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エソテリック、TANNOY「Definition」の最上位スピーカー

強力マグネット搭載の2ウェイ同軸型「DC10 A」

Definition DC10 A

 エソテリックは、英TANNOY(タンノイ)のフロア型スピーカー「Definition DC10 A」を2月15日に発売する。価格は1台84万円。表面仕上げはダークウォルナット(WL)、チェリー(CH)、ブラック(B)の3種類を用意する。

 「Definition」シリーズのフラッグシップモデルとなるフロア型スピーカー。大型アルニコマグネット「ALCOMAX-III」を備えた新設計の10インチ径同軸2ウェイスピーカーユニット「デュアルコンセントリックドライバー」を1基搭載する。

 ALCOMAX-IIIは、最上位モデル「Westminster Royal/SE」などに採用されていたマグネットで、従来のアルニコの3倍の磁気エネルギーを持ち、高い駆動力や解像度などが特徴。1つの大型アルニコマグネットでツイータ/ウーファの両方を駆動させており、この方式は1947年のデュアルコンセントリック第一号モデル「モニターブラック」からハイエンドモデルのみに継承されている伝統となっている。

 ウーファのコーン紙はクルトミューラー製のハードコーン。ナチュラルな特性のコーン紙に特殊な薬剤をコーティングしたタンノイ独自の仕様で、分割振動を抑え、トランジェント特性やパワーハンドリング特性に優れているという。

 エッジ部にはコットンクロスをツインロール状に形成し、強度と耐久性を高めるため特殊フェノール樹脂を含浸させ、表面を特殊コーティング。トランジェント特性に優れた低域と分割振動を抑えた濁りのない中域を再現するという。

 ツイータは、軽量アルミ合金の逆ドーム型ダイアフラムと、アルミニウム線のボイスコイルを採用。6段階プレス法で徐々にドームが形成され、1回のプレスごとに加熱されて内部歪みを取り除く処理を行なっている。振動板の反対側には空洞を設けてトランジェント特性の向上を図り、歪みを軽減。さらに、ホーンのネックに開けられた19個のスロートによって位相の補正を行なう。ホーン表面はラッピング(磨き込み)処理を施し、音の乱反射を抑えた、繊細で伸びのある高域再生を実現したという。

 フレームはアルミダイキャスト製。10箇所でエンクロージャーに固定され、アタックの強い再生時のドライバも安定して動作させるという。

 エンクロージャーにはバーチ(樺)を使用。独自のラウンドカーブ設計により、共振や内部反射を低減している。また、剛性を高める強固なブレーシング(内部補強板)構造も採用している。表面はリアルウッドの突き板仕上げとなっており、光沢ラッカーを施している。ブラックはミラーグロス・ピアノ仕上げで、キズ防止のラッカーコーティングも行なっている。そのほか、アルミ製のトリムプレートや、マグネット固定式のグリルを採用する。

 エンクロージャー底面には、市販のスピーカー/スピーカースタンド専用充填材やバラスト(砂)などを入れられるMLC(マスローディングキャビティー)を装備。ユーザーがエンクロージャーを重くすることができる。アルミ無垢材から削り出した重量級スピーカーベースも装備。上部からスパイクにアクセスでき、設置後の高さ調節も行なえる。スパイク受けや、高さ調整用の専用レンチ(TANNOYロゴ入り)も付属。

グリル装着時
背面
脚部

 クロスオーバーネットワークには、低損失ラミネートコア・インダクタや、ポリプロピレン・フィルムコンデンサなどを使用。プリント基板を使わず各部品間を直結(ハードワイヤリング)している。ネットワーク回路にはDCT(ディープ・クライオジェニック処理/ネットワークボードを-190度で冷却処理し、一定の時間管理の元で常温に戻す)を施し、回路内部のストレスを減少させ、信号伝達能力を高めているという。コンデンサには、異素材を組み合わせて共振を防ぐDMT防振処理を施している。

背面のターミナル部

 ターミナルは独WBT製の「Nextgen」スピーカー端子で、バイワイヤリングに対応。タンノイ独自のアース端子を加えており、ドライバーシャーシとアンプをアース接続でき、高周波ノイズの侵入を低減できるという。内部配線には、単結晶構造のPCOCC内部配線を採用している。

 推奨アンプ出力は30~300W。インピーダンスは8Ω。最大許容入力は150W/600W(RMS/瞬間)。能率は93dB。周波数特性は28Hz~22kHz(-6dB)。外形寸法は345×438×1,135mm(幅×奥行き×高さ)、重量は42.7kg。

(中林暁)