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ひかりTV、Android 4.0搭載STBを6月3日レンタル開始

「ソーシャルVOD」やクラウドゲーム、4Kトライアルも

新STB「ST-3200」を持つNTTぷららの板東浩二社長

 NTTぷららは17日、映像配信サービス「ひかりTV」の2013年度上期における取り組みや、下期の事業展開に関する記者説明会を開催した。

 説明会の中で、これまで予告されていたAndroid 4.0搭載STB「ST-3200」を6月3日よりレンタル提供開始することを発表。さらに、国内初というクラウドベースのテレビ向けゲームサービス「ひかりTVゲーム」や、アプリを無料提供するマーケットの「ひかりTVアプリ」を同日より提供開始することを明らかにした。

 「ST-3200」の利用料金は、初期費用の1,050円と、レンタル料が従来と同額の月額525円。ひかりTVの番組視聴などは別料金となる。

Android搭載STB「ST-3200」

ST-3200

 既存のテレビ向け多チャンネル放送や、VODサービス、ひかりTVミュージックなどに加え、新サービスのひかりTVゲームやひかりTVアプリも利用できるSTB。OSはAndroid 4.0。製造は住友電工ネットワークスが行なう。

 ひかりTVが展開している、地上/BSデジタル放送のMPEG-4 AVC/H.264再送信(BSはWOWOWとNHKのみ)を受信して、HDMI接続のテレビに表示できるSTB。別売USB HDDに録画可能で、1番組の視聴と2番組の裏録画が行なえる。なお、地デジの同時利用は2チャンネルまでとなるため、地デジを2番組同時録画している間は、VODなど他の番組の視聴のみ可能。なお、現在の録画モードはDRのみだが、将来的には長時間録画モードにも対応予定としている。

 UIも改善され、リモコンの左右キーだけで「テレビ」、「ビデオ」、「ミュージック」といったメニューを選択できる「フリックパネル・ユーザインターフェース」を採用している。このパネルは16種類の中から、ユーザーが好みのものを選んでレイアウトできる。

 CPUはARM Cortex-A9(1GHz/デュアルコア)で、動作メモリは2GB。「従来のチューナに比べて約10倍のハードウェア性能」としている。リモコンは無線式で、テレビ操作用の赤外線送信機能も備える。中央の十字キーには感圧式センサーを備え、カーソル選択時にボタンを強く押すと早く移動するようになっている。

 DLNA/DTCP-IPサーバーにも対応。パケットビデオのスマートフォン用アプリ「Twonky Beam」を利用することで、USB HDDに録画済みの番組をスマートフォンでストリーミング/ダウンロードして視聴できる。別室のDLNA/DTCP-IP対応テレビで視聴することもできる。

 スマートフォンアプリ「ひかりTVりもこんプラス」を使ったSTBの操作にも対応。これまでは、アプリとSTBの紐付けにはIDの入力などが必要だったが、「ST-3200」のリモコンにNFCを内蔵。対応スマートフォンをかざして簡単にペアリングできるようになった。

 出力端子はHDMIとコンポジット映像/アナログ音声、光デジタル音声を備える。そのほか、USB 2.0を2系統と、SDカードスロットも備える。外形寸法は257×182×40mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約700g。

付属リモコン
背面
メニュー画面
横スクロールで目的のサービスに移動できる新UI
各サービスを「パネル」として自由にレイアウトできる
新STBの主な特徴

「ひかりTVゲーム」と「ひかりTVアプリ」を開始

クラウド上でゲームが動作。テレビに映像を配信する

 「ひかりTVゲーム」は、上記の「ST-3200」で利用できるほか、2013年度第2四半期には現行チューナの「PM-700」、「ST-770」、「M-IPS200」も対応予定。利用料金は月額525円で、ゲームは約50タイトル(開始時は約30タイトル)を用意する。操作はSTBのリモコンや、専用コントローラ、スマートフォンで行なえる。専用コントローラの提供方法については検討中。

 テレビ上でゲームを楽しめるが、ゲームが実際に動作するのはクラウド上で、その映像をストリーミングで配信。ソフトの機能が随時アップデートされていく点や、ソフト購入/ダウンロード/インストールの作業も不要なことなどが特徴。プラットフォームにはゲームのオンデマンドサービスとして展開されている「Gクラスタ」の技術を活用している。

 ゲームソフトのパブリッシャーは、KONAMIやスクウェア・エニックス、タカラトミー エンタメディアなど10社以上が参加予定。「プロ野球スピリッツ LIVING MANAGER」(KONAMI)や「人生ゲーム×ひかりTV」(タカラトミーエンタメディア)などをラインナップする。

