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【CES】東芝、105型5K/湾曲4K/直下型4Kなど試作TV多数

ミラーとディスプレイが融合「グラスルーチェ」

 International CESの東芝ブースでは、4Kテレビのコンセプトモデルの展示を初めとして、新しいディスプレイソリューションを提案。そして4KテクノロジーとITの相互連携をテーマにしたブース展開を行なっていた。

東芝ブース
ブース入り口には、日本でいうところの「84Z8X」相当モデルが複数鎮座

4Kテレビのコンセプトモデル3種

 テレビ製品のコンセプトモデルは3種展示された。

 1つは105型の5Kテレビで、アスペクト比21:9、シネマスコープサイズのコンテンツを表示するのに適した5,120×2,160ドットの解像度を有する。韓国系メーカーが105型の21:9、5Kテレビを提案してきていることもあり、東芝もこうした動きに応える形でコンセプトモデルを出してきたようだ。

 2つ目は65型の湾曲4Kテレビコンセプト。「湾曲4K」も、韓国系メーカーが力を入れ始めた新トレンドで、こちらもそうした新潮流に追従する意志を示した格好だ。

 担当者によれば、この2つのコンセプトモデルは、来場者の反応を見てから製品化を検討していくそうで、2014年の直近で製品化計画があるわけではない、とのこと。

 3つ目の平面表示の65型の4Kテレビは、直下型白色LEDを採用したモデルで、フルHDモデルのREGZA Z8に搭載された「ハイダイナミックレンジ復元」機能を搭載したもの。東芝はREGZA Z8に対して「プレミアム2K」というコンセプトキーワードを掲げていたが、今回展示されていたこのハイダイナミックレンジ復元機能付き4Kテレビに対しては「プレミアム4K」というコンセプトキーワードを与えている。前者2つとは異なり、こちらは直近での製品化の予定があるとのこと。

105インチ5Kテレビコンセプト。アスペクト比21:9。湾曲はしていない
65インチ4K湾曲テレビコンセプト
65インチ平面4Kテレビ。白色LEDバックライトを直下型で実装。ハイダイナミックレンジ復元に対応。製品化の予定あり

ミラーとディスプレイが融合した「グラスルーチェ」

 ブースで多くの来場者の視線を釘付けにしていたのは、鏡とディスプレイを融合化した「GLAS LUCE」(グラスルーチェ)という製品。ハナムラトレーディングと東芝が共同開発しているもので、一般家庭への組み込みやデジタルサイネージへの応用をテーマにして開発された。

 構造的には、東芝のテレビ製品やディスプレイ製品をフロントハーフミラーのエンクロージャで覆ったもので、必要に応じて入力用のカメラデバイスや情報処理用のコンピュータデバイスまでが組み合わされる。なお、グラスルーチェというブランド自体はハナムラトレーディングが5年前から用いているブランド名だ。

カメラデバイスを駆使してユーザーの手の動きをトラッキング。ドキュメントのページ送りなどの操作が行なえる。電源をOFFにすれば鏡として利用出来る
姿見鏡形態のグラスルーチェ。42型ないしは47型のディスプレイを縦置きに内蔵可能なモデル
32型の1,920×540ドットディスプレイをハーフミラーエンクロージャに収めたデジタルサイネージモデル

 最も注目度が高かったのは、100型オーバーの巨大な1枚鏡に3種類の映像を同時に表示出来るシステムだ。

 実は、これ、100型のハーフミラー・エンクロージャの中に、65型の4Kテレビと29型、23型の2Kディスプレイを収めたもので、それぞれに対して別々の映像を入力させ表示している。電源をOFFにしているときは鏡として利用できるので、家電家電した印象が消え、ラグジュアリーかつハイテクなインテリア空間を演出できるというわけだ。

 ハナムラトレーディング側の担当者によれば、顧客の要望によってミラーサイズ、ミラー透過率(鏡像重視のシルバーハーフミラー/ディスプレイ映像重視のブラックハーフミラー)が選択できるほか、中に仕込むディスプレイのインチサイズ、枚数などもオーダーメイドできるとのこと。

 ブースでは47型や42型のディスプレイを横置き、あるいは縦置きにしてハーフミラーエンクロージャに組み込んだ多種多様なグラスルーチェのバリエーションを展示していた。

