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J:COM、2日からの4K試験放送をCATVで配信。他社35局にも

6月からJCNとサービス統合、外出先視聴などスマホ連携強化

ジュピターテレコムの森修一会長(左)と牧俊夫社長(右)

 ジュピターテレコム(J:COM)は26日、ジャパンケーブルネット(JCN)との統合後の、新たな経営方針や事業戦略などに関する説明会を開催。この中で、4K放送/スマートテレビへの取り組みを含む今後の方針について、森修一会長と牧俊夫社長が説明を行なった。

 次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が6月2日から行なう4K試験放送は、J:COMもRFとIPの両方で伝送。全国のJ:COMエリア11カ所で一般公開するほか、他のCATV事業者35社にも配信予定。詳細は後述する。

4K試験放送は2日からRF/IP経由で配信

4K試験放送のJ:COM配信概要

 4Kテレビ試験放送は、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が、6月2日13時からスカパーJSATの124/128度CS放送で実施。チャンネル名は「Channel 4K」で、対応機器を持っていれば、無料で視聴できる。当初は1日6時間程度、13時から19時まで実施する予定。既報の通り、J:COMも同時期の試験放送開始を目指すとしていた。

 J:COMは、RFとIPの両方で伝送。東京スカイツリータウン内にある「J:COM Wonder Studio」など全国のJ:COMエリア11カ所で4K試験放送の映像を体験できるように一般公開する予定。

 具体的な伝送の流れとしては、J:COMのマスターヘッドエンドで多重C-CASスクランブルとDRMを掛け、J:COM各局でRF配信の場合はQAM変調を行ない、IP配信はCMTS(Cable Modem Termination Systems)を通じて伝送。4K対応STBでデコードを行ない、4K対応テレビに表示可能にする。

牧俊夫社長

 2日からの4K試験放送の配信は、家庭ではなく特定の場所で多くの人が体験できることを目的としたもので、基本的にはNexTV-Fの試験放送番組そのままを視聴できるようになる予定。家庭でSTBなどを使って視聴できるようになる時期は、基本的には2016年ごろを見込んでいるが、牧俊夫社長は「4Kテレビがこれだけ出ているので、(本格的に提供する前に)STBを希望される方には少し用意してもいいかなと思っている」と述べた。また、4Kコンテンツとしてスポーツや映画などの充実に期待を寄せた。

 他のCATV会社(35事業者)にも配信予定で、RF伝送は日本デジタル配信(JDS)、IPはジャパンケーブルキャストを通じて配信を行なう。

JCN統合で6月サービス一本化。Smart J:COM Boxは夏にJCNエリアにも

J:COMとJCNの統合スケジュール

 J:COMは4月にJCNグループと統合し、来年2015年に創業20周年を迎える。これに際し、新ブランドスローガン「もっと、あなたに響くこと。」を制定。6月1日より新ブランドスローガンを活用していく。

 J:COMとJCNの統合スケジュールは、'13年12月にJ:COMがJCNの全株式を取得し連結化した後、'14年4月1日より両社が合併し本社機能を統合。6月1日からはサービスブランドをJ:COMに統合し、J:COMサービスをJCNエリアでも提供する。7月1日にはJCN各社が(登記簿上の)社名変更を行なう。

 森修一会長は、日本の総世帯数約5,200万世帯のうち、約55%の約2,804万世帯が地上波テレビ放送をCATV経由で視聴しているという点と、有料CATV市場のシェアで50%(約400万世帯)をJ:COMグループで占めているという現状に触れ、「全世帯の1/4は我々の線の上で視聴している」とアピールした。JCN統合により、総加入世帯(電話やネットを含むいずれかのサービスに入っている)は両社合わせて約500万世帯で、うちJ:COMが約380万、JCNが約120万世帯。森会長は業界No.1として「(CATV業界の)長男ではないが、年長の兄弟として、みんなそろって業界で勝ち残っていきたい。ケーブル業界の発展なくしてJ:COMの発展なし」と述べ、JCN統合後も業界全体の成長を目指す方針を示した。

