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ソニー、4K非圧縮出力、フルHD XAVC S記録のフルサイズ超高感度ミラーレス「α7S」
(2014/5/16 13:04)
ソニーは、Eマウントを採用したミラーレス一眼のαシリーズ新機種として、別途レコーダを組み合わせる事で4K動画の撮影にも対応できる「α7S」を6月20日に発売する。価格はボディのみで230,000円。
発売中のフルサイズ・ミラーレス「α7」には2,430万画素の撮像素子と、像面位相差AF & コントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」を搭載している。また、その派生モデルとして、ローパスフィルタを省き、3,640万画素の素子を搭載、コントラストAFのみの「ファストインテリジェントAF」を採用した「α7R」というモデルも発売されている。
新たに登場する「α7S」は、α7から派生した4K動画/高感度/ハイダイナミックレンジ特化モデル。35mmフルサイズのセンサーは、新開発の1,220万画素Exmor CMOSに変更され、超高感度撮影や低ノイズを追求。最高ISO感度はISO 409600を実現している。AFはファイストインテリジェントAFを搭載する。
α7Rにも搭載されている、ギャップレスオンチップレンズ構造や、高集光プロセス技術、ワイドフォトダイオード設計技術に加え、α6000から採用されている新世代のRGBカラーフィルタも搭載。α7比で、イメージセンサーの感度特性は約3倍に、飽和信号量は約2.3倍に向上したとする。
感度特性が大幅に進化した事で、低照度性能が向上。今まで合焦できなかった-4EVなどの暗い環境でも、AFが利用でき、静止画と動画のどちらでも、高品位でスムーズなフォーカシングができるとする。
なお、高い高感度撮影能力を活かす機能として、シャッター音を消す「サイレント撮影」機能を搭載。設定中は自動的に電子シャッターを使用し、シャッター音が消音されるため、野生動物の撮影などにも最適としている。
さらに、35mmフルサイズセンサーを活かし、画素加算する事なく、4K(3,840×2,160ドット)やフルHDの動画をHDMI出力でき、別途用意した外部レコーダで4K動画としてキャプチャする映像制作用途も想定。
また、プロのニーズに応える動画機能として、カメラ本体で映像のトーン調整ができるピクチャープロファイルに対応。映像作品全体のトーンをカメラ本体で作り込み、マルチカメラとして運用した場合のトーン補正も可能。業務用機に搭載されているS-Log2ガンマにも対応し、1300%という広いダイナミックレンジを確保。タイムコードやユーザービットの付加機能、RECコントロール機能、マーカー表示なども可能。
最大5倍のスローモーション撮影を可能にするハイフレームレート(120fps)機能も備え、APS-Cクロップ時にHD画質(1,280×720ドット)で120fps記録し、24pで再生すれば、最大5倍のスローモーション映像が得られる。
モデル名 | α7S | α7R | α7 |
有効画素 | 1,220万画素 | 3,640万画素 | 2,430万画素 |
AF | ファストインテリジェントAF (コントラストAF) | ファストインテリジェントAF (コントラストAF) | ファストハイブリッドAF (像面位相差AF + コントラストAF) |
連写 | 秒間5コマ | 秒間4コマ | 秒間5コマ |
マグネシウム合金部 | トップカバー フロント | トップカバー フロント | フロント |
カメラ本体ではフルHD動画撮影が可能で、その撮影フォーマットに、α7/7RのAVCHDとMPEG-4 AVCのMP4に加え 新たにXAVC Sでの記録が可能になっている。
ビットレートはXAVC Sが1080/60p/50Mbps、30p/50Mbps、24p/50Mbps。720/120p/50Mbps。AVCHDは1080/60p/28Mbps、60i/24Mbps、60i/17Mbps、24p/24Mbps、24p/17Mbps。MP4は1,440×1,080/30fps/12Mbps、640×480/30fps/3Mbps。
無線LAN機能も搭載し、NFCによるスマートフォンとのワンタッチ連携も可能。PCや対応テレビなどとも連携できる。液晶はチルトタイプの92万画素で、3型。ビューファインダーも搭載しており、XGA解像度の有機EL「True-Finder」を採用。
トップカバーとフロント部には7Rと同じようにマグネシウム合金を採用。記録メディアはSD/SDHC/SDXC、メモリースティックPRO デュオ/PRO-HG デュオ。外形寸法は約126.9×48.2×94.4mm(幅×奥行き×高さ)で、本体のみの重量は約446g。
高感度や動画撮影機能はコンシューマ向けにも
16日に開催された発表会では、α7SからHDMIで4K出力された映像を、4Kでキャプチャする外部レコーダの一例として、ATOMOSの「SHOGUN」というレコーダが紹介されていた。3,840×2,160/30pや、1080/120pの記録が可能。
さらに、フルサイズのEマウント用レンズ(FEレンズ)の開発ロードマップも掲示。2014年に、広角ズームとして「バリオ・ゾナーT* FE 16-35mm F4 ZA OSS」を用意するほか、動画撮影用にパワーズームを搭載したGレンズの「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」も製品化が予定されている。他にも、マクロレンズや大口径単焦点も2014年に発売予定。
パワーズーム搭載の「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」は、会場に実物を参考展示。オプションとして発売を予定しているマイク用のXLRアダプタも展示された。
ソニーマーケティング デジタルイメージングMK部 αMK課の山田哲嗣氏はα7Sの特徴として、「圧倒的な高感度で、今までにない映像表現を可能にするモデル」と説明。夜の伊丹空港で、旅客機が着陸しようとしている様子を撮影した動画サンプルも表示。ISOを上げてもノイズが少なく、飛行機のディテールも細かく描写されており、あまりに綺麗であるため一瞬3DCG映像のように見えるのが面白い。この動画は、α7Sスペシャルサイトで公開されている。
また、夜間の野生動物撮影をイメージした暗室も用意。そこに剥製が置かれているが、何の動物なのかわからないほど真っ暗だが、ISOを102400などに上げていくと綺麗にミミズクがモニタに浮かびあがる。ジラジラしたノイズはほとんど無く、AFも合焦。高い暗所撮影能力をアピールした。
また、電子シャッターを用いた露光を行なうことで、無音で静止画撮影できる「サイレント撮影」機能もデモ。闇夜で野生動物を撮影する事などを想定したものだが、耳をそばだててもシャッター音はまるで聞こえず、確かに無音のまま静止画撮影ができていた。
なお、4K出力に対応している事や、XAVC SでのフルHD動画記録など、ともすると「夜間の特殊撮影向け」、「業務用途を中心とした動画撮影用のカメラ」という印象を受けがちだが、山田氏は、「高感度だけでなく、ダイナミックレンジの広さも特徴。夜だけでなく、薄暗い路地の猫を撮影したり、感度を上げてもクリアな撮影ができるため、お子様がスポーツをしている一瞬や、カワセミが餌を捕らえる瞬間をとらえるなど、静止画カメラとしてもこれまでにない撮影表現を楽しんでいただけるはず。サイレント撮影は、ピアノの発表会や赤ちゃんの寝顔撮影などにも活用できる」と、一般ユーザーにも恩恵が大きい機能である事をアピールした。