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楽天、Android 4.2搭載で7型フルHD超の電子書籍タブレット「Kobo Arc 7HD」

「Kobo Arc 7HD」(右)と「Kobo Aura」(左)

 楽天は、電子書籍端末「Kobo」の新モデルとして、OSにAndroidを採用した7型タブレットの「Kobo Arc 7HD」を12月下旬より発売する。価格は、ストレージメモリ16GBのモデルが22,800円、32GBモデルが27,800円。11月26日より予約を受け付ける。

 その他にも、Androidタブレットのスタンダードモデルとして「Kobo Arc 7」も近日発売すると予告。価格は14,800円。

 また、10月17日から予約を受け付けている電子ペーパータイプの6型モデル「Kobo Aura」も、12月上旬より出荷を開始する。価格は12,800円。

Kobo Arc 7HD
Kobo Aura
Kobo Auraの利用イメージ

Android 4.2.2搭載の「Kobo Arc 7HD」

Kobo Arc 7HD

 Koboで初となるAndroidタブレット型端末で、OSはAndroid 4.2.2を搭載。ディスプレイは7型/1,920×1,200ドット(323ppi)でカラー表示が可能。静電容量式/10点マルチタッチに対応する。本体カラーはブラックとホワイトの2色を用意する。

 トップ画面にKoboの本棚を表示できることが特徴で、購入した書籍を探しやすくしている。本棚画面以外は一般的なAndroidタブレットと機能は共通で、Google Playからアプリを追加することも可能。雑誌/書籍アプリの購入は「楽天Koboアプリ」を使用。楽天Koboイーブックストアで購入した電子書籍はクラウドで保存され、クラウドからダウンロード可能。複数のKoboアプリやデバイスを利用する場合も、読書情報を同期できる。

 アプリの使い勝手や画面は、既存のAndroid端末で使った場合とほぼ共通だが、Kobo Arc 7HDの特徴として、ホーム画面にユーザーが新たな本棚を追加することも可能。また、無線LANやBluetoothなどをオフにして、通知などをさせないことで読書に集中できる「読書モード」も新たに採用した。

購入した本の一覧画面を表示しているところ。写真の端末は試作機のため、画面などが変更になる場合がある
書籍の表示画面
ライブラリの本をロングタップして、「コレクションに追加」へドラッグすると、ユーザーが作成した本棚に追加できる
無線LANなどをOFFにできる「読書モード」も用意
読書モードの設定画面
通常のAndroidタブレットとしても利用可能

 書籍の対応フォーマットは、EPUB(リフロー/固定レイアウト)に対応。モリサワの日本語フォントや、欧文フォントなどが利用可能。静止画はJPEG、PNG、GIF、BMP、音声はAAC、AAC+、MP3、3GP、MP4、M4A、FLAC、OGG、WAV、MID、動画は3GP、MP4、WebM、H.263、H.264、VP8に対応する。

 CPUはクアッドコアのTegra 3(1.7GHz)。RAMは1GB。カメラは130万画素/720p記録対応のメインカメラに加え、前面にもカメラを備える。モノラルスピーカーとマイクも内蔵する。通信は、IEEE 802.11b/g/nの無線LANに加え、Bluetooth 4.0にも対応。HDMIマイクロ出力と、マイクロUSB、ステレオミニのヘッドフォン出力(マイク兼用)も備える。

 ジャイロ/加速度/照度センサーを搭載。バッテリ容量は4,200mAhで、MP4ビデオ再生時(バックライト25%)の連続動作時間は8.7時間、待受けは最長15日間。外形寸法は194×122×9.6mm(縦×横×厚さ)、重量は約341g。ACアダプタやマイクロUSBケーブルなどが付属する。

カラーはブラックとホワイトの2色
ホワイト
ホワイトの背面
HDMIやUSB端子を備える
天面に電源のスライドスイッチ
ブラックの背面は小さな凹凸がある仕上げで、手に持っても滑りにくい

6型E Inkの「Kobo Aura」

Kobo Aura

 電子ペーパー「E Ink Pearl」の6型ディスプレイを備えたモノクロ表示の端末で、10月17日より予約受付を開始している。カラーはブラックとピンクの2色。均質でムラ無く照らすというフロントライト「ComfortLight」を搭載。コンテンツ内の画像を2本指でピンチして拡大できる。また、ページ更新によるリフレッシュ頻度を減らすことで見やすくした点も特徴。

 内蔵のストレージメモリは4GBで、別売microSD/SDHCカード(最大32GB)による拡張も可能。対応フォーマットはEPUB、PDF、JPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、HTML、CBZ、CBR、MOBI。なお、PDFはKoboイーブックストアで販売しているPDF書籍のみ対応する。フォントはモリサワの日本語フォントと、欧文フォントに対応。