森修一会長
CATV普及状況と、J:COMのシェア
J:COMグループのCATV提供エリア。6月から全国74局体制に

 主要施策の一つとして、スマートテレビサービスの現状についても説明。Android搭載のSTB「Smart TV Box」を使ったサービスは、'12年12月からJCNエリアで、'13年11月からはJ:COMエリアでも展開している。'14年から始まったタブレット/ネット連携を強化したサービス「Smart J:COM Box」により、2月の約15万件から、3月時点で約22万件まで伸びたことを報告した。

 Smart J:COM Boxは、タブレットをテレビのリモコンとして使えたり、生活に役立つ情報などをチェックできる機能のほか、ホーム画面に14個のアイコンを並べて、各サービスへ簡単にアクセスできる分かりやすいUIなどが特徴。

 現在、Smart J:COM BoxはJ:COM提供エリアのみ(トランスモジュレーション方式)に限られているが、これをJCNエリアにも拡大していく。JCN向け(パススルー方式)に対応させ、夏をメドに提供する予定。これにより、「VODなど全商品を統合する」(森修一会長)としている。

スマートテレビサービスの取り組み
スマートテレビサービス契約者数の推移
Smart J:COM Boxの特徴
スマホでリアルタイム視聴できるスポーツ番組などを強化

 牧社長は、テレビとタブレット/スマートフォン連携について、「第1世代は、リモコン代わりにタブレットを使うとか、録画番組を寝室で観るといった使い方。第2世代はリアルタイムで家の中でも外でも観られるようにするというもの」との考えを示し、特にスポーツなどリアルタイム性が求められる番組に対し、ネット経由でスマホ/タブレットから視聴できる環境を強化することで特に若い世代に対して訴求。5月にはプロ野球のコンテンツを充実させているほか、7月からはアニメ系、ニュース系チャンネルなども追加予定だという。このほかにも、タブレット無料提供や、テレビ番組の2カ月無料といったキャンペーンを実施予定。

 さらに、5月27日からの新たな取り組みとして、関東のAMラジオ「TBSラジオ」、「ニッポン放送」、「文化放送」3局を、J:COMテレビのデータ放送の仕組みで聴けるサービスを展開。詳細は別記事で掲載している通りで、「高層ビルなどの影響でラジオが受信しにくくなっている。J:COMエリアでは1都5県で約441万世帯、JCNでも準備が整えば400万世帯弱に配信できる。一気に800万のラジオ聴取が増えることで、地域密着の連携サービスを増やしていける」とした。

 新サービスを投入していく一方で、'15年3月に控えているCATVデジアナ変換の終了についても言及。「アンケートによると、(CATVのデジアナ変換によって)、“一台目のテレビ”として110万台のアナログテレビが使われている。関係方面と協力して3月にデジアナ変換を終了し、空いた周波数をプラスの用途に持っていきたい」と述べた。

AMラジオ「TBSラジオ」、「ニッポン放送」、「文化放送」3局を、J:COMテレビのデータ放送の仕組みで聴けるサービスを提供
6月1日にJ:COMとJCNのコミュニティチャンネルを統合。同日に記念特番の16時間連続生放送を行なう
メディア事業
サポートサービスの強化
マンション向け電力事業も展開している
情報通信政策の在り方についてのJ:COMの考え

 牧社長は、2020年代に向けた情報通信政策の在り方についても同社の考えを述べた。高度化を推進するための「競争環境に打ち勝つための自助努力」として、4K/8K放送の実現や、(約400社共通の)「ケーブルプラットフォーム構想」の実現、行政の「マイナンバー」IDを共通基盤とした新しいサービスなどへの意欲を示した。

 一方、設備競争/規制環境については、「固定網が依然としてNTT東西の寡占状況にある」と指摘。「資本力を背景とした高額な販売インセンティブ」や、「NTT東西の卸サービス導入が、NTTグループ全体との不公正な競争となる」といった点に懸念を表した。

(中林暁)