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東芝、次世代4K REGZAをCESで公開。直下LED/HDCP 2.2/HEVC。105型5K TVや4KノートPCも
(2014/1/6 11:34)
東芝は、米国ラスベガスで1月7日~10日(現地時間)に開催される世界最大規模のコンシューマエレクトロニクス展示会「2014 International CES」の開幕に先駆けて、記者会見を開催。このなかで、同社は4K対応REGZAとして、4K HEVC/H.265デコーダ搭載の最上位モデルを開発していることを発表した。
5日の会見で披露されたのは、自社開発の映像エンジンとパネルモジュールにより高画質を追求した“次世代4K対応テレビ”と位置付けられたモデル。製品名は明らかにされていないが、今回の会見では「Premium Ultra HD 4K TV」としている。CESでは参考展示となっており、会見で展示されたのは65型だが、製品化される際の画面サイズや、発売時期、価格などは明らかにしていない。
3,840×2,160ドットの4K(Ultra HD)パネルを搭載。発売中のフルHD最上位モデル「Z8」と同様に、直下型のLEDバックライトや広色域パネルを採用。4K映像エンジンとの組み合わせで画質の向上を図っている。さらに、新機能としてHEVC(H.265)デコーダも搭載した。また、HDMI 2.0にも対応する。
加えて、著作権保護の最新バージョンであるHDCP 2.2にも対応予定。既報の通り、ハリウッドメジャー6社(SPE、パラマウント、ワーナー、20世紀FOX、ディズニー、ユニバーサル)で構成するMovieLabs(Motion Picture Laboratories)が、4K映像などの「プレミアムコンテンツ」に対応するデジタル機器のプラットフォームとして、HDCP 2.2の採用を要求している。この要求により、今後の4K対応製品では、HDCP 2.2をサポートしていることで、将来の動画配信サービスやパッケージメディアで提供される4Kプレミアムコンテンツが表示できるようになる見込み。
このほかにも、CESでは同社が“5Kテレビ”と呼んでいる105型/5,120×2,160ドット(アスペクト比21:9)のテレビや、画面が湾曲した「カーブド4Kテレビ」、キッチンやリビングなどでも使える大型タブレットの「BOADERLESS BOARD」、4Kパネルを搭載したノートPCなどを参考展示する。
また、将来の4Kコンテンツ配信や4K放送に向けて採用が期待されているHEVC/H.265を使った4Kデコーディング技術のデモ展示も予定している。
58型以上は全て4K化へ。「名ばかりのスマートブームは終焉」
5日の会見では、同社のテレビなどの映像商品とPCに関する事業戦略について説明。執行役上席常務 デジタルプロダクツ&サービス社の徳光重則社長は、テレビの市場環境について「西欧では厳しい状況が続くものの、国内は大型モデルの構成が拡大したほか、単価アップにより市場が再活性化した」との見方を示し、日本を重点市場としてシェア拡大に向けた注力を進めると説明。
一方、海外ではASEAN地域において各国でデジタル放送がスタートすることから、高付加価値モデルや大型モデルがそれに合わせて伸びると予測。'14年度の台数は'13年度の1,300万台から8%増の1,400万台に達すると見ており、サイズ別では、40型以上の大画面が35%('11年度は24%)まで拡大すると見込む。こうしたニーズを先取りした商品戦略を進めるという。
具体的な商品戦略としては、まず「4Kのさらなる強化」を掲げており、4K次世代モデル向けの高画質システムを開発するほか、今後の4K放送や4K映像配信を見越したHEVC対応モデルなどの開発を推進。今回参考出展するプレミアムモデルも、こうした取り組みの一例として紹介した。
東芝は、今後の4K戦略として、58型以上の大型新機種は全モデル4K化していく方針。同社の'13年6~12月は国内の58型以上のうち4Kモデルが約65%だったのに対し、'14年度は100%まで拡大するという。このほか、現在4Kのサイズ展開を拡大していくことも説明。具体的なサイズについては明言されなかったが、比較的画面サイズの小さいモデルについても、日本や欧州などでニーズの高いことなどから、4K対応を進めていくという。
画質以外の競争軸としては、「スマート機能の充実」に言及。「名ばかりのスマートブームは2013年に終焉する」とし、同社の全録機能である「タイムシフトマシン」や、クラウド連携の「TimeOn」といった機能を海外含め拡充してくという。特に海外では、テレビのHDD録画とクラウドを活用したレコメンド視聴サービスを展開していくことを明らかにした。
ディスプレイ関連では、壁に埋め込んだ鏡のような縁なしの「フレームレス・ミラーディスプレイ」で映像や情報を共有できるという生活シーンを提案。タブレット型の「BORDERLESS BOARD」により、タッチ操作で必要な情報へ簡単にアクセスできるといった製品で、新たな市場創出を図っていく。
PC市場は、全体では縮小傾向にあるものの、タブレットを含む持ち運べる機器は増加傾向にあり、'13年度の約4億台(予測)から、'14年度は約4.5億台規模にまで伸長すると見ている。
タブレットは8型/Windows 8.1の「Encore」シリーズや、手書きアプリ「TruNote」採用のAndroid「Excite Write」により、ビジネスや教育など幅広い分野での活用を訴求する。さらに、「PCも4Kの時代に突入する」として、CAD/CAMといった高い処理能力が求められる業務や、写真/映像などのプロシューマー用途に、4K静止画/動画編集なども可能になるPCを展開予定。
同社が取り組んでいる映像/PC事業の構造改革は、大きく3つの柱がある。1つは「開発・設計の効率化」で、プラットフォーム数の削減などで開発の効率化を図り、高付加価値モデルの開発を強化するもの。2つ目は「テレビ生産拠点の集約」で、東芝テレビ中欧社の売却や、大連東芝テレビジョンの終息などで、スリムな生産体制を確立。さらに、「事業体制の再編」により、映像事業と家電事業を統合した分社会社を4月より発足予定。これらの構造改革により、スリムな体制を確立しつつ、「2014年度は攻めの事業戦略を加速する」とした。