 IEEE 802.11b/g/nの無線LANを搭載。外形寸法は150×114×8.1mm(縦×横×厚さ)、重量は174g。電池持続時間は最長約8週間(ライト/無線LANオフで、約1分/1ページ読んだ場合の計算値)としている。

カラーはブラックとピンク
2本指で上下にスワイプすると明るさを調整できる

アプリ強化や定期購読などを計画。動画配信のShowTimeと連携も

楽天のパッケージメディア事業 イーブックジャパン事業 担当役員 舟木徹氏

 楽天のパッケージメディア事業 イーブックジャパン事業 担当役員 舟木徹氏は、Kobo事業の現状について、11月末時点で18万冊を突破したことや、直近1カ月の書店ベストセラー作品の採用率が年内80%カバーを目標に伸長していることなどを説明。新規ユーザーの増加により、会員数が'12年末の約3倍にまで成長するなど、好調をアピールした。月間コンテンツ販売数は、'12年末時点に比べ約4倍に伸びたという。なお、会員の実数は明らかにしていない。

 顧客特性としては、絵や写真などを重視して、パラパラめくりながら読む「ビジュアル派」、評判や話題に敏感な「知識派」、エンタメやホビーにこだわりを持つ「エンタメ派」の3つに分類し、このうち楽天との親和性が高いという「エンタメ派」への訴求を強化。マンガや小説など娯楽作品に注力した商品展開を目指す。

Koboのサービス現状
日本語コンテンツ数の推移
ユーザー数の推移
顧客特性
リアル書店など、オフラインチャンネルの展開
コンテンツ販売額の推移

 新端末「Kobo Arc 7HD」の発売に合わせたキャンペーンも実施。期間限定で、タブレットに関するアンケートに答えた人を対象にKobo Arc 7HDを3,000円引きとするほか、'14年3月19日までにKobo Arc 7HDに楽天会員IDで初回ログインすると、楽天市場、楽天ブックス、楽天Koboでの買い物で付与される楽天スーパーポイントが、1年間にわたって通常の2倍である2%(毎月3万円分の買い物が上限)となる。

 「Kobo Arc 7HD」と「Kobo Aura」をラインナップに加えることに合わせ、2013年第4四半期内にサービスを強化していくことも発表。11月28日に実装されるAndroidアプリの新機能「Quick Buy」により、ワンクリックでのスムーズな購入を可能にするほか、Windows/Mac用のビューアも'14年第1四半期に実装予定としている。さらに、紙の本を販売する「楽天ブックス」との統合を発展させることで、2014年には電子書籍の予約販売や、ためし読みなどの機能追加についても計画。出版社との協力により、定期購読や自費出版なども検討している。

 今後のAndroidタブレット端末ラインナップとしては、既に海外で販売している7型/1,024×600ドット/8GBメモリのスタンダードモデル「Kobo Arc7」も近日発売すると予告した。価格は14,800円を予定している。

Kobo Arc 7HD購入者に、ポイント2倍などのキャンペーンも実施
今後予定されている新サービスの概要
7型/1,024×600ドットのAndroidタブレットスタンダードモデル「Kobo Arc7」も近日発売

 楽天の舟木徹氏は、電子書籍市場におけるKoboの現状について「圧倒的にAmazonが先行しているのは偽らざる事実。我々は日本の第2グループに属している。このままいけば数年後には(Amazonとの差が)もっと広がると思うので、努力してこの差を埋めていくことが重要」とした。Androidタブレットの発売が競合他社や海外に比べて遅れ、この時期になった点については「タブレットを売ることで商売するのではなく、全体の品ぞろえとして必要。家で買い物をする楽天ユーザーが、“持ち出さないタブレット”として使うならそれでもいい。PCのオルタナティブとして、楽天ユーザーがこれを買ってプラスになれば本望」と述べた。

 コンテンツ数については、開始当初に三木谷浩史代表取締役会長兼社長が掲げていた「'12年内に20万冊」という目標に現時点でも達していないが、舟木氏は「1年遅れで20万冊くらいに」として、2013年内の拡充を目指す意向を示した。また、事業の黒字化時期については、「オーナー(三木谷氏)は来年にでも、ととらえているが、来年は無理。早く行けば4~5年の間には形にしたい」と述べた。

 舟木氏は、タブレットを活かしたサービスとして、動画配信の「ShowTime」との連携についても言及。「ShowTimeを発展的に強くしたいという思いを持っており、現在進めている。このサービスをタブレット/スマートフォンに展開していくことを考えている」とした。

アプリの機能強化を予定
パソコン用ビューアも実装する予定
楽天ブックスとの統合を発展させ、サービスを強化
今後の戦略として、定期購読や自費出版なども検討

(中林暁)