人気が高かった100型オーバーのグラスルーチェ。65型、29型、3型の3画面が内蔵されている
洗面所設置向きのグラスルーチェン。アクティビティトラッカーと連動して、健康状態情報を表示するデモ

4Kテレビ向けHEVCデコーダやクラウドゲーミングソリューション

 来たる4K時代に向けて開発中の新世代技術もブース内で展示。その1つが、4Kテレビの2014年モデルに向けて開発中のHEVC(H.265)デコーダユニットだ。ブースではこれを実動させ、実際に7Mbps程度の4K/24Hz映像のストリーミングデモを行なった。

 うまくエンコードされているデモ映像と言うこともあってか、7Mbpsというビットレートからは想像もできないほど表示は高品位。確かに映像の暗い部分では若干ブロッキーな箇所もあるが、離れて見れば気がつかないレベルであった。

HEVCデコーダの実動デモの様子
動作していたのは「ストリートファイター×鉄拳」のPC版。無線接続のロジクールのゲームパッドで対戦プレイができるようになっていた

 担当者によれば、具体的な採用時期などは未定だが、この技術は、4Kストリーミングに対応した4Kテレビ製品に採用が予定されているとのこと。

 この他、次世代のスマートテレビ製品への採用を検討しているクラウドゲーミングソリューションの一例として、UbitusのGameNow(旧ジークラウド)のデモも行なわれていた。

 サーバー側でゲームを動かし、2プレイヤー対戦ができるようになっており、実際にプレイしてみたが、特に大きな遅延も感じられなかった。映像をよく見ると階調表現部分でブロックノイズのようなものがあるので、棚下にゲーム機が隠されているのではなく、実際にストリーミングの映像であることも確認できた。

 スマートテレビのゲーミングプラットフォームとして、シャープはAQUOSに「G-Cluster」を採用済みで、ソニーは次世代ブラビアから、先日発表になった「PlayStation Now」を採用する計画を発表している。東芝も、こうした流れの中で、最適なソリューションを模索しているようだ。

東芝が考える4KのITへの広がり

 東芝は4Kソリューションをモバイルワークステーションにも展開していく。

 ブースでは、Intel Core i7 4800MQとNVIDIA QUADRO K2100Mを搭載したハイスペック4KノートPC型ワークステーション(北米名:TECRA W50)を展示。標準搭載のディスプレイも4K(3,840×2,160ドット)だが、ここにさらに外付けの4Kディスプレイを接続して、デュアル4Kディスプレイ環境のデモを行なった。

 外付けディスプレイとして使用されていたのは32型の4Kディスプレイ「TUM-32PRO1」と、未発売の50型の4Kテレビ試作品。

 前者「TUM-32PRO1」はAdobeRGB色域対応でカラーマネージメント機能を搭載した業務用4Kディスプレイで、2013年末に発売されたばかり。実勢価格は150万円前後とかなり高価だ。後者はCEATEC JAPAN 2013で「4K REGZA Pro」の仮称で訴求されていたモデルになる。4K REGZA Pro(仮)については、引き続き発売日は未定のようだ。なお、両者ともにHDMI経由で接続されていた。

北米名「Satllite」ブランドのコンシューマ向けノートPCの4K対応モデル。搭載GPUはGeForce系、あるいはIntel内蔵グラフィックスになる見込みだという
こちらは4Kモバイルワークステーション、北米名「TECRA W50」。GPUにはQUADRO K2100Mを採用
TECRA W50と32型4Kディスプレイ「TUM-32PRO1」の組み合わせ
W50と50型「REGZA Pro(仮)」との組み合わせ
4Kモデルではないが、北米地区で2月16日より279ドルにて、日本メーカーとしては初めてChromeOS搭載のノートPCを発売することも発表された
こちらも4K非対応だが、ディスプレイ部とキーボード部が脱着できるノートPCのコンセプトモデル
取り外したキーボードは分離した状態でワイヤレス利用が可能
キーボードを分離しても本体部分の一部分が残るデザイン。ここをスタンド部として活用すれば、ペンタブレット的に活用できる…という提案

(トライゼット西川善司)