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ファイナル、真鍮削り出しのカナル「heaven V」

外観のエージングも楽しめる「heaven V Aging」も

左が「heaven V」、右が「heaven V Aging」

 ファイナルオーディオデザイン事務所は、バランスド・アーマチュア(BA)ユニットを採用したカナル型(耳栓型)イヤフォン「heaven」シリーズの新モデルとして、「heaven V」を4月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は29,800円前後。ブラッククロームメッキ仕上げとなる。

 さらに、仕上げをバレル仕上げにした「heaven V Aging(エージング)」というモデルも発売。価格はオープンで、店頭予想価格は32,800円前後。

 オーディオ機器の“エージング”と同じモデル名を持つ「heaven V Aging」は、「使い込むほどに味が出てくる」というバレル仕上げを採用。あえてメッキをかけないことで、音質だけでなく、外観の経年変化も楽しめるようになっているのが特徴。使い込めば、色に深みが増し、独特の味わいが出るという。

経年変化で味わいが出るという仕上げの「heaven V Aging」
「heaven V Aging」のエージングした外観の一例。左が新品、右が3カ月使ったもの。色に深みが増し、ロゴの色も変わって見える

 仕上げ以外の仕様は共通。どちらも真鍮削り出し筐体を使ったイヤフォンで、BAユニットはシングル。独自にカスタマイズしたものを採用している。

「heaven V」はブラッククロームメッキ仕上げ」

 空気の流れを作り出し、筐体内部の空気の流れを最適化するBAM(Balancing Air Movement)機構も採用。上位モデルの「heavenVI」と同じ、新しいバージョンとなっており、よりシンプルな機構とする事で、細身の製品を実現しているほか、後部に設けていた空気を調節するための穴も不要となり、音漏れも軽減している。

 イヤーピースはゴム製で、2種類を同梱。遮音性の高いAタイプと、共振音の少ないBタイプがあり、ピースによる音の違いが楽しめる。各種類にS/M/Lの3サイズを同梱。キャリングケースも付属する。なお、「heaven V」のケースはスチール製、「heaven V Aging」のケースは革製となる。

 音圧感度は112dB/mW。インピーダンスは16Ω。ケーブルはフラットタイプで、タッチノイズを低減。長さは1.2mのY型。重量は約17g。

音を聴いてみる

 試聴にはiBasso Audioのハイレゾプレーヤー「HDP-R10」を使用した。

 両モデルとも、BAのイヤフォンながら、音が硬かったり、金属質な響きが付帯するような事は無く、ダイナミック型のような自然で滑らかな音色が特徴だ。マルチウェイタイプではなく、シングルであるため、オーケストラのようなレンジの広い楽曲を再生しても、低域と高域の繋がりの良さが利点として感じられる。低域から高域までのバランスも良く、ソースを選ばない再生能力を持っていると感じる。

 前述の通り、イヤフォンとしての仕様は同じで、仕上げだけが異なる「heaven V」と「heaven V Aging」だが、実際に聴き比べてみると、すぐにハッキリとわかるほど、音質の違いがある。

 「heaven V」は抜けが良く、クリアで、どちらかというとサッパリとした描写。一方、「heaven V Aging」は、響きの成分が豊かで、アコースティックベースなどで比べると音に深みを感じる。クールな描写の「heaven V」と比べ、「Aging」は、どちらかというと暖かみを感じる、表情豊かな描写となる。ブラッククロームメッキ仕上げと、バレル仕上げの見た目から感じるイメージの違いが、そのまま音質の違いにもオーバーラップするようで興味深い。

 なお、響きが豊かな「Aging」でも、BAらしく、低域の分解能は維持されている。自然な音のBAイヤフォンで、外観の仕上げにもこだわるという人にマッチする2機種だろう。

(山崎健太郎)