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NHKの“新テレビ向けアプリ”は同時配信・追いかけ再生も可能に。旧アプリは10月から使用不可

10月1日から始まるNHKのインターネットサービス「NHK ONE」。3つのアプリが、新しいアプリに切り替わる

NHKは29日、10月1日からのネットサービス「NHK ONE」に関する発表会を開催した。現行のWEBサイトは「NHK ONE」に統合されるほか、「NHKプラス」「NHK ニュース・防災」などの一部アプリは10月1日から機能を拡張した“新アプリ”に切り替わる。切り替えに伴い、旧アプリは10月1日以降使えなくなる。

既報の通り、放送番組の配信やニュースサイトなど、NHKが行なうインターネット活用業務を“必須業務”とすることを定めた改正放送法が2024年に成立。

これによりNHKは、テレビなどの受信設備を持つ人だけでなく、受信設備を持たない人に対しても、インターネットを通じて、NHKの放送番組(衛星放送は対象外)やニュース記事等を届けることが義務付けられた。NHK ONEは、こうした流れを受け、新たにスタートするNHKのネットサービスとなる。

なお、同ネットサービスの利用には、NHKの受信契約が必要。受信契約を結んでいない状態で、NHK ONEのサイトやアプリにアクセスし、利用意向の確認を行ない、配信の受信を開始すると、受信料の契約締結義務が発生する(「NHKラジオ らじる★らじる」「NHKゴガク 語学講座」「NHKワールドJAPAN」は受信契約対象外)。

既にテレビなどの受信機器を設置し、NHKと地上もしくは衛星契約を結んでいれば、ネットサービスも追加費用を払うことなく利用できる。

「NHKラジオ らじる★らじる」「NHKゴガク 語学講座」のアプリは、10月1日以降も変わらず利用可能。利用に際して受信料の契約締結義務もない
「NHKワールドJAPAN」も変わらず利用できる
発表会には人気番組のアナウンサーも登壇し、サービスの魅力を紹介した。写真左から有馬嘉男キャスター、森花子アナウンサー、副島萌生アナウンサー、糸井羊司アナウンサー、黒崎めぐみ理事、鈴木奈穂子アナウンサー

NHKの各WEBサイトは「NHK ONE」に統合

PC、スマホ、タブレットのブラウザを通じて閲覧できるNHKのWEBサイトは、10月1日以降、新たに開設する「NHK ONE」に一本化される。集約されるのは、現行のNHKプラス、NHK NEWS WEBのほか、各番組のホームページも含まれる。

集約されたNHK ONEでは、各番組の同時・見逃し配信のほか、関連する番組をまとめたプレイリストなどを表示し、使いやすさや視認性を高めた仕様にリニューアルする。

またニュースページでは、テキストだけでなく、ニュース番組の配信や動画、地図など様々な情報を掲載。地域設定を選択すれば、大阪や名古屋、広島など、NHKの各地域放送局によるニュースや番組をまとめたプレイリストにアクセスできる。

NHK ONEでは、NHKのニュースや番組をまとめてチェックできる

バラバラになっていたNHKのWEBサイトを集約するのに合わせて、検索機能も強化。“熱中症”など、テーマに関連した番組や記事、動画を表示することで、より情報にアクセスしやすくする。

新「NHKプラス」は同時配信・追いかけ再生に対応。キッズモードも

スマホ・タブレット、およびネット対応テレビ向けに提供してきた動画配信アプリ「NHKプラス」は、10月1日から新しいアプリ「NHKプラス」に切り替わる。新アプリは、10月1日からダウンロード可能。旧アプリは10月1日以降使えない。

新アプリ「NHKプラス」。名称はそのままで、ロゴが変更された

機能面で大きく変わるのが、テレビ向けアプリにおける同時配信・追いかけ再生機能の実装。

従来テレビ向けアプリは、放送終了まで待たなければ番組を再生することができなかったが、10月からは今のスマホアプリと同じように同時配信・追いかけ再生が可能になる。

新アプリ「NHKプラス」の画面。画面は開発中のもの

世帯で「NHK ONEアカウント」を登録すると、家族ごとにプロファイルを5つまで作成できる。プロファイルを作ることで、家族それぞれで気になる番組をフォローしたり、スマホで見ていた番組の続きを自宅のテレビで再生するなどのデバイス連携も行なえる。

