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ソニー、Eマウントでフルサイズの一眼「α7/7R」
7Rはローパスレス。フルサイズ用レンズも登場
(2013/10/16 15:07)
ソニーは、Eマウントのレンズ交換式カメラながら、35mmフルサイズのセンサーを搭載したミラーレス新モデル「α7」(ILCE-7)を11月15日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15万円前後。α7よりも高画素で、ローパスフィルタを外したセンサーを備える「α7R」(ILCE-7R)も同日発売で、想定売価は22万円前後。
「α7」には標準ズームレンズ「SEL2870」(EF 28-70mm F3.5-5.6 OSS)をセットにしたズームレンズキットも用意。想定売価は18万円前後。
ソニーの一眼カメラは、デジタル一眼レフのαシリーズでAマウントを、コンパクトなミラーレスのNEXシリーズでEマウントを採用。αシリーズの最上位モデル「α99」では35mmフルサイズのセンサーを搭載している。
新ミラーレス「α7/7R」の特徴は、NEXシリーズと同じEマウントを採用しながら、フルサイズのCMOSセンサーを採用している事。これに合わせ、Eマウントで35mmフルサイズ用のレンズが5モデル新たに発売される。なお、α7/7Rに従来のAPS用Eマウントレンズを取り付けた場合はレンズの中央部分を使ったクロップ撮影に、逆にNEX-7など、従来のAPS Eマウントボディにフルサイズ用Eマウントレンズを取り付けた場合は、テレシフトでの撮影となる。
α7/7Rはフルサイズとして世界最小・最軽量の筐体となっており、サイズは126.9×48.2×94.4mm(幅×奥行き×高さ)で、重量はα7が416g、α7Rが407g。なお、ミラーレスのEマウントながら、モデル名がこれまでAマウントのカメラにのみ使われてきた“α”になっているが、今秋以降に発売される新商品からAマウント、Eマウント共にαという統一ブランドに変更するという。
α7/7Rは搭載しているセンサーサイズは同じ35mmフルサイズだが、α7Rは有効3,640万画素のExmor CMOSで光学ローパスフィルターレス仕様、α7は有効2,430万画素のExmor CMOSでローパスフィルタを備えた仕様となる。
α7Rには、隣接画素間のギャップを無くすオンチップレンズ構造と、オンチップレンズの位置を光の入射角に合わせて最適化する技術を投入。集光効果を高めて隅々まで高画質を実現するという。どちらのモデルもアンチダスト機構を備えている。感度はISO 100~25,600。マルチショットNR機能も利用可能。
両モデルには映像処理エンジンとして、新たに「BIONZ X」を搭載。高速処理で質感や高精細感を忠実に再現するというエンジンで、α7Rでは光学ローパスフィルターレスと組み合わせ、より解像感を高めたとする。両モデルで利用できる「BIONZ X」の新機能として、輪郭強調を抑えながら高い描写力を得る「ディテールリプロダクション」や、レンズの絞りに応じた最適なフィルタ処理を適用する回折低減処理などを用意。被写体を分析して適用的にノイズ低減を行なうエリア分割ノイズリダクションも、ディテールリプロダクションと組み合わさって進化。高感度撮影時でも従来以上に解像感を高めながら効果的にノイズを抑えられるとする。
AFにも2機種で違いがある。両モデルがどちらも対応しているのは、BIONZ Xの高速処理と、新開発の空間被写体検出AFアルゴリズムを用いた、コントラストAFの「ファストインテリジェントAF」。被写体毎に物体サイズを認識し、追尾枠の大きさを変えることで追従性能を向上させる「ロックオンAF」や、AFエリア設定も両機種で利用できる。
これに加え「α7」では、位相差AF検出方式の距離点を117点配置。コントラストAFと組み合わせて高速にAFを行なう「ファストハイブリッドAF」を搭載。速度優先連続撮影時には、AF追従したまま秒間5コマの連写ができる。なお、α7RにファストハイブリッドAFは搭載しておらず、コントラストAFのみとなり、連写も秒間4コマとなる。
モデル名 | α7R | α7 |
実売 | 22万円前後 | 15万円前後 |
フォーマット | 35mmフルサイズ | |
有効画素数 | 3,640万画素 | 2,430万画素 |
光学ローパスフィルタ | 無し | 有り |
AF検出方法 | コントラスト | ファストハイブリッド (コントラスト+位相差) |
秒間連写コマ数 | 4コマ | 5コマ |
ボディの マグネシウム合金部分 | トップカバー フロント | トップカバー |
重量 | 407g | 416g |
動画撮影機能はAVCHDとMPEG-4 AVCのMP4撮影に対応。AVCHDでは最高28Mbps、60pでのフルHD撮影が可能。24Mbps/24pでの撮影も可能。MP4では12Mbpsで1,440×1,080/30p撮影が最高設定となる。音声レベルメーター・コントロールを備え、ヘッドフォンジャックも装備。XLRアダプタキットにも対応しており、XLR端子機器からの音声入力にも対応可能。HDMIからのクリア映像出力も可能。
無線LAN機能も搭載し、NFCによるスマートフォンとのワンタッチ連携も可能。PCや対応テレビなどとも連携できる。PlayMemories Camera Appsもサポートしており、アプリ感覚で撮影機能を追加できる。今後のアプリ予定として、12月に「多重露光」(500円)、「スマートリモコン Ver.2.10」(無料)などを提供予定。
