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「ぼっち・ざ・ろっく!」自動運転タクシー乗ってみた。立体的な音と映像+香りで車内が没入体験空間に
2026年4月2日 19:14
横浜・みなとみらい地区にアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の世界感が楽しめる自動運転タクシーが登場。4月3日から5日に開催される「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026」に合わせた運行実証で、イベントの期間中、S.RIDEアプリを通じて車両を呼び出すことができる。
実施エリアは横浜・みなとみらい地区(CENTRAL開催エリア周辺)。実証車両は2台だが、別途、臨港パーク内にて展示用車両1台の静態展示もある。体験人数は1回あたり最大2人で、料金は無料。安全確保のため、運転席にドライバーが同乗し、走行状況を監視する(レベル2)。概要の詳細は別記事を参照のこと。
今回、メディア向けの出発式が行なわれ、イベントに先駆けて特別車両を体験した。
今回の実証車両は、自動運転技術とイマーシブ技術を掛け合わせた次世代の車内エンタテインメント体験を提供する車両。ソニーの技術と、アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇中バンド「結束バンド」のIPを活用。移動中の車内を「完全に没入できるエンタテインメント空間へ変える」としている。
実証車両はアルファードで、車内2列目の席の間に裸眼で立体視が可能な空間再現ディスプレイが設置されている。この立体映像に加えて、立体音響、さらには、におい制御技術「Tensor Valveテクノロジー」といったイマーシブ関連技術を統合したコンテンツが体験できる。
早速実際に乗車してみる。席に深く腰掛けると、ちょうど目の前に空間再現ディスプレイが見える。運転席の後ろに乗ると、このディスプレイで運転手が隠れるため、あまりタクシーに乗っているという感覚がない。
そしてこの空間再現ディスプレイは、カメラで視聴者の目の位置を確認して画面を調整し、裸眼での立体視を実現している。車の中で立体視と聞くと、車酔いしてしまうのでは、と心配になる人も少なくないと思うが、目の位置に合わせて映像を調整することで、車内でも不快になりにくい工夫がされているという。
筆者も車酔いやすいタイプなのだが、今回の乗車体験では、むしろ画面を見ている方が快適だった。走行中に香りの説明が書いてある表やサイドに居るぬいぐるみなどを見るよりも、映像を眺めていた方が楽なので不思議な感覚だ。
コンテンツの没入感を高める立体音響は、前方に1台、後部座席3列目のドリンクホルダー付近に2台の計3台のスピーカーで再生されている。座席がスイートポイントになるようにセッティングされている。
コンテンツは、結束バンドの4人のボイスから始まり、ライブシーンや劇場版のオープニングなどを組み合わせたMV集のようになっており、コンテンツが始まるとぼっちたちのセリフが画面の奥からまっすぐ聴こえるように感じられる。
続いて音楽が流れるシーンでは、座席を囲うようなドーム状の音の空間が生まれるような聴こえ方に。隣の席にも同じように画面があり、隣の席と同じコンテンツを視聴している状態なのだが、しっかりと自分中心に立体音響の空間が出現しており、喜多ちゃんのボーカルは画面の奥からまっすぐこちらに届く。演奏の音は全身を包むような感覚だ。
そして、今回の注目ポイントになっている「におい」が、心地良い空間を作り出しているポイントと感じた。今回の体験では、結束バンドの4人が選んだ香りがシーンに合わせて切り替わるのだが、この香りの強さは、ほんのりと香る程度で、「なんとなく香りが変わったなぁ」と感じるレベル。フワッと香ってスッと消えるような香りなので、むしろ意識していないと香りがあることに気付かないかもしれない。
匂いが出ることを知らなければ、なんかこの車ちょっと良い匂いだったなぁ〜くらいの意識になりそうなのだが、これくらいがアルファードのふかふかの座席でのんびりコンテンツを楽しむのにちょうど良い塩梅と感じた。匂いも車酔いのきっかけになりやすい筆者も問題無く快適に過ごすことができた。
この実証車両の乗車方法は、タクシーアプリ「S.RIDE」画面右上にある結束バンドのアイコンをタップして、限定車両を選択。CENTRAL開催エリア周辺の乗車ポイントを指定して車両を呼び出すと、実証車両が指定場所へ到着して乗車できる。行き先は、車内でKアリーナ・臨港パーク・赤レンガ倉庫の3地点から選択できる。
車内コンテンツは8分程度の長さになっており、道が空いている状態であれば、Kアリーナから赤レンガ倉庫までの移動がちょうど良い乗車時間になるとのことだ。先着順の数量限定で乗車記念カードももらえる。
なお、臨港パークでは、展示用の車両も1台用意されている。実証車両とは車体が異なり、こちらは走行しない静態展示となるが、車内でコンテンツの一部が体験可能になるとのことだ。4月2日時点では整理券等の配布も予定されておらず、現地で順番に展示車両を見ることができる。
自動運転となったタクシーは新たなエンタメ空間に
今回の運行実証は、完全な自動運転を実現したロボットタクシーの時代に向けて、タクシーに移動だけでなくエンタメとの連携による車内体験価値の向上に狙いがあると、S.RIDEの橋本洋平社長は話す。
S.RIDEは、配車をメインとするビジネスマンをターゲットとしたサービスとして、乗客やドライバーのメリットを最大化し、すぐ呼べる、確実に乗れる、快適に移動できるという3点を強みに成長。今後もこちらをメインの事業として深化させていくとする一方で、新しい探索領域も大きく2つ見据えているという。
そのうちの1つが自動運転によるロボットタクシー時代の到来。配車アプリからロボットタクシーが呼べて乗れるだけではなく、ソニーグループ傘下であることを活かして、グループ内のIPコンテンツや車載技術を組み合わせ、乗客がどのような新しい体験ができるかという点を探索ポイントにしているとのことだ。
実際に中国では、カラオケがロボットタクシーにおける大きなキラーコンテンツの1つになっているという。運転手が居ないため、タクシー内がよりプライベート空間として認識されるようになることから、コンテンツに没頭するできるようなサービスとの相性が良いと橋本社長は説明する。
今回の運行実証では、「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026」に結束バンドが登場することに合わせて、「ぼっち・ざ・ろっく!」とのコラボを実現。「”ぼっち”たちとぼっちになれる空間を」と掲げている。
ソニーグループのIPや車載技術、ムービーズのロボットタクシー技術を組み合わせることでどういった体験ができるのかを実感してもらい、将来に向けて声を聞いていきたいと述べた。
ソニー Mobility事業部門 開発部 技術1課の若林孝行氏は、「目的地に着くまでの時間をただ過ごすだけではなく、人生の記憶に残るような没入空間を作りたい」という。
今回は、CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026という熱狂や感動を生むライブイベントの期間で、「ぼっち・ざ・ろっく!」とのコラボとなり、「会場に向かう移動そのものもエンターテインメントの力でさらに特別なものに変えていきたい」と話した。




