スマホで見ていた番組の続きを自宅のテレビで再生できる「デバイス連携」に対応した

ホーム画面には、「ニュース」のメニューを新設。番組を見た後に、気になるニュース記事や動画にアクセスしやすくなる。

メニューに「ニュース」が新設された
「ニュース」を開いた状態

また、WEBサイトと同じように地域を設定すれば、ローカル番組やニュースの閲覧が可能。同じく新設された「マイリスト」を使えば、好きな番組へすぐにアクセスできる。Eテレの番組を中心にラインナップする「キッズモード」も搭載する。

地域を設定すれば、各放送局のローカル番組やニュースの閲覧が可能
これは「NHKプラス」のスマホ向けの画面イメージ。メニュー右端に「マイリスト」を新設
テレの番組を中心にラインナップする「キッズモード」

ニュースアプリは「NHK ONE ニュース・防災」へ。危険情報をプッシュ通知でお知らせ

スマホ・タブレット向けにニュース・防災情報を提供してきた「NHK ニュース・防災」アプリは、10月1日から新しいアプリ「NHK ONE ニュース・防災」に切り替わる。アプリの配信は10月1日からで、従来のNHK ニュース・防災アプリは10月1日以降、利用できなくなる。

新アプリ「NHK ONE ニュース・防災」

ニュース・防災アプリでは、“命と暮らしを守る情報をいち早く”届けるよう、内容をリニューアル。

ニュース速報に加え、地震・津波情報、気象警報などを画面で表示するほか、災害が起きたとき、利用者のいる場所や設定した地域に応じて、川の氾濫情報や避難の情報などをプッシュ通知で知らせる機能も搭載した。マップ機能も充実させる。雨雲の様子や河川氾濫の状況、河川カメラの映像をリアルタイムで提供する。

ニュース・防災アプリでは、地震・津波情報をいち早く表示
利用者のいる場所や設定した地域に応じて、川の氾濫情報や避難の情報などをプッシュ通知で知らせる機能も搭載する

過去に発生した災害を地図上に表示する「災害記録マップ」も提供。教育現場での授業や旅行先の地域で過去にどのような災害があったのか?という学びにも役立てて欲しい、とする。

またニュース・防災アプリでも、ニュース番組の同時配信を実施。緊急報道のニュースも同時配信する。またおはよう日本やNHKニュース7などのニュース番組でどのような内容を伝えたのか、項目ごとに番組が見られるようになる。

ニュース・防災アプリでも、ニュース番組の同時配信機能を追加した
緊急報道のニュースも同時配信する

正確で信頼できる情報や豊かなコンテンツをより充実して提供する

発表会に登壇したNHKの黒崎めぐみ理事は、「今年はNHKが放送を始めて、100年の節目の年。その同じ年に新しいインターネットサービス『NHK ONE』をスタートさせることになりました。いま、幅広い年代の方がスマホを手に持ってインターネットで情報を受け取る中、NHKもそのニーズに合わせて情報をしっかりとお届けしたいと考えています」とコメント。

「放送法の改正によって、今年10月からテレビ・ラジオの放送に加えて、インターネットを通じた配信が必須業務になり、継続的・安定的に情報を届けることが義務付けられました。ネットの情報空間というのは大変便利である一方、不確かな情報やフェイクニュースなども存在しています。情報の信頼性が揺らいでいる今、私たち公共メディアの最も重要な役割は、何が事実で、何を信じればいいのか。その判断と拠り所となる情報を提示して、情報空間の参照点となること」。

「このような時代に放送だけではなく、インターネットでも正確で信頼できる情報や豊かなコンテンツをこれまで以上に充実させてお届けして参りたい。それがNHK ONEの使命だと考えています」と、サービスの狙いを説明。

そして、最後に「技術と番組が深く連携して、NHKの持つ多様で豊かなコンテンツがひとつ、“ワン”となることで、放送では次々と流れ去ってしまう1つ1つの情報を、ネットの特性を生かして有機的に結びつけ、その背景や意味を深く理解する、そのことができる体験を作り出すということ。さらに世代や価値観が異なる人々が共通して信頼できる情報を提供して、分断が続く社会を繋ぐ役割を担うこと。いつの時代も変わらない姿勢で、時代にあった情報の届き方を模索すること。そのことこそが公共メディア・NHKの大切な役割であると考えています。『いつでもどこでもあなたのそばに』。NHK ONEはそういった思いを込めています。どうぞご期待ください」と締めくくった。

NHKの黒崎めぐみ理事