetoothスピーカーにはマイクも内蔵し、スピーカーフォンとして通話も可能となっている。


SRS-BTV5SRS-BTM8の天面にXperiaをかざして、スピーカーから音楽を聴くことができるSRS-BTV5にXperiaをかざしたところ



展示されたウォークマンF800シリーズ。アプリで「ClearAudio+」などの設定ができる

 今回展示されていたAndroid搭載ウォークマンの「F800シリーズ」は欧州では既に発売されているが、実は展示機には29日に発表された新機能「Sony's media application」が実装されており、販売品とは異なる特別バージョン。現時点ではアップデートでの対応については未定としている。

 「Sony's media application」は、Xperiaやウォークマンでこれまで別々だったメディアアプリのインターフェイスを共通化させたもの。ウォークマンアプリ、ムービーアプリ、アルバムアプリが存在する。ウォークマンアプリは、これまでのAndroid搭載ウォークマンに採用された再生アプリとの違いとして、再生曲に対してFacebookのLike(いいね)ができるほか、イコライザなど音質面も違いがある。新たに採用された「ClearAudio+」をONにすると、最近主流の音楽の傾向に合わせて、低音と高音の迫力を高める効果が追加されるという。



■ 無線LAN搭載「NEX-5R」用のユニークな撮影アプリ


NEX-5R

 今回発表されたミラーレス一眼カメラの「NEX-5R」は、αとして初めて無線LANを搭載し、カメラの撮影機能を購入後にも進化させられるというアプリダウンロードサービス「Play Memories Camera Apps」の導入も発表していた。ブース内ではこの「Play Memories Camera Apps」の概要が説明されている。

 「Play Memories Camera Apps」では、現在8種類のアプリが制作中だが、そのうち、一定間隔で静止画を連続撮影して動画のように見せられる「タイムラプス」機能、カメラを遠隔操作してレリーズなどができる「スマートリモートコントロール」、静止画を複数枚連続撮影して、そのうち一部のエリアだけを動画のように動かす「シネマティックフォト」の3つのアプリが実現に最も近いという。

 なお、「スマートリモートコントロール」を利用するためには、スマートフォン向けに提供されているアプリ「PlayMemories Mobile」のインストールが必要。Wi-Fiカメラ内の画像をスマートフォンで閲覧したり、転送するアプリとして既に提供されているが、アップグレードで、スマホからカメラを遠隔操作する機能を追加予定。Androidスマートフォン、iPhoneのどちらの「PlayMemories Mobile」でも利用可能になる予定だという。

 【お詫びと訂正】
 記事初出時、「Play Memories Camera AppsのアプリはXperiaなどのAndroid端末やiPhoneにも提供される」と記載しておりましたが、誤りでした。これらのアプリは、あくまでカメラの「NEX-5R」向けに提供されます(2012年9月4日)。

 上記アプリのうち、シネマティックフォトは、ソニー独自のユニークなものだ。例えば、コップに水を注いでいるところをアプリを起動してXperiaのカメラで撮影後、水の部分を指定すると、注ぐ人やコップなど水以外は静止画のままだが、注がれている水だけが動画のように滑らかに動くGIFファイルが作成される。ここで言う「注がれる水」のように動かす部分は、写真の色によって自動判別。同じ色と認識された水の部分だけが次々に別の写真に切り替わるため、動画のように見える。今後もこうしたアプリの開発を続け、ラインナップを拡大していく予定だという。

タイムラプス機能のデモスマートリモートコントロールシネマティックフォト
ヘッドマウントディスプレイの新機種「HMZ-T2」。軽量化や装着感の向上が図られているほか、長く見続けていても疲れないように画質面の工夫もなされている日本でも発売されている2chオーディオ向けスピーカー「SS-AR1」が、欧州でも発売開始されたことを受け、試聴ルームも設けられていたReaderの新モデルも展示。本文の指定した範囲をFacebookにアップロードして友人と共有できる機能などが追加されている。ページめくりの滑らかさも改善


(2012年 9月 1日)

[AV Watch編集部 中林暁]