4K静止画出力機能も搭載。カメラからHDMIを使い、3,840×2,160ドットで4K対応テレビに4K静止画を表示する機能で、カメラ側で4K解像度に変換してから転送しているのが特徴。HDMIだけでなく、無線LANでテレビと接続した場合も同じ機能が利用できる。トリルミナスカラーにも対応する。
ボディ形状は2機種共通で、前ダイヤル、後ダイヤル、露出補正ダイヤル、コントロールホイールなどを装備。9個のキーがカスタマイズでき、任意の機能をアサインできる。
液晶はチルトタイプの92万画素で、3型。ビューファインダーも搭載しており、XGA解像度の有機EL「True-Finder」を採用。α99などのフラッグシップと同じ光学系を使っているほか、α99のファインダーと比べ、コントラスト比を約3倍、輝度も30%向上し、より見やすくなったという。
トップカバーにはマグネシウム合金を採用。7Rはフロント部もマグネシウム合金となる。防塵防滴に配慮した設計で、シーリングも施されている。記録メディアはSD/SDHC/SDXC、メモリースティックPRO デュオ/PRO-HG デュオ。
新レンズやα7用アクセサリも続々
Eマウントのフルサイズ対応のレンズも登場する。ツァイスのレンズとしてSEL2470Z(Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS/'14年1月発売/132,300円)、SEL35F28Z(Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA/11月15日発売/88,200円)、SEL55F18Z(Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA/'14年1月発売/103,950円)、SEL2870(FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS/'14年2月発売/61,950円)を用意。
さらにEマウントのGレンズ望遠ズームとして、SEL70200G(FE 70-200mm F4 G OSS)も2014年3月に発売。価格は165,900円。AマウントにもSAL70200G2(70-200 F2.8 G SSM II/362,250円)が11月22日より投入される。
また、Eマウントのフルサイズボディが登場した事で、AマウントのレンズをEマウントで利用するマウントアダプタにも、フルサイズ対応の新モデルが追加される。「LA-EA4」で、トランスルーセントミラー・テクノロジーを引き続き搭載。価格は36,750円で、11月15日発売。
トランスルーセントミラー・テクノロジー非対応の「LA-EA3」(11月15日発売/21,000円)や、α7/7Rに対応した縦位置グリップ「VG-C1EM」(11月15日/31,500円)も用意される。
「“新しいα”を象徴する製品」
ソニーの業務執行役員 SVP、デジタルイメージング事業本部長 石塚茂樹氏は、コンシューマ向けデジタルイメージング市場において、ビデオカメラやコンパクトデジタルカメラを「成熟セグメント」、デジタル一眼レフやミラーレス、高付加価値カメラを「成長セグメント」と分類。成熟セグメントに近頃投入したアクションカム、レンズスタイルカメラ、音楽演奏撮影用ミュージックビデオレコーダといった新製品を振り返り、「成熟セグメントでは付加価値のあるモデルで差別化していく」と説明。
「成長セグメント」では、RX100やRX1といった大型センサーを搭載した高付加価値の小型カメラを投入する事で、国内シェアが増加。9月23日時点で24.2%とトップシェアを獲得。平均単価も9月23日時点で23,120円と、他社を含めたコンパクトデジカメ全体の平均単価と比べ、約30%もアップしたという。
その上で、ミラーレス一眼では、「αシリーズと、皆様にはαNEXシリーズとして認識していただいている製品を、固定概念にとらわれない、自由度を持った開発を行なうために、αという1ブランドに統合。エントリーからプロフェッショナル向けまで拡充していく。その“新しいα”を象徴する製品」と語り、新製品のα7/7Rを紹介した。
なお、今回のα7にはILCE-7、α7RにはILCE-7Rという型番が存在する。石塚氏によれば、「今後は従来のNEXシリーズのようなコンパクトなモデルであっても、NEXという型番は使用せず、ILC○○という型番になっていく」という。
また、Eマウントでフルサイズのセンサーを採用した事については、「Eマウントの開発をはじめたのは2008年頃ですが、設計の仕様としてはフルサイズを格納できるスペースは用意していた。しかし、技術的な問題もあり、商品企画としては(Eマウントのフルサイズカメラは)これまで無かった」とした。
レンズ開発のロードマップとしては、フルサイズ対応のEマウントレンズを2014年中に10本、2015年中に計15本の発売を予定。今回発表されたレンズに加え、ツァイスレンズで超広角のF4ズーム、大口径単焦点、Gレンズのマクロレンズなどが予定されている。
さらに、カールツァイスのコンシューマー アンド プロフェッショナル ディビジョン ゼネラル・マネージャーのクリスチャン バナート氏も登壇。今後のラインナップとして、マニュアルフォーカスのフルサイズ対応Eマウント・ツァイスレンズで、動画撮影も想定したものを2014年後半に投入する事や、ツァイスTouitレンズのEマウントラインナップに、2.8/50Mなど、1モデル以上を追加する計画も明らかにした。
α7/7Rはハイアマチュアからプロカメラマンもターゲットとしており、これに合わせてプロカメラマン向けの「ソニー・イメージング・プロ・サポート」も2014年4月1日から開始予定。優先修理対応や修理期間中の代替機サポートなどを行なう会員制のサポートプログラムになるという。