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4K試験放送は6月2日開始。スカパーのCS活用、J:COMもCATVで同日に

 次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は、2014年開始予定としていた4K試験放送について、6月2日より開始することを明らかにした。総務省が23日に行なった検討会「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」の第2回会合で報告されたもの。

 4K放送のスケジュールは、2014年にブラジル・リオで行なわれるサッカーワールドカップに合わせて、4Kでの試験放送開始を目指すとしていた。なお、既報の通り2016年には8K試験放送を開始、2020年には124/128度CSと110度CS、CATVに加え、BSでも放送を拡大するというロードマップが発表されている。

 試験放送は、スカパーJSATの124/128度CS放送のプラットフォームを活用し、スカパーではなくNextv-Fが主体となった放送サービスとして実施。今回の総務省会合にはジュピターテレコム(J:COM)やケーブルテレビ連盟も参加しており、各CATVも同時期の放送開始を目指す意向を示している。

 試験放送時の映像と音声のフォーマットなどの詳細は改めて発表される見込みだが、これまでの計画通り、HEVC/H.265の4K/60p映像の採用を想定。音声はコンテンツによってステレオと5.1chが混在する見込み。放送するコンテンツについても現時点で明らかにしていないが、CMの無い無料放送として、1日数時間程度を放送。6月にブラジル・リオで行なわれるワールドカップについても、放映権を持つ放送局との調整などが付いた段階で、改めて発表される。

 受信するには、4K対応のチューナまたはチューナ内蔵テレビ/レコーダのいずれかが必要で、チューナ/レコーダ利用時は既存の4K対応テレビで視聴可能になる見込み。受信機の発売時期などは各メーカーの開発に委ねられており、6月までに製品が揃っていれば、それを使用したり、量販店などの店頭でも体験可能になる見込み。もし製品が少ない場合は、Nextv-Fが開発機などを用いてパブリックビューイングの形で多くの人が観られるようにすることを検討している。

J:COMも6月2日に試験放送開始。RF/IP方式採用

 J:COMは24日、4K試験的放送を同社のケーブルネットワーク経由で同じく6月2日より開始することを決定したと発表した。

 試験的放送では、RF方式とIP方式の両方式に対応した伝送ネットワークを構成。新たに開発した4K専用受信機(STB)を使って、4K/60p映像が視聴可能になる。

J:COMによる4K試験放送の仕組み

 6月より順次、東京スカイツリータウン内にある「J:COM Wonder Studio」や、ジェイコムショップの店頭など、全国のJ:COMエリアの約20カ所に受信機を設置。一般来場者が4K映像を視聴できる環境を整える。また、日本ケーブルテレビ連盟や連盟加盟のCATV局と連携し、J:COM以外のCATV局エリアでも、4K試験的放送が視聴できるよう準備を進めるという。

 同社は、VODサービス「J:COMオンデマンド」の仕組みを使って、4Kコンテンツのオンデマンド配信実験も予定。準備が整い次第、開始するとしている。

 さらに、J:COMグループのスポーツ専門チャンネル「J SPORTS」は、NexTV-F向けの検証用素材としてラグビー関東大学対抗戦2013「早稲田大学 vs. 明治大学」を制作。「グループの総合力を活かして4Kコンテンツの制作や調達にも力を入れていく予定」としている。

(中林暁)