 さらに、'13年度下期には、「クラウドパーティプレイ」という機能も実装予定。これは、複数の人がテレビ画面のゲームを見ながら、各自のスマホ/タブレットで操作して楽しめるもの。例えば麻雀の場合、テレビには捨て牌だけが表示され、各自のスマホには手牌が表示されるという。

開始時のタイトル
参加するパブリッシャー
クラウドパーティプレイも今後提供予定
プロ野球スピリッツ LIVING MANAGERは、ユーザーが監督となり、高画質な映像を観ながら采配を楽しむという内容
ひかりTVゲーム用のコントローラ
コントローラやスマートフォンで操作できる

 「ひかりTVアプリ」は、ひかりTVがセレクトしたテレビ対応のアプリを配信するもので、家族でテレビを使って楽しめるアプリなどを中心に提供。

 ひかりTVオリジナルアプリとなる「キッズルーム」(仮)では、親が子供に観せたいVODをあらかじめ選んでおいて、子供が自分で操作して観ることなどが可能。また、学校の時間割や宿題などのTo Doリストを子供がクリアするとポイントが貯まり、画面内のキャラクターにエサを与え、そのエサの種類などによって成長のしかたが変わるといった要素も盛り込んでいる。

ひかりTVアプリの概要
ひかりTVアプリのトップ画面
「キッズルーム」(仮)の画面

コメント投稿の「ソーシャルVOD」や、4Kトライアルも計画

ソーシャルVOD(仮)の概要

 新STBと同時期に提供予定のサービス「ソーシャルVOD」(仮)は、視聴する動画のタイムラインに合わせて、あらかじめ用意されたスタンプや、フリーテキストのコメントを投稿できるもの。投稿数に応じて「盛りがり度」がグラフで表示され、どのシーンが盛り上がったかが分かりやすく、他のユーザーと一緒に観ている感覚でVOD映像を楽しめる。

 スタンプを押して手軽に投稿したい場合はリモコンで操作可能。また、前述のリモコンアプリ「りもこんプラス」を使うと、手元で入力した文字をコメントとして投稿できるようになる。

デモ画面。左下に盛り上がり度のグラフが表示され、その部分を選んで視聴することもできる
スタンプ
スマホ/タブレットでテキストを入力して投稿することも

 '13年第4四半期には、新たな取り組みとして4K映像制作や伝送のトライアルを実施。同社はこれまでのIP放送やVODのノウハウ、NTT東西の光回線を活用し、次世代コーデックのHEVC/H.265による4K映像のIP配信を目指している。

 同社は、東京・大田区の町工場が中心となって国産ボブスレーを開発する「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」に協賛。4Kでボブスレー映像を制作する。なお、エンドユーザーがその映像を視聴できる機会を提供するかどうかについては検討中としている。

 その他の施策として、'13年第2四半期には、「PC向け映像配信」や、「ダウンロードレンタル」などの提供を予定。第3四半期には、ひかりTVミュージックの楽曲個別課金(現在は聴き放題のみ)や、映像の多チャンネル番組の編成見直しなどを行なう計画。なお、PC向け映像配信を開始する際には、NTT東西の光回線以外でも視聴可能になる“回線のオープン化”も実現する見込み。

4Kトライアルの概要
映像サービスでは、プロ野球のパ・リーグ主催の全試合と、セ・リーグ主催試合(ヤクルト、一部の広島主催を除く)を放送する
天気など「生活情報」の提供も
板東浩二社長

 新サービスなどの取り組みによって、会員数は2013年3月末時点の245万から、'14年3月末には300万までの増加を目指す。板東社長は「なかなか簡単にはいかないと思うが、ぜひ達成したい」と述べた。

 板東氏は同社の考える「スマートテレビ」について、3つの要素を挙げて説明。まずはアプリやゲームといった「コンテンツ」を充実させ、新STBの「インターフェイス」でそれらのコンテンツを使いやすくし、様々な機器で使えるようにする「マルチデバイス」対応で、他のサービスとの差別化を図っていくという。

 '08年のスタートから約5年を迎えたひかりTVは、当初は100万会員獲得という顧客基盤の確立や、VODマーケットの構築などを目指して事業を展開してきた。'13年3月末時点で会員数は245万、VOD視聴は毎月2,000万回を超えたことで、こうした目標をクリアしたという。「第3ステップ」では、同社が推進するマルチデバイス対応の確立や、音楽/ゲームなどの新しいビジネスの展開を目指している。さらにその次のステップとして、新STBを使って「テレビを超えた総合ライフエンターテインメントサービス化」を目指すという。

これまでの会員数の伸び
サービスの現状
各サービスのロゴを、統一デザインに刷新する
マルチデバイス対応を推進
今後のサービス開発スケジュール
'14年度3月末に300万会員を目指す

(中林暁)