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ソニー、BA+ダイナミックのハイブリッドカナル3機種

リケーブル対応&液晶ポリマー採用。約16,000円から

最上位モデルの「XBA-H3」

 ソニーは、イヤフォン「XBA」シリーズの新モデルとして、バランスド・アーマチュアユニット(BA)とダイナミック型ドライバを両方搭載した、ハイブリッドタイプのカナル型(耳栓型)イヤフォン3モデルを10月25日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は「XBA-H1」が16,000円前後、「XBA-H2」が26,000円前後、「XBA-H3」が37,000円前後。

 同社は、一般的なパイプ状ではなく、フラット形状のエアーダクトを採用した独自開発のBAユニットを開発し、それを搭載したカナル「XBA-10」(7,455円)、「XBA-20」(18,375円)、「XBA-30」(24,675円)、「XBA-40」(30,975円)を発売している。この中で、「XBA-20」と「XBA-30」が今後販売終了となり、新たに「XBA-H1」、「XBA-H2」、「XBA-H3」が追加される形となる。

「XBA-H1」

 新機種に共通する特徴は、BAユニットとダイナミック型ドライバを両方搭載している事。BAは高解像度、かつ繊細で立ち上がりの良い緻密な音、ダイナミック型は豊かで躍動感のある低音を得意としており、その利点の組み合わせを図っている。

 ユニット構成は以下のとおり。H1はフルレンジBAと9mmのダイナミック型、H2はフルレンジBAと13.5mmのダイナミック型。H3はフルレンジBAとBAのHDスーパーツイータ、16mm径のダイナミック型ユニットを搭載している。

 なお、ソニーではハイレゾ製品の拡充を進めている。同社が定義する「ハイレゾ製品」は、再生周波数帯域40kHz以上のモデルで、その中でも社内の聴感検査をパスしたモデルと定めている。この記事の中では、「XBA-H3」が該当となる。

モデル名XBA-H1XBA-H2XBA-H3
店頭予想価格16,000円前後26,000円前後37,000円前後
ユニット構成フルレンジBA
9mm径ダイナミック
フルレンジBA
13.5mm径ダイナミック
HDスーパーツイータ(BA)
フルレンジBA
16mmダイナミック
液晶ポリマーフィルム
振動板(ダイナミック型)
再生周波数帯域5Hz~25kHz4Hz~25kHz3Hz~40kHz
ケーブル着脱
重量約7g約8g約10g
フルレンジBAと9mmのダイナミック型搭載の「XBA-H1」
フルレンジBAと13.5mmのダイナミック型搭載の「XBA-H2」
XBA-H3はHDスーパーツイータ、フルレンジBA、16mmダイナミック型を搭載する

 ユニットの特徴として、H2とH3に搭載しているダイナミック型ユニットの振動板に、高い内部損失を持ち、癖の無い音が再生できる液晶ポリマーフィルムを採用。また、H3に搭載しているHDスーパーツイータに使っているBAユニットは、振動板を、通常の鉄から、軽量さと剛性を兼ね備えたアルミ系合金に変更。「空気感までしっかりと表現できる」という。

 3機種共通の特徴としては、ハウジング上に設けた通気孔により、低域における通気抵抗をコントロールし、振動板の動作を最適化させ、リズムを正確に再現できるという「ビートレスポンスコントロール」を搭載。また、各ドライバを固定するハウジングには、制振性に優れた素材を使っている。

H3には「アジャストフリーイヤーハンガー」を採用

 また、新たにH2とH3はケーブルの着脱が可能になった。同社は独自端子としているが、形状はMMCX端子とほぼ同じで、ケーブルによってはMMXC用のものも接続できると思われる。いずれのモデルも1.2mのY型ケーブルを採用。H2とH3には、スマートフォン向けのマイクリモコンを備えたケーブルも同梱しており、交換できる。

 さらに、H3には「アジャストフリーイヤーハンガー」を採用。形状記憶樹脂のテクノロートを芯材とし、肌触りのいいシリコンを表面に配したもので、快適な耳かけ装着ができるという。

 付属のイヤーピースは、傘の部分の内側に、発泡クッション材を充填する事で、耳穴の中で傘が広がり、装着安定性と静音性を高めるシリコンフォームイヤーピース。

音を聴いてみる

 短時間だが試聴したので印象をお伝えしたい。再生プレーヤーにはAstell&Kern「AK120」を使用した。

 フルレンジBAと9mmダイナミックのH1は、ワイドレンジでバランスの良い再生音。ハイブリッドタイプのイヤフォンは、中低域が過多になったり、張り出し過ぎる製品も存在するが、H1の場合は、低域が若干強めであるものの、バランスが崩れるほどではない。低域と高域の繋がりも良く、音色も自然だ。

 H2は、さらにレンジが拡大。ダイナミック型ユニットが13.5mm径と大型になる事で、低域の沈み込みが深くなり、同時に振動板が液晶ポリマーフィルムであるため、アコースティックベースの弦の動きやピアノの左手など、低い音の中の情報量が増加。腰の座った安定感が出る。

 H3では、さらにレンジが広大になり、音場の広がりもより深い。16mm径のダイナミック型ユニットには液晶ポリマーフィルム振動板が使われており、H2の低域を超えて、低域が下までズンと伸びる。同時に胸を圧迫するような量感も得られるが、振動板の能力の高さからか、情報量が減ったり、フォーカスが甘くなる事はない。

 HDスーパーツイータを加えた高域の延びも鋭く、解像感の高い、BAらしさを感じさせる高音になっている。ただ、これだけカリカリにシャープな描写にも関わらず、金属質な響きは音色に乗っておらず、不自然さは無い。若干乾いた音にも聴こえるが、エージングによって変化していくだろう。

(山崎健